見出し画像

日本独特の文化:関係性を読み解く能力

こんにちは。今日は引き続き大雪警報発生中のバンクーバーを忘れるべく、4年前に行ったドミニカ共和国の海の写真を選びました。毎年、真冬に南の島でゴルフ休暇をして英気を養っています。

さて、今日は宮本亜門さんの本を読んで感じた『日本独特の文化』について書いていこうと思います。海外で生活すると日本を客観的に見ることができるので日本にいる時は当たり前すぎて分からなかった事に気付くことがあります。以下、障害者の子供をもつ親に対して主人公が言ったセリフです↓

『五分後に理不尽な死に方をするかもしれない満員電車の中の人達。お前たちの幸福とは、いつも他の者との比較によって得る幸福だ。私の方があいつよりも良い大学を卒業した。私の方があの人よりも大きな家に住んでいる…』

主人公が言うように、日本には他人との比較により優劣をつけるという考えをする人が多くいると思います。日本は島国で単一民族なので、全員が同じように制服を着て足並み揃えるように教育を受けます。それ故に、少しでも異種であると目立ってしまうし、同じことを強要されて育ったからこそ些細な違いに注目したがる民族とも言えると思います。

日本でマウンティングという言葉が数年前に使われ始めましたが、実に日本文化を象徴する言葉だなと思いました。体育会系の上下関係や年功序列の文化(上下関係文化)は、学生の頃から徹底的に叩き込まれる日本独特の文化です。ただ、IT革命後は、若い社長が溢れ出して一部の業界では日本でも変わってきていますが、上下関係文化は消えることはないと思います。なぜなら、上下関係文化は日本独特の言語や作法に関連していると思うからです。

日本語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語があり、立場によって私たちは使う言葉を選びます。日本語教師の講座を受講していた時に、この感覚を外国人に教えるのは非常に難しくて、日本語を流暢に話せる外国人でも殆どが習得出来ないと教わりました。確かに、ここまではっきりと3つに区別されている言語は世界的にも他にありません。これらを使い分けるには、上下関係という感覚をしっかり持つ必要があり、そこから自分の立場と相手との関係性を考えなければいけません。普段、私たちが殆ど無意識にしている言葉の取捨選択は実は非常に難しい事なので、おそらく100%正しく使いきれる人は日本人でも多くないと思います。

*** *** ***

これに関連し、日系商社で仕事をしてた時に、カナダ人の上司から驚かれたエピソードがあります。その日、日本からの出張者3名とお客様2名がきて御挨拶をする機会がありました。最初はカナダ人の上司も入ってたので英語で、その後日本人だけで日本語で話しました。数分後、上司に5名の関係性を報告すると、「何で名刺交換もしてないのに関係性が分かったの?」と聞かれました。

確かに初対面で事前情報もなかったのですが、お部屋に入って数分様子を伺った結果、出張者のうち2名は同じ部署の部長Aと課長B、もう1人は他部署の部長C、お客様は1名はトロント支店長Dでもう1名はバンクーバー支店長Eということが分かりました。その際に使った情報は以下の通り↓

*着席している位置関係(上座にお客様)

*直属の上司は役職名で呼び、他部署の人は〇〇さんと呼ぶ

*直属の部下は〇〇と呼び、敬語は使わない

*同じ社内でも、面識が余りないと丁寧語を使う

*社外の人に話す時は、社内の人間を〇〇と呼ぶ(上司であっても)

*お客様には尊敬語と謙遜語を使い分けて、立場を明確にする

*年功序列と予測した上での外見の違い(顔・髪型・スーツ・時計)

上記の情報は、上下関係と尊敬語・謙譲語・丁寧語の区別を把握していて、上下関係を元に然るべき作法を教わった日本人の私だからこそ着眼できた点です。新卒時代の新人教育では、名刺の交換の仕方、敬語の使い方、座る位置やお茶出しの順番や作法まで細かく教わったのを覚えています。社長秘書時代は、お茶出しをする順番やお土産を渡す順番を決めると言うのが日常でした。そんな風に、あの時に徹底して教えられた事をカナダに来ても生かす事になるとは思ってもいませんでしたが、多くの日本人訪問者を接待をするカナダ支店長の秘書をするにはどれも必須のスキルでした。

カナダ人の上司には細かく説明はしませんでしたが、英語で話すだけでは分からない事が、日本語で話すことによって把握できると言う事に驚いていました。これは、正に上下関係を示すために生まれた敬語のおかげだなと思いました。事実、敬語と言う文化のおかげで、メールを読んだだけで関係性が分かったり、少し話をするだけで関係性を把握できる事があり仕事上も便利なこともあります。でも、それは彼らが瞬時に他人と比較して優劣をつけて言葉選びをしている結果でもあります。

*** *** ***

こんな風に、海外に住むと日本の文化について改めて考えさせられることに直面したりします。日本には素晴らしい文化が沢山ありますが、やはり個人的には他人と比較して幸福度を感じる傾向があるのは好きになれません。他人と比較する癖がついている人は、いつも外にばかり目がいって、自分自身や心の声を聞いてあげられていないと思います。私の哲学、"Happiness is in your mind"を基づくと、これは幸せになるのに一番してはいけないこと。と言うわけで、今日の一言はこちら↓

“Comparison is the death of joy.”― Mark Twain

*今日の1曲:Seasons of Love from RENT  琵琶湖クルーズ知った曲;なぜか聞くと涙が出てきます


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?