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ラ・マンチャの風車

スペイン、カスティーリャ=ラ・マンチャ州トレド県、コンスエグラ。"ドン・キホーテ"の舞台となったラ・マンチャ地方の街です。

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トレドからバルセロナへ戻る行程の途中、アクセスも悪くなく、ガイドブックを開くとサフラン祭りも開催されているよう! スペインを代表する景観の一つとしてもあげられるその景色を見てみようとコンスエグラに決めました。トレドからはバスで向かいます。一時間程バスに揺られ到着。小さな町、乾燥した空気。大きなスーツケースをガラガラと引いてまず宿を目指します。

まず、スーツケースを引いて街を歩いている人はおろか、町人も道に見当たりません。通り過ぎる車から不思議に思われているであろう視線を感じながら歩き続けます。道も勿論スーツケース用に造られていないので一苦労。けれどもとにかく早く、この大荷物を部屋に収めなければ探検は始められません。

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宿は居酒屋かバーの上にあるお部屋。他に宿泊者もいなさそうで(あぁそうだった)と言わんばかりの反応で店主が何処かに電話を掛け人を呼び寄せ、到着した若者に荷物を運ばせます。バーの傍宿を営んでいるのでしょう。中途半端なホテルより、こういった個人経営の小さなお宿の方がどこか安心感があり私は好きです。

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こんな町並みです。人も見当たりません。静かで雑音も無く、皆どこに隠れてしまっているのだろうと思うくらいでした。旅先での非日常と現地の日常の空気感の差異を強く感じ、不思議な感覚に包まれました。時間が止まって自分だけがそこにいるよう。

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そのくらい人とすれ違わなかったのです。そんなことを考えながら、ひたすら風車がある丘を目指します。歩いて40分くらいだったかと思います。風車が見えてきました。けれども真っ直ぐダイレクトには向かえません。車道にそってぐるっと回って歩いていきます。

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たどり着いた丘の上。大きな風車が気持ち良く立ち並んでいました。役目を終えた風車達ですが、姿はそのままここに居続けているんだなと思うと、その存在をより大きなものに感じます。

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一つの風車に入るとサフランの花から香辛料のサフランを摘む作業を行っていました。

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花のめしべが香辛料となります。綺麗な紫の花です。

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ここでしか味わえない空気と景色を十分に堪能して町に戻ります。もうしばらく居てもいいなとも思いましたが、しばらくしていくつかの観光バスがこの景色を目指してやってきました。大きな都市からの観光ルートとしての一つなのでしょう。ここに紛れるのもなと思い、潔くスタスタと道を戻りました。バスからはまた何となくですが不思議そうな視線を感じました。そもそも歩くような道ではなかったかもしれません。

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町に戻り、サフラン祭りの小さなイベントがゆるーくスタートしたのは予定の時間の30分後くらい?でした。流石ヨーロッパの田舎。

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縦長に張られたテント内ではこの地域の伝統工芸品や食べ物が売られ食べ歩きできました。これはオリーブに魚の酢漬け、パプリカの串。縁日とはまた少し違いますが地域の小さなお祭りといった雰囲気です。日中あれだけ誰も居なかったのに子供から大人まで集まってきました。素朴で暖かいそのお祭りにどこか懐かしさのようなものを感じました。

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出店で買った大きな揚げパンが食べきれず、(2、3ユーロくらいで三つもついてきた)程よい疲労感もあったのでスーパーで朝ごはんも一緒に調達して宿へ。

さぁ帰ろうとしたところで携帯の充電が落ちました。予備バッテリーも無く‥まぁ地図があるので大丈夫だろう昼間も歩いたしと宿へ向かうのですが、街灯少なく、中心地を少し歩いただけなのに、また人がいなくなりました。見知らぬ土地で流石に不安になり、遠い先を歩いていたカップルがいて、どうか道を曲がらないでと祈って歩いていましたが、ふといなくなってしまいました。また道も合っているかわからない。大きな孤独感を感じていたら寝巻き姿の小学生くらいの女の子が突如現れました。カタコトのスペイン語で話しかけたらどうやら、あの宿の子供と友達らしくわかるよと道案内をしてくれました。天使です。この感謝を知っている僅かなスペイン語で伝え続けましたが、頑なににノーイングリッシュと言われ続けました。無事辿り着き、本当にありがたかったです。夜遅くに謎の言葉を話すアジア人に親切にしてくれて‥

そんな忘れならないエピソードのある町コンスエグラでした。


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