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【取材記事】NFTゲームを通してアフリカの貧困問題を解決 新しい未来の社会貢献のカタチ

NFTゲームならではの“遊びながら稼げる(Play To Earn)”の特性を生かし、社会課題の解決を目指す企業があります。アフリカを中心としたゲームギルド「Ninja Game Guild(ニンジャ ゲーム ギルド) 」を運営するGUILD(ギルド)株式会社 は、NFTゲームを通じてアフリカの若者が抱える貧困問題の解決に取り組んでいます。ゲームギルドとは、ユーザーのゲームプレイに必要な資金やツールをサポートするコミュニティのこと。初期投資なくNFTゲームが始められ、かつゲームを攻略するための有益情報が得られる場として機能しています。

今回は代表の小宮滉さんに、NFTゲームを軸とした社会貢献の仕組みづくりやアフリカ地域に着目した理由についてお話を伺いました。

【お話を伺った方】

GUILD株式会社 代表取締役 小宮滉(こみや・あきら)さん
神奈川県出身。法政大学 経営学部卒業。大学在学中にプログラミングスクールでエンジニアメンターや暗号資産交換業者にて勤務。2017年頃に暗号資産を触って以降、暗号資産周りに関する興味関心が増え日々リサーチをしていた。


■NFTゲームのスカラーシップ制度を通じて発展途上国を支援


mySDG編集部:そもそもNFTゲームとはどういったゲームなのでしょうか? 仕組みや特徴について教えてください。

小宮さん: NFTゲームとはブロックチェーン技術をベースに開発されたゲームの総称です。NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)は、偽造や改ざんを難しくするブロックチェーン技術を活用して作られた唯一無二のデジタルデータのこと。NFTゲーム内では、プレイヤーのキャラクターやアイテムに至るまでがNFTになっていて、それらを暗号通貨で自由に取引できるので、ゲームをしながらお金を稼げるというのが大きな特徴です。

mySDG編集部:NFTゲームを通して、どういったサービスを提供しているのでしょうか?

小宮さん:大きく分けて2つあります。1つ目はゲームギルドとして、ゲームプレイに必要なNFTのレンタルを行っています。NFTゲームにおけるスカラーシップ制度と呼ばれるもので、ゲームを始めるためにNFTを購入する金銭的負担を軽減できるのがメリットです。

2つ目は既存のNFTゲームのマーケティング支援を行っています。NFTゲームにおけるマーケティング戦略の策定やコミュニティの設計・運営を担っています。

ナイジェリアの先駆的なゲームプラットフォーム「Awujo」とパートナーシップを締結している
鳥取県eスポーツ協会・eスポーツ商社REEV社ともパートナーシップを締結

mySDG編集部:1つ目のNFTのレンタルとは具体的にどのようなビジネスモデルを確立されているのでしょうか?

小宮さん: NFTゲームの運営会社から購入したNFTをスカラー(NFTを借り受ける人)に貸し出し、スカラーがゲーム内で稼いだ報酬が会社の売上になります。報酬はそれぞれ定められた比率でスカラーと分配しています。

SDGsの観点から言えば、僕らは発展途上国の方にNFTをレンタルすることで、彼らの経済的支援につなげています。実際にゲームをプレイして得た報酬で大学の授業料を支払ったり、PCを購入したりする人もいれば、衣類やお米など衣食住に関わるものにお金を使ったり、薬を購入したりする人もいます。発展途上国の中でもアフリカを拠点にしているゲームギルドは少ないのでそこが僕らの特徴でもあります。

mySDG編集部:どういった背景でアフリカに着目されたのでしょうか?

小宮さん: 今後、大陸として伸びしろがあること、加えて仮想通貨の保有率やWeb3へのネイティブ親和性が高い人たちが多いことからです。特にスカラーシップ制度は東南アジアで注目されている印象でしたが、たまたまナイジェリアの方がいたことからアフリカ大陸について調べてみると、Web3領域での可能性を非常に強く感じました。

■1年間の休学期間を経て、大学卒業後すぐに起業

休学期間中は暗号資産取引所を運営する企業でインターンを経験。マーケティング部で広告運用や企画策定、PM業務に携わった。

mySDG編集部:起業されたのは大学卒業2ヵ月後の2022年5月ということですが、どういった流れで起業に至ったのでしょうか?

小宮さん:実は大学生4年生の時に、エンジニア就活をするかどうかを悩んでいて。そのタイミングでコロナが直撃したこともあり、1年間休学することにしたんです。休学期間は暗号資産取引所を運営する企業のマーケティング部でインターンをしていました。卒業まであと3ヵ月というタイミングでようやく今後のキャリアちゃんと決めなければと思い立ち、起業を第1候補に進めた感じです。

mySDG編集部:休学期間中には起業の構想はすでにあったのですか?

小宮さん:休学したときには特に思いついていませんでした。ただ、起業しようと決めてからは起業家シェアハウスに2ヵ月間入居していたので、そのときにはゲームギルドの運営みたいなことは構想としてありました。

mySDG編集部:かなり急ピッチで起業されていますが、起業のアイデアはどこから見つけたのでしょうか?

小宮さん:僕自身もNFTゲームをプレイしていたこともありますが、ちょうど大学卒業の時期にWeb3がトレンドとしてきていたことや、インターン時代に経験したWeb3領域のスキルを活かせると感じたことがアイデアとしてつながっていきました。

mySDG編集部:そこからトントン拍子に起業に至ったのはすごいですね。

小宮さん:資金調達の際も、事業のトレンド感や年齢的な将来性を評価してもらえたので、時代性や起業した年齢といったタイミング的なものは大きかったかなと思います。

mySDG編集部:NFTゲームも今後ますます発展が見込まれる分野ではありますよね。

小宮さん:そうですね。今のゲームアプリの構造上、開発費が増えていく課題があり、手数料の問題から儲かりにくい構図があります。今後は大手ゲーム会社もブロックチェーンゲームに移行していく可能性も考えられるので、今まで以上にNFTゲームに触れる機会は増えていくのかなと考えています。

■現地の主要人物を招いて、ナイジェリアでWeb3イベントを初開催

mySDG編集部:事業の中で、特にPRしたい活動について教えてください。

小宮さん:2023年5月にはナイジェリア・ラゴスにあるラゴス大学で80名ほどが集まったWeb3イベントを開催したことです。

mySDG編集部:イベントではどのような内容を企画されたのでしょうか?

小宮さん:僕たちの事業内容を紹介したり、現地のWeb3領域の事業者計7名を招いて、アフリカにおけるWeb3の将来やアフリカでNFTをより効果的に活用する方法ついてトークセッションを行ったりしました。あとは、NFTを無料で譲渡するコーナーを設けたり、実際にNFTゲームを楽しんだり。“Future of Web3 between Nigeria and Japan”のタイトル通り、Web3を通して日本とアフリカが友好関係を築くことを目的に開催しました。

mySDG編集部:ちなみにどんなきっかけからイベント開催までつながったのでしょうか?

小宮さん:たまたま知り合ったラゴス大学の学生がナイジェリアのテックコミュニティに属していて、そのつながりから急遽イベントを開催できる流れになったんです。渡航する前はイベントを開くことは決めておらず、渡航後に開催が決まったので、開催日の3週間前くらいからスポンサー集めに動き出して、無事実施に至りました。

mySDG編集部:参加者の集客やスピーカーの手配など、大変だったのでは?

小宮さん:現地のコミュニティの方が宣伝してくれたり、事前におとずれたテックイベントで声をかけたり、あとはSNSを活用してDMをあちこちに送ったことで、集客につながったと思います。スピーカーの手配に関しては、僕がLinkedIn(ビジネス特化型のSNS)を通じて声をかけ、来てくださった方々です。Web3分野でのキャリア向けトレーニングプログラムを提供している企業の方や暗号資産を使った貿易決済サービスを提供する企業の方、アフリカのブロックチェーンコミュニティ団体の方など、アフリカのWeb3領域における主要な方々にお集まりいただくことができました。

mySDG編集部:イベントを通してどんな収穫を得られたとお考えですか?

小宮さん:NinjaGameGuildのコミュニティに参加してくださる方や、チームとして関わりたいと言ってくださる方が増えたことが非常に良かったです。リアルイベントを開くことで色んな方を巻き込むことができたことは大きな収穫でした。

■チームギルドの運営からさらに広がる今後の展望


mySDG編集部:今後はどのような展開をお考えですか?

小宮さん:今後の展開として大きく2つ考えています。1つ目は、東南アジアやアフリカへの進出を考えている企業への進出支援です。これまで培ったアフリカや東南アジア地域の知見を活用して、リサーチ及び、企画開発等での支援を考えています。

2つ目は今までゲームギルドの運営から得たコミュニティマーケティングの知見を活かし、企業向けのマーケティング支援を構想しています。業界問わず、Discord等でコミュニティを構築する場合は、とてもお力になれると思います。

mySDG編集部:アフリカは豊富な天然資源と急速な人口増加から、巨大なビジネス市場として世界中から注目を集めています。日本から進出するスタートアップ企業も増えているとか。

小宮さん:そうですね。アフリカでは一人当たりの可処分所得が少なく、大きな買い物ができない事情から、例えばレンタル・オートバイクのサブスクサービスを提供する日本企業もあります。あとは、アフリカでは銀行口座を持たない人が多く、モバイル決済が急速に普及しているので、アフリカ全土における「モバイルマネーサービス」への投資も注目されています。いわゆる、生活の営みを支える部分において、ビジネスチャンスを探る機運が高まっている様子が伝わってきています。

mySDG編集部:ゲームギルドの活動にとどまらず、アフリカを中心としたサステナブルな事業の発展を期待しています。小宮さん、本日はありがとうございました。

会社URL: https://guild.support/
Ninja Game Guildゲームメディア: https://ninjagameguild.jp/
X:@ngg_japan


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