映画『マッチング』は2つの家族の物語である
※少し本編内容に触れている部分があります。
2月23日より、映画『マッチング』が公開されている。キャストに土屋太鳳、佐久間大介(Snow Man)、金子ノブアキらを迎え、恋愛マッチングアプリをめぐる恐怖を描く。
マッチングアプリ婚をしたカップルが次々と殺されていく事件が巷で噂になっていた。そんな中、恋愛に奥手な唯島輪花(土屋太鳳)はマッチングアプリ「Will Will」に登録し、不気味な青年・永山吐夢(佐久間大介)と出会うことに。その一方で、アプリのエンジニア影山剛(金子ノブアキ)とも仕事で知り合い……というのが物語の始まりだ。
マッチングアプリの市場規模は急速に拡大している。そのため恋愛や結婚、または事件に発展することもなんら不思議なことではなく、とてもリアリティのある題材。マッチングアプリだから恋愛に関するものがテーマだろうと考えていたが、大きなテーマとして、"家族という縛り"が掲げられているのではないかと感じた。
家族から受け継ぐものはたくさんある。たとえば苗字だったり財産だったり、はたまた家だったり。ときには、罪や復讐でさえも。たとえば輪花は、ウエディングプランナーとして担当したカップルや親友までもが殺され、愛する人がひとり、またひとりと失われていく。とんでもない巻き込まれ体質……というわけではなく、実は輪花の父が昔に家族を裏切ってしまった過去に原因があったのだ。そして影山は、不倫相手に捨てられたことにより、自傷行為を繰り返すほど悶え狂う母を見て育つ。母の苦しむ姿がトラウマとなり、徐々に不倫相手を憎むようになった末、母の代わりに復讐に手を染めることになる。
輪花や影山の家庭を観ていると、いかに家族とは切っては切れないものなのだと思い知らされることになる。絆とも言い換えられるある種の"縛り"に身体が震えた。そしてこの恐怖は、吐夢の背景と真相を知ったとき、さらに増幅することだろう。
この作品は、マッチングアプリの恐ろしさというより、家族や人の愛と縁の恐ろしさを描いた映画である。ぜひ、劇場で。
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