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家事にはお金を払わない方が良い?

少し前まで、私が1回お弁当を作るごとに夫から500円送金される仕組みを導入していました。(今は在宅勤務なのでやっていない)

私は自分のお小遣いが増えるし、なにより自分がしたことの対価が目に見えて気分が良く、夫も忘れずに感謝を伝えられます。
私たち夫婦はとても気に入っているシステムだったので、友達にもこの話をしていました。

すると、ある友達から「えお金送るの…?」
という反応がありました。
おそらく、家事に金銭を持ち込むの…という驚きの気持ちだったのだと思います。

私は家事が仕事である専業主婦ではないし、相手より多く家事をした分対価をもらうべき、だと思っているので、意外な反応でした。


人が善意で動いている行為に金銭を持ち込むと、意欲が減るといいます。
つまりお金を払われるとやりづらくなったり、行為の意味が変わることがあるのです。

例えば誰かの家で手作りの夕食をごちそうになったとき。
対価として現金を支払う人はいないだろうし、支払うと相手も気まずくなってしまいます。
現金ではなく、なにか物をプレゼントをしたり、次回こちらがごちそうをする方が関係がスムーズになるでしょう。

それは家庭や友人関係だけでなく、会社と社員の関係にも当てはまります。
仕事をする理由は人それぞれだし、多くの人の一番の理由は「お金を稼ぐため」だと思います。

しかし会社に勤めたり個人で仕事を選ぶ理由は、給与だけでなく、働きがいなど仕事から得られる金銭以外の価値である場合もあると思います。
給与という数字で分かりやすい指標だけが、仕事を選ぶ理由にはならないのです。

人間は社会規範(善意の関係)と市場規範(お金が絡む関係)の微妙なバランスで生きています。

合理的、論理的に説明できることが良しとされがちだけれど、世の中の全てを合理的に動かすことはできません。
そこには説明できない感情や価値観などが複雑に絡み合っている…分かっていてもそうなってしまうものだということを自覚していきたいなと思いました。

文庫だけどすごく内容が濃い一冊!
そして章立てが分かりやすかったので、行動経済学に興味がある方、入門編としておすすめです。


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