私の周りの優しい人たち #給付金をきっかけに
私は結構お金にシビアだと思う。
言ってしまえばケチなのだ。
特に他人に対して。
でも、私の周りの人たちは、器が大きくて優しい。
今回のコロナ禍で、より一層それが際立って感じられ、そして自分のふるまいを見つめなおしたいと思った。
そんなお話。
夫の場合
夫は決して浪費家ではないのだが、趣味にそこそこお金を投じるタイプの人だ。
そして、仲良くなった人をとても大事にして、ちょっと兄貴風を吹かせたい。そんな人でもある。
そんな夫が、このコロナ禍で僅かながら、継続的にサポートをしているお店がある。
大阪府枚方市のクラフトビールバー
『Beer House Hobbit (ビアハウス ホビット)』
『ビアバル ガレット - beer bar garret -』
2つの姉妹店だ。
現在の夫の趣味の1つが”クラフトビール”。
国内外の醸造所で作られる特徴あるビールを飲み、その味を楽しみつつ、お店の人や常連さんと仲良くなる。
そんなひとときを、私も一緒に楽しんできた。
この2軒のお店は、昨年までの夫(そして時々私)の行きつけで、枚方という地方都市で数少ない、クラフトビールをがっつり飲めるお店なのである。
さらに、ビアバーという形態を超え、行政と協力して街でイベントを行ったり、”枚方ビール”を発売したり、枚方という街をビールで盛り上げるべく精力的に活動している。
我々夫婦は昨年まで別居で暮らしており、夫は長いこと、この街に住んでいた。
当初は大学の友人が数名関西圏に暮らしていたが、転職や異動でだんだんと友人の数も少なくなり、私は一時期「友達減ってるけど、生活大丈夫かな?楽しめる趣味とか新しい友人とかできるかな?」と、失礼ながら夫のことを心配していたこともある。
時はクラフトビール旋風より数年前、先に少しずつ海外ビールに注目が集まっているタイミングで、もともと夫婦でビールが好きだったこともあり、「私はいけないけど…」と、大阪で行われる大き目のビールイベントを夫に紹介した。
夫は、もうその時には数少なくなっていた、大阪在住の大学の友人と共にそのイベントに参加し、そこで出会い意気投合した人たちの手引きで、クラフトビールにハマることになる。
大阪市内に出れば、クラフトビールを扱う素敵なお店がたくさんあるものの、枚方から梅田近辺まで出るのが意外と遠いし面倒くさい…。
住んでいる街で美味しいクラフトビールが飲めないものか…と探し(しかも最初は別の店に行こうとしたが、開いておらず急遽予定を変更し)、見つけたのが『Beer House Hobbit』だとかなんとか。
そんな偶然なのか、はたまた運命なのか、辿り着いた1軒のお店は、夫にとって”行きつけの飲み屋”以上の存在となった。
程よいサイズ感で、店員や常連とよく話せ仲良くなれる店内。
代表や店長・店員が若く、年齢が近いこともあり、店員と客の枠を超えてプライベートで旅行をしたり、結婚式に招待いただいたりしたそうだ。
通っている間に姉妹店もでき、店舗運営だけでなく色々なイベントを行うようになり、そこに顔を出したり手伝ったりして、また常連さんとも仲良くなる。
そのつながりは、夫にとって会社以外の大切なコミュニティとなった。
しかし、現在我が家は東京住まい。
コロナ禍で大阪に旅行に行く予定もない。
だが、多くの飲食店が困っているように、この小さなお店も困っていることが、Facebookの投稿等で伺えた。
近くにいるなら、テイクアウトを利用することもできるのに。夫はずっと何かしらのサポートがしたいと考えていたのだろう。
そんな中、お店の代表がサポートを募るサイトを立ち上げた。
お店で後日使用できるチケットや、店頭で販売していたTシャツ、テイクアウトに利用できるグラウラー(生ビールを持ち帰れる容器)等をネットで販売しはじめたのだ。
夫はすかさずこのサイトを利用した。
現時点でお店に行く予定はないが、「毎週通ってた頃のように」と、少しずつ、しかし継続して何かを買い続けた。
楽しい思い出のあるお店がなくならないように。
仲良くしてくれた人たちが、これからも夢を追えるように。
夫のこの気持ちと行動を、私は勝手に誇らしく思う。
いつか落ち着いたら家族で枚方に行こう。
またこの場所で楽しくビールを飲んで、
そうだついでに京都も旅しようかな。
きっと枚方の”ついで”に京都という人は多くないだろうが、この場所がそれくらい夫にとって大事なのだと、私も知っている。
※この記事のトップ画にもなっており、応援サイト上のブログに使用されている画像を撮影したのは私です。ビールを持つ手が夫。
母の場合
私と実家の関係は、一般に思い浮かぶものより少しドライだと思う。
LINE等での連絡は2~3ヶ月に1回。
通話はまずしない。
ほぼ事務的な用事のみで、これは子供(母にとっての孫)が生まれてからも変わらない。
実家が遠いのもあり、帰省頻度は年1~2回。
しかし、私は実家が好きだし、実家との関係も良好だと思っている。
単に遠いから中々帰れないだけで、もっと近いならもっと帰りたい。
LINEの頻度が低いのも、そういう性格なだけなのだ。
そんなちょっとドライな母から、珍しく連絡があった。
「北海道の牛乳の消費が大変らしいから、プリン送るね」
実家から荷物が届くなんて…
一人暮らしの時にも滅多になかった。
それが『Farm Designs』の『牧場の白いプリン』だった。
母は私だけでなく、親戚等の複数個所にこういった贈り物をしているようだった。
他にも色んな地方で、色んな食材が余ってしまって困っていることを、ニュースやネットで見た人も多いだろう。
そういった食材も買ったようだった。
また、コロナ禍で大きな打撃を受けている音楽業界、地元の交響楽団を寄付という形で応援をしたそうだ。
「まだ振り込まれていないけど、給付金の半分以上、寄付や余って困っている食品を買うのに使ってしまった〜」
と、母。
あれ?そんな人だったっけ…
ドライな母のイメージからは、ちょっと意外な行動だが、ここにも大変な状況で、自分の周りを少しだけ支えようとする人がいた。
1人の行動はとても小さいかもしれないが、周りをサポートしている人たちは、思ったより沢山いるのかもしれない。
その積み重ねで助けられている人たちも、たくさんいるのかもしれない。
コロナ禍で、この春は実家への帰省がキャンセルになってしまったが、遠からず帰れた時には、私から母に何か贈りたいと思う。
私の場合
私の身近な人が、この環境でこんなに周りをサポートしようとすることに驚いた。
もちろんあくまで自分が深く関わった、ごくごく一部に対するごくごく僅かなサポートではあるし、サポートをしないからといって、それが悪いわけではない。
まずは、自分と家族の生活が最優先であり、給付金だって必要なことに使うのが当たり前だ。
ただ、幸いなことに我が家は、コロナ禍で収入が減らなかったので(詳細を言えば、残業代が減ったり、光熱費等の支出が増えたりした面はあるが)、給付金は貯めるのではなく、プラスαに使おうという話になっていた。
私自身が今のところ、どこかに直接分かりやすいサポートを行なっているわけではない。
でも、給付金で家族の生活に余裕を生むためのものを購入する予定なので、その結果少しでも周りを見る余裕ができたなら、「アレを買うならどこか」「コレを食べるならどこか」と、ちょっと考えて選択するだけでも、自分の好きな場所を応援することに繋がるな、と"私の周りの優しい人たち"を見て考えている。
とはいえ、夫も母も私も、旅行などのリアルな体験が大好きなので、堂々と現地に行ってお金を落とせる世の中に早くなってくれればいいなぁ〜、と願っているのだった。
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