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小説を上手く書くために小説講座を探そう②  各地域のカルチャーセンターでも小説のノウハウを学べる

前回に引き続き、小説講座・小説教室について書いていく。前回は2つの講座に触れたが、私なりの基準で選んだ、残りの3つの講座を紹介したい。文末に小説講座、小説スクールの一覧を掲載しているので、参考にしてほしい。まずは歴史のある文藝学校から。


文藝学校

「文藝学校」は、1953年に開校した日本文学学校の流れを汲んでおり、小説、詩、エッセイ、シナリオの書き方を学べる。郷静子、三木卓、ねじめ正一、中沢けい、伊藤比呂美といった、芥川賞・直木賞などの文学賞を受賞した作家や詩人を数多く輩出し、書きたい人の悩みに寄り添い、作品づくりをサポートする教室である。

通学コースと通信教育コースがある。

講義形式
通学コース:講師によりテーマが異なる。受講生から事前に提出された作品への合評による全員参加型の授業を行う。
通信教育コース:実作指導が基本。初級は400字詰原稿用紙30枚以内を2~3ヵ月ごとに5回提出。中級は60枚以内を3ヵ月ごとに4回提出し、上級は100枚以内を4ヵ月ごとに3回提出する。
期間・回数
通学コース:春期(4月~9月)と秋期(10月~3月)に分かれ、各コース全10回。「初歩からの実作」は第1・3土曜日、「小説の描写と構成」は第2・4土曜日の午後(14:00~16:45)に授業がある。他にも文章教室がある。
通信教育コース:随時入学でき、期間は1年間。
費用
通学コース:入学金1万円、授業料は2万5000円で、合評作品のコピー代などの教材費が別途かかる。不定期参加も受け入れており、1回3000円で参加できる。
通信教育コース:入学金5000円、受講料は4万8000円。
場所
通学コース:東京都新宿区西早稲田
その他
1回限りの添削の「おためしコース」もある。1回の添削で1万円。
ウェブサイト
文藝学校 通学・通信講座

通学コースは講師によりテーマが異なり、各講座の定員は12名。「小説の描写と構成」では、受講生から事前に提出された作品への合評(クラスの参加者からの建設的な批評)を通して、よりよい作品に仕上げていく全員参加型の授業を行う。

通信教育コースは実作指導が基本で、希望のジャンルやコースに適した講師を選定し、マン・ツー・マンの指導を受ける。

通信教育コースでは提出された作品を丁寧に添削し、講評や創作方法などに関するコメントを付けて戻す。講師に聞きたいことや疑問点、要望などを対話用紙に書くと、講師からアドバイスがもらえる。

また、1回限りの添削の「おためしコース」があり、1回1万円で受講できる。400字詰原稿用紙50枚以内で1人1回だけ提出でき、詩の場合5編まで可能だ。

薄井ゆうじの『小説塾』

4つ目として紹介する「薄井ゆうじの『小説塾』」は、受講者が書いた小説を添削・講評し、アドバイスする通信講座。塾長の薄井ゆうじは『樹の上の草魚』などの小説を書いてきた作家で、推理作家・SF作家の都筑道夫の創作講座を受講して作家デビューした経歴を持つ。

「小説創作・1作品1回完結講座」と「小説創作講座・全6回・課題コース」の2つがある。

講義形式
「小説創作・1作品1回完結講座」は受講者が自由に書いた小説を塾長が丁寧に添削し講評を書いてアドバイス、指導する形式。
「小説創作講座・全6回・課題コース」は6回分のテキストと課題があり、それを基に小説を書いて提出する形式。課題を6回提出する。
期間・回数
小説創作講座・全6回・課題コース:1回目の作品を送ってから1年。
費用
「小説創作・1作品1回完結講座」は400字詰原稿用紙換算で100枚までが2万円。受講料金は1000枚(40万字)まで9段階に分かれていて、801枚~1000枚が9万円。
「小説創作講座・全6回・課題コース」は3万6000円。
場所・受講の仕方
通信講座
ウェブサイト
薄井ゆうじの『小説塾』 通信講座

「小説創作講座・全6回・課題コース」は、初めて小説を書く人にも分かりやすいように書き方のコツやノウハウが書かれた6回分のテキスト(1冊当たり10~17ページ)が送られてくる。

1回目のテキストを読み終わると、テキストの最後に課題が示され、毎回、その指示に従って作品を書いて提出する。例えば、「不思議な話を書いてください」など。

課題を提出して10日から2週間ほどで、『小説塾』から添削とアドバイスが届く。それをよく読んで2冊目のテキストを読み、末尾の課題で作品を書く。最初は10枚以下の短いものだが、6回目には50枚以下の作品まで、段階的に長い小説を書いていく。

『小説塾』の指導法は、受講者が書いた作品に沿って講評し、誤字脱字や言葉の使用法の間違いなど、細かな指摘も含めたさまざまな添削を行う。

読者の興味をひく作品導入部の作り方、中盤の盛り上げ方、後半の感動や読後感を意識した書き方、物語の展開の順序や人物の描き方、さらに、つじつまの合わない部分の指摘など多岐に渡る。登場人物の名前や性格づけ、小説の舞台設定についてのアドバイス、題名への提案などもある。

その作品に何が必要か、何が不要なのかを見極めながら、最善の作品になるようなアドバイスが行われ、実践的、具体的な創作訓練になることを目指している。

読まなければ上手に書けない。「読む」と「書く」を繰り返す

カルチャーセンター、文化センターを運営している新聞社や放送局が小説講座を開催するケースも多い。小説に関連する出版社の小説講座もある。

朝日カルチャーセンター

5つ目に紹介するのは、全国11カ所に教室を持つ朝日カルチャーセンター。新宿、立川、横浜、名古屋、中之島(大阪市)の5カ所で小説講座を開催しており、通信講座、オンライン講座での小説講座も運営している。

新宿教室には小説の創作に関する講座が18件あり、「プロをめざす実践小説教室」を例に概要を紹介しよう。

講義形式
通学スタイルの「プロをめざす実践小説教室」は400字詰原稿用紙換算で、制限枚数1回200枚の作品を開講前に提出。各自が書き上げてきた作品について講評し、作品の質とは、良い小説とは、などをアドバイスし、魅力的な小説が書けるように指導する。
期間・回数
3カ月に6回の講座がある(火曜日の夜)。
費用
受講料2万4420円、教材費2640円、設備費990円。朝日カルチャーセンターへの入会金が5500円で、合計3万3550円。
場所
新宿教室のほか、立川、横浜、名古屋、大阪に小説講座がある。
その他
ほかにオンライン講座もある。
ウェブサイト
朝日カルチャーセンター 小説講座 通学(全国)・通信講座

「プロをめざす実践小説教室」の講師は文芸誌の「海燕」(福武書店、現ベネッセコーポレーション)や「野性時代」(角川書店、現KADOKAWA)の元編集長の根本昌夫。新人作家の発掘や育成に定評があった編集者で、退職後はカルチャーセンターや大学で小説講座を担当している。

編集者時代に島田雅彦、吉本ばなな、小川洋子、角田光代、佐伯一麦、小林恭二など多くの作家を発掘してきた講師が、「読まなければ上手に書けないし、同時に、書かなければ上手に読めない」という小説の定理を、作品に沿って解説していく。

小説のジャンルは純文学、ファンタジー、ホラー、SF、ミステリー、時代小説など、幅広く対応している。

他に、新宿教室には編集者、作家、文芸評論家が講師を務めるコースがあり、各地域の教室によっては大学教授や文学振興会のスタッフが講師になることも。

オンライン講座には「入門・小説創作ゼミナール」「作家に学ぶ小説作法」「小説実践教室 エンターテインメントを中心に」などの講座がある。

「入門・小説創作ゼミナール」は原稿の書き方、人称の選択、時間軸の作り方など、小説を書くための基礎を毎回(全6回)解説し、あわせて提出された作品の講評をする。講師は文芸編集者の松岡弘城で、必要に応じて添削し、講評・指導する。

松岡は日本経済新聞社で記者、文化部での書評欄の担当、作家の取材、連載小説の編集作業に携わり、退職後はフリーランスで小説の編集、コラムの執筆を手がけている。

400字詰原稿用紙換算で約20枚を提出し、講評する。この講座は教室とオンライン講座の同時開催となっている。受講料2万1120円、教材費5280円。朝日カルチャーセンターへの入会金が5500円。

オンラインだけの講座には「作家に学ぶ小説作法」があり、講師は作家の宮原昭夫。ハンセン病療養所内の学校の生徒や教師を描いた『誰かが触った』で芥川賞を受賞し、現在「横町のご隠居」を目指している作家が後進を指導する。

実力のある書き手なのに、小説を書くときに思い違いをして伸び悩んでいるケースが多いと言い、事前に提出した作品を基に、小説を書くポイントを伝授する。指定の土曜日の午後に7回の講座があり、受講料は2万3100円(会員登録が必要)。作品のテーマは自由で、字数制限はなく、毎回1~2作品を取り上げる。

朝日カルチャーセンター以外でも、全国紙や地方紙の新聞社、放送局が小説講座を開催している。

小説講座を大別すると、書くことを繰り返し、小説を書き上げるまでを段階的に指導するコースと、すでに書いた小説を講評し、よりよい作品に仕上げるコースがある。

友人も学んでいる小説講座をいろいろ調べてみて、書き上げた小説を第三者、プロの目でチェックしてもらうことは有意義であると感じた。つたない小説をどう書き直せばいいのか、指導を受けたいと考えている。

紹介した5つ以外にも、小説講座を開講しているところは数多くある。代表的な小説講座を以下に掲載しているので、教室探しに活用してほしい。(敬称略)

この連載記事は、以下のような流れになっています。
1 小説を書きたいと思い立った「いきさつ」
2 どうしたら小説が書けるようになるの?
3 小説を上手く書くために小説講座を探そう 


小説講座、小説創作スクールの一覧


NHKカルチャー


通学(全国)・通信講座

NHK学園オープンスクール 小説の書き方 超入門


通学(東京)

よみうりカルチャー


通学(全国)・通信講座

毎日文化センター エンタメ小説講座


通信講座

産経学園 小説講座


通学(東京・大阪)

道新文化センター 小説創作教室


通学(札幌)

ぎふ中日カルチャーセンター


通学(岐阜)

神戸新聞文化センター 高井信の小説講座


通学(神戸)

日本カルチャー協会 あなたも物語の主役になれる小説講座


通学(福岡)

目黒学園カルチャースクール 小説の文学賞をめざそう


通学(東京)

池袋コミュニティ・カレッジ 小説の作法


通学(東京)

早稲田大学エクステンションセンター 文学の心


小説教室 作家別に学ぶ小説教室など
通学(東京)・オンライン

山形大学公開講座 小説を書こう!


通信講座

東京作家大学


通学(東京、横浜、さいまた)・通信講座

心斎橋大学 創作・小説コース ジャンル小説コース


通学(大阪)・通信講座

大阪文学学校 小説クラス


通学(大阪)・通信講座

バンタンゲームアカデミー ノベル学部


通学(東京・大阪・名古屋)

シナリオ・センター


通学(東京)・通信講座

シナリオ・センター大阪校


通学(大阪)

CWS創作学校


通信講座

天狼院書院 「文章術」講座


通学(全国)

鈴木輝一郎小説講座


通学(岐阜)・通信講座

榎本メソッド小説講座


通信講座

高橋フミアキの小説スクール


通信講座

ムラマサ小説道場


通信講座

本当に「書ける」ようになるための小説教室


通学(東京)・通信講座

ライタースクールWOOD


通学(東京・横浜)

編集の学校 文章の学校


通学(東京)

小説・シナリオ教室 初心者でも書ける プロ指導の小説講座


通学(東京)

パルミー ライトノベル講座


通信講座

ヨム・カク・ミル・シル 新潮講座


通信講座

カクヨム小説創作講座


通信講座

山形小説家・ライター講座


通学(山形)・通信講座

敬道学園 NC土曜セミナー 小説・ストーリー創作講座


通学(名古屋)

金沢文芸館 小説講座


通学(金沢)

わかつきひかる小説教室


通学(奈良)

花野組福岡「作家塾」 小説講座

通学(福岡)

リビングカルチャー倶楽部 初めての文章教室~自分史・エッセイ・小説


通学(鹿児島)

ストアカ


通学(全国)・通信講座

N高等学校・S高等学校 作家講座(ネットで学ぶ課外授業)


通信講座

総合学園ヒューマンアカデミー 夜間・週末講座 小説・ライトノベル通信講座


通信講座

アミューズメントメディア総合学院 ノベルス専科


通信講座

アミューズメントメディア総合学院 小説・シナリオ学科


通学(東京)

東放学園映画専門学校 小説創作科


通学(東京)

専門学校デジタルアーツ東京 ノベルス・シナリオ学科


通学(東京)

TCA東京コミュニケーションアート専門学校 ノベル&シナリオマスター専攻

通学(東京)

日本マンガ芸術学院 小説クリエイトコース


通学(名古屋)

大阪アミューズメントメディア専門学校 ノベルス文芸学科


通学(大阪)

OCA大阪デザイン&テクノロジー専門学校 シナリオ&コンテンツ企画専攻


通学(大阪)


アマゾンのキンドル出版で、2023年8月、ペーパーバックと電子書籍の小説が発売されました。「権力は腐敗する」「権力の横暴や不正を許さない」をテーマにしており、お時間のある方はお読みください。
『黒い糸とマンティスの斧』 前原進之介著


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