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わたしたちが、理想の夫婦を辞めた理由

お久しぶりになってしまいました。
noteを更新しなかった間に、2022年が終わりに差し掛かっています。

2022年はとても味が濃い1年でした。
全く予想していなかった経験がいくつかありました。
その中でも一番の変化した、約6年間の夫婦生活について書いておこうと思います。

わたしたちは理想の夫婦だった

ふだんから比較的冷静な彼とわたしは、お付き合いをしていた1年ほど、そして結婚生活6年弱の間、ほとんど喧嘩をしたことがありませんでした。

賢く慎重で計画的な10歳年上の彼は、わたしはもちろん、わたしの友達も大事にしてくれて、コロナ禍以前はみんなを巻き込んで遊びに行くこともよくありました。
彼はわたしの両親や妹夫婦とも良好な関係でした。またわたしにとっての義理の家族は、若く未熟なわたしを温かく受け入れてくださっていました。

そんなふたりは、周りに「ふたりは似ているね」「平和で羨ましい夫婦」とよく言われました。
仕事や友人、家族にも恵まれた理想の夫婦で、欠けているものはないはずでした。

つまづいた原因ときっかけは、妊活

理想の夫婦だったわたしたちがつまずいた原因は、妊活ができなかったことにあります。

約4年前、家族で行った海外旅行中に彼が子供について提案をしてくれました。
ゆっくり話せる場所を用意し、慎重に話を進める彼の様子をみて、きっと切り出すタイミングをかなり考えたのだろうなと感じ、提案を受け入れました。
そこから最初の妊活を始めることになります。

でも実はその時、わたしは心のどこかで「今はまだちょっと早い」と思っていました。
元々子供に苦手意識があり、子育てに対して大きな不安を抱えていたことが理由だったのですが、不安を自覚していたのにもかかわらず女なら母になりたいと思って当然だと思ってしまっていました。

さらに当時、わたしは仕事に楽しさを感じ、将来のキャリアビジョンが見え始めていた時期でした。
前職で心身を壊した後アルバイトとして入社した今の会社で、正社員に登用していただいたばかりのタイミングだったのです。

そうして心のどこかで違和感を覚えていたわたしは、母になりたいと思えない自分はおかしい、彼に申し訳ないと思いこみ、自分を洗脳することにしました。
妊娠や子育てに関する本やブログを読み漁り、良い部分だけに目を向けるようにしました。
彼には申し訳なくて不安を話すことはできなかったし、妊活というセンシティブな話題は友達や両親に相談しづらく、一人で抱え込んでしまいます。
(この時の様子は以前別記事を書いているのでよろしければぜひ。)

次第に苦しくなってしまい、彼とうまく会話できなくなったり、泣くことが増えてしまいました。
「これはまずい、誰かに相談したい…でも友達にも親にも話したくない…」と思い、いろいろと解決策を探す中でたどり着いたのがカウンセリングでした。

妊活に前向きになれないのは自分の心の問題だ、と思っていた当時のわたしは、ひとりでいくつかカウンセリングを受け、自分の意思を整理した結果、一旦妊活を辞める判断をしました。

ふたりで一緒にいる意味を作るために、2度目の妊活

妊活を中断したまま1年ほど経ち、コロナ禍になりました。
伴って彼もわたしもすぐに完全リモートワークに。

ふたりが築く家族のために建てた家で、それぞれ仕事をするようになりました。
子供部屋を作っていたので、それぞれが十分に仕事のスペースを確保できたのは、幸いだったはずでした。

しかし彼はコロナ禍の少し前から部署異動し、早速活躍して忙しくなり、仕事部屋から出なくなってしまいました。
彼は仕事を頑張っているのだからと、わたしはわたしで自分の仕事や趣味を楽しんでいました。それでも問題ないむしろ自分の時間を楽しめるいい妻じゃないかと思っていました。
次第にわたしもひとりの時間を優先しすぎるようになってしまったのです。

そうやって、一日中同じ屋根の下にいても食事は3食全て別、寝る時間も場所も別という生活が続き、共通の話題がなくなってしまいました。
そのうちわたしは段々と、彼とふたりでいる意味がわからなくなってしまいました。

そこで中断していた妊活のことを思い出しました。
妊娠すれば、子育てをすれば、ふたりでいる意味ができると思ったのです。
また前回の妊活の時と状況が変わり、周りに妊娠・出産をする人が増えたことで、子育てに対する不安を少し軽くなっていました。
そうしてふたりでいる意味を作る手段として、子供がいてもいいのでは?と考えるようになりました。
(今振り返ってみれば命に対して安易な理由だし、自分で中断しておいて勝手だったと反省しています。)
その後、勇気を振り絞って彼に話した記憶があります。

なぜ妊活が辛かったのか

2度目の妊活を始めた時には、既にふたりの生活リズムがずれている状態でした。
また結婚当初から性行為が(わたしにとっては)少なく、夫婦のコミュニケーションのひとつとして日常的にできている状態ではありませんでした。
ふたりの性行為は、妊活のための義務になりました。
それがとても、とても辛かった。

何度か辛い気持ちを彼に伝えようとしましたが、緊張してしまったり、時間が合わなかったりと、うまく伝えることができませんでした。
この時点でしっかり本音を伝えていれば…と今振り返ると思います。

しまいには生理日管理アプリの通知が来てそろそろだなと思うと、その夜が怖くなってしまいました。
後になって気づきましたが、おそらく彼も、緊張してしまい楽しめていなかったのだと思います。
「これでは子供を作るどころか彼を嫌いになってしまう」と思い、解決方法を探し始めました。

カップルカウンセリングを受けた

解決方法を探している時期、たまたま以前記事にも書いたABEMAオリジナルドラマ「30までにとうるさくて」を観ていました。
ドラマの中では婚約者との性生活に悩む登場人物のひとりが、カップルカウンセリング(ドラマ中ではセックス・セラピー)を受けるシーンがあり、とても印象に残ったのです。

カウンセラーさんが間に立ってそれぞれが思っていることを聞く、そして最後にファシリテーターになってふたりの話を整理する、これならわたしも彼に本音が話せるかもと思いました。

相性の良いカウンセラーさんを探す方法

ドラマと同じようにふたりでカウンセリングを受けてみたいと思い、まずネットで対応しているカウンセリングルームやサービスを検索しました。
その中で選んだうちの一つは「カップルカウンセリング」と検索して上位だったところ。
もう一つは悩みである妊活や性を軸に検索しました。
「セックス・セラピー」の検索結果の中から、信頼できそうな日本性科学会のサイトからカウンセリング室を見つけました。
予約電話とはいえ、性の悩みについていきなり電話で話すことに抵抗があったので、相談内容をテキストで送ることができる予約フォームがあったのも選んだポイントでした。

以前のカウンセリング経験から、カウンセラーさんとの相性は話してみないとわからないと感じたので、上記の2つを選んで良いと感じた方でカウンセリングを続けてみることにしました。

また彼にも、ふたりでカウンセリングを受けたいという旨を相談しました。
その時、妊活に対する感情や改善をしたい旨を伝えようとしていましたが、1度目の妊活時同様、自分の感情や提案を上手く伝えられずに泣いてしまったり、相手に伝わりづらい文脈で話してしまっていました。
それに対して彼も解決策がわからなくなり、話を最後まで聞くことができなくなっていたのだと思います。
お互いの本音を素直に話せていませんでした。

カウンセリングを通じて、お互いの感情が初めて見えた

抱えている問題を整理するため、まず一人でカウンセリングを受けてみることにしました。
2つのカウンセリングルームを選んだ中で、どちらの初回のカウンセリングでもボロボロと泣いてしまいました。
泣いてしまった理由は辛かったからというよりは、自分以外の他人に初めて感情を伝えられたことや、話を最後まで聞いてもらえる嬉しさによるものだったと思います。

2つのうち、より話しやすく時間の都合がつけやすい方とのカウンセリングを継続することにしました。
そして問題が整理されたところで、ふたりでカウンセリングを受けることにしました。
(それまで複数回かかったのですが、カウンセラーさんはわたしの心の健康を第一に寄り添いながら話を整理してくださり、本当に感謝しかありません。)

そしていよいよ彼とふたりでカップルカウンセリングを受けることになりました。
ふたりで最寄り駅で待ち合わせをして、カウンセリングルームに向かいます。
カウンセラーさんがファシリテーターになり、「今どう感じているか?」「今後どうしたいか?」など、それぞれに疑問を投げながらお互いの考えや感情を引き出し、整理しました。

カップルカウンセリングは2回行いました。
1回目は比較的冷静に話が進み、付き合っていた頃のように週末ふたりでデートをしてみる、という具体的な改善策を出すことができました。

2回目はお互いかなり感情を出したカウンセリングでした。
怒りや悲しみを隠さず素直に伝え合うことができたと思います。
これまでふたりきりで話していた時は、お互いが相手にどう思われるかを気にしすぎてしまい、感情を出すことがほとんどできていませんでした。
(とはいえ前述の通り、わたしは何度も彼の前で泣いているのですが、彼への悲しみというよりは自分の考えを上手く提案できないもどかしさや悔しさに対する涙だったような気がします。)

第三者として間に立ち、代わりに質問を投げかけてくれるカウンセラーさんがいたからこそ、お互いの本音を話すことができたのだと思います。

2回目のカウンセリングの日、彼が映画以外で泣いている姿を初めて見ました。
約7年弱一緒にいて、初めて見た感情でした。
少しおかしいかもしれませんが、感情的になっている姿を初めてみて少し嬉しかったのを覚えています。
(と同時に本音をいうと、ここまで引き伸ばしてしまったことへの後悔や残念な気持ちもありました。)

2度のカウンセリング後どちらも、ふたりで外食をしました。
今まで家では話せなかった仕事の近況や最近興味を持っていることなどを話すことができてとても良い時間を過ごしました。

カップルカウンセリングを通じてお互いの本音を伝え合うことができたわたしたちは、冷静に今後の自身の人生やふたりの関係について考えられるようになります。
この時にやっと、「わかってもらえない」という気持ちがおそらくお互いに解けたのだと思います。
冷静に考えた結果、ふたりで妊活は続けられないが子供がいないままふたりの生活を続けることもできない、という結論に至り、離れることになりました。

”ふたりにとって”理想の夫婦をつくるには

振り返ってみると、わたしたちは世間的な理想の夫婦の条件に当てはめていくことばかり考えてしまい、”ふたりにとって”の理想の夫婦をつくるための努力が足りなかったのだろうなと思います。
結婚式、家事分担、家の購入などは、スムーズに進んだように見えて世間が思う理想の夫婦像を正解として選んでいたような気がします。
ふたりが離れる最大の理由となった子供に関する選択は、自分たちの意思で行動できなかったことが対応が遅れた原因かもしれません。

わたしたちはどうすればよかったのか。
たらればを言ったらキリがないのですが、問題を冷静に整理する機会があたからこそ分かった、自分なりの反省点をまとめてみたいと思います。

世間の当たり前=自分の人生の当たり前ではない

最大の反省はこれです。
最初に妊活に対する違和感を覚えたときに本音を話せなかったことや、母になりたいと思えない自分はおかしいと、自分の気持ちに強制的にフタをしたことが、本音を言えなくなるきっかけを作ってしまいました。
世間で言われている当たり前を全部自分に取り込む必要はなかったと、今では思います。

また、夫婦やカップルにおける正解のテンプレなんてないんだと気づきました。
「こうすればパートナーが喜ぶ」「円満でいるためにはこうするべき」「良い妻とは・夫とはこんな条件」…そんな恋愛や夫婦関係に関する本やメディアの言説、SNS投稿に囚われすぎず、たったひとりの相手を見ることが重要だったのです。

夫婦の本音を言い合う機会を意識的に作る

夫婦やカップルで一緒に生活をしていると、本音を言うタイミングやテンションがすごく難しく感じます。
重要な話題ほど、相手に意見がありそうな話題ほど、日常生活の中で何気なく話すのは本当に難しい。

本音を言い合う機会やきっかけが難しい場合は、第三者に頼ると感情を伝えやすいということが、今回分かりました。
またできれば親や友人ではなく、カウンセラーさんのようにそれぞれに全く個人的な関係がない第三者の方が冷静に話を整理しやすくなります。

理想なのは、月1、半年に一度など定期的に夫婦・カップル会議をすることだと思います。
冷静に振り返る機会があれば険悪な雰囲気になる確率も減らせそうだし、定期的にふたりで話す機会を設けることで、「あの時言えばよかった」という後悔が残りづらくなるように思います。
定期的な夫婦・カップル会議に、カップルカウンセリングを活用するのもよいのかもしれません。

次また誰かと夫婦になる機会があれば、この反省は活かしたい。
そして、読んでくださったカップル・夫婦の方々、そして今はパートナーがいないという方も、ぜひ世間の考えに振り回されすぎて自分たちの本音にフタをすることのないように生きてほしいと思い、それを伝えるためにもnoteにまとめてみました。

離婚するまでに、夫婦のパートナーシップや恋愛・婚活、妊活に関する情報収集の難しさや、働き方・キャリアなど様々なことを振り返ったり実感する機会がありました。
それらについても少しずつ、noteにまとめたいと思います。