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【取材記事】地球温暖化の防止、動物虐待の抑止に本気で取り組むPEEL Labのアップサイクルプロダクト、植物由来レザー。軽量かつ、耐水性・耐久性に優れたネクストレザーは、地球にもお財布にも優しい。

PEEL Lab は東京を拠点とするB2Bスタートアップ企業です。フードロスのアップサイクリング、地球温暖化の防止、動物虐待の防止、など自然環境や社会への配慮をビジョンとして掲げており、国際動物愛護団体「PeTA」のメンバーです。今回、株式会社REMANOとパートナーシップを締結し、「REMANO Terra」という新ブランドを立ち上げ、第一弾プロダクトとしての植物由来レザー製「ヨガたたみマット」を発表。新感覚のヨガマット開発の背景、広まって欲しいと思うSDGs活動成果や、今後の目標などを、代表のJim Huangさんと通訳の水野さんに伺いました。

お話を伺った方

Jim Huang(ジム ファン)さん
PEEL Lab代表
コーネル大学卒、シカゴ大学MBA。金融業界にて10年勤務。その後、東南アジアにある
スタートアップのメンタリングに従事。2019年フードテックベンチャー創業。
2022年PEEL Lab創業。サステイナブル(持続的)な社会的インパクトに特化した連続起業家として、地球温暖化の抑止、食品廃棄ロスの再利用、動物への虐待回避を使命としている。


■外食産業の食品ロスに課題を感じ、アップサイクル事業に目覚める。製造過程によるCO2排出量が圧倒的に少ない「植物由来レザー」を開発

Peel Labの植物由来レザー

mySDG編集部:創業の経緯を教えて下さい。

Jim Huangさん:創業の目標、テーマは3つありまして、食品廃棄ロスの抑制、動物への虐待回避、地球温暖化の抑止です。その方法として、果物の皮、竹の皮などをアップサイクルし、植物由来レザーをつくるビジネスを選びました。それから、PEEL Labは男女平等を実現しています。女性も会社の中で正当に評価され、活躍しています。

mySDG編集部:Jimさんは何故この事業領域に興味を持たれたのですか?きっかけは何だったのでしょうか?

Jim Huangさん:きっかけは、PEEL Labの前にフードテックベンチャーを経営していたことです。日本では、食料のロスが多くて、パンの「みみ」なども食べなかったりしますよね。コンビニで売っているサンドウィッチには「みみ」がない。お寿司チェーン店などでは、ごはんが大量に廃棄になる現状があり、大変もったいない。その廃棄されるはずだった食料を使ってビールを作るベンチャーだったんです。その経験から、食品廃棄ロス抑制と、アップサイクルにより再利用することに大変興味を抱き、同じく廃棄されてしまう果物や竹の皮を使い、今度はレザーや布を作ることを始めたんです。

■参考写真:PEEL Labの植物由来レザーの原料でもある、廃棄予定だったパイナップルの葉

mySDG編集部:御社の今回のプロダクトについてお伺いしたいのですが、「ネクストレザー」と題する植物由来レザーは、動物のレザーと比べ、どんな特徴があるのですか?

Jim Huangさん:さわりごこちは似ていますね。動物レザーより優れているところは、軽くて、耐久性、耐水性にも優れていて、価格も安い。それから、PEEL Labのレザーは、ヴィーガンでかつ持続可能、自然由来の素材から環境に配慮した製造過程を経て生産されています。動物性レザーや合成レザーの代替品であるだけでなく、地球に影響を与える廃棄物、排出物、その他の汚染物質を削減し、自然環境や社会へ貢献しています。
例えば、製造過程によるCO2排出量が、動物レザーに比べて圧倒的に少ない。動物レザーは1m作る過程で、107kgのCO2を排出するのですが、私たちの植物由来レザーは1mで4kgのみの排出で製造できます。地球温暖化の抑止にはとてもよい製品だと思っています。

もう一つは、日本ではSDGsに配慮した製品ですと、高価だろうと思われることが多いのですが、私たちの製品は安価です。通常のエシカル製品の高価なイメージには当てはまらない製品なんです。PEEL Labのレザーの良さは価格と優れた性能だと、理解して欲しいと思っています。

mySDG編集部:SDGsに配慮したプロダクトは高価だというのは、我々も実感している部分ではあるのですが、Peel Labの植物由来レザーはどんな方法で価格を抑えることができているのですか?

Jim Huangさん:今回、タイにも現地法人を立ち上げたのですが、アジアに拠点がありまして、原料を集めるのも作るのも全てアジアで行っていますので、輸送コストや人件費などを抑えることができています。原料費もジュース工場などの製造過程で不要な皮などの資源を使用しますので、コストは大分安く抑えられています。

■参考写真:パイナップルレザー製のトートバッグ

mySDG編集部:りんごやパイナップル、ヤシやココナツなど様々な植物をレザーの原料としてお使いなのですが、それぞれの原料に違いや特徴などはあるのですか?

Jim Huangさん:素材選びをするときに、繊維が多い素材を原料とします。繊維が多いことで耐久性の良い製品になり、ハンドバックやファッションアイテムだけではなく、使用頻度の高い車のシートや、ソファなどに使えるレザーになります。

mySDG編集部:現在は、ヨガマット、トートバッグ、ランドセルなどのプロダクトがありますが、作る商品のチョイスはどのようにしているのでしょうか。

Jim Huangさん:B2Bビジネスをしていますので、商品はお客様からの注文を受けて作っています。OEMサービスを皆様に提供しています。

写真:パイナップルレザー製のアームチェア


■販売されているヨガマットはプラスティック製がほとんど。自然を愛するyogiのために、たたみ触感「ヨガたたみマット」で新しいチョイスを提案。

写真:竹由来素材レザー使用の「ヨガたたみマット」

mySDG編集部:今回のヨガマットはどういった経緯で作ることになったのでしょうか。

Jim Huangさん:ヨガマットを作った理由は、現在売られているヨガマットは全てプラスティックで出来ているからです。SDGsに配慮したヨガマットがない状態なので、消費者に選択肢を与えるためにつくりました。「ヨガたたみマット」は、染色をしていませんし、プラスティックも使っていません。とても環境に良い商品になっています。今回、株式会社REMANOから販売するのですが、竹由来の素材から生産されています。

mySDG編集部:一般的なヨガマットと比べ、質感や使用感などは違うものですか?

Jim Huangさん:コロナ禍で製品を作ると考えた時に、抗菌性が大事だなと思いまして、このヨガマットは抗菌加工をしてあります。手触りはたたみの触感です。これは他のヨガマットにはない特徴ですね。それから、軽いので持ち運びに便利です。

mySDG編集部:SDGsに配慮した製品であることを一般の消費者に伝える難しさを企業さまからよく伺います。御社はB2Bということですが、一般の消費者に伝えているメッセージはあるのですか?

Jim Huangさん:今回のような、mySDGのインタビューなど、SDGsに関心、関連のあるメディアを通して、自社のプロダクトの概念を伝えていきたいと思っています。
会社のビジョンはとてもはっきりとしているので、わかりやすいと思います。

動物レザーや合皮の製造には、労働者に長期的な健康問題を引き起こす可能性がある化学物質が使われています。PEEL Labは、働く人がそのような健康へのリスクがない製造方法にしています。さらに、動物性素材の使用や虐待もありません。

「ヨガたたみマット」のように、信頼性のある企業とコラボレーションをし、安全な生産過程を踏み、安全な製品を作ることで消費者にアピールをしていきたいと思っています。

多くの種類のプロダクトを持っている企業でも、その多くのプロダクト中の一つだけが、SDGsに関連のあるものだったりすることがあります。しかし、PEEL Lab は全部がSDGsに配慮したプロダクトです。私たちは、地球温暖化の防止、動物虐待の抑止に本気で取り組んでいます。こうしたメッセージを発信し続けることが一番大事なことだと思っています。


■環境に配慮した製品を通して広げたいのは、SDGsコミュニティ。次の目標は新しいプロダクトに取り組むこと、次のCEOを女性にすること。

mySDG編集部:是非、mySDGでも御社のアピールのお手伝いをさせて頂きたいので、今取り組んでいることや、重要なアピールポイントを教えて下さい。

Jim Huangさん:今、取り組んでいることは、大阪の靴の工場と植物由来レザーで靴を作ることです。もう一つは、耐水性があるレザーなので、ボートの座席を作る試みです。
これらは新しいプロダクトのアピールなのですが、この他に、私が一番重要と考え、大切にしていることがあります。それは、SDGsや地球温暖化の抑止を大切に考えている人たちのコミュニティを作ることです。
それを一番のゴールと考えておりまして、とてもアピールしていきたい点です。

今、共に働く人を探しております。社員はもちろんですが、デザイナーや職人など、コラボレーションで一緒に製品をつくることができる方と出会いたいです。

mySDG編集部:現在も色々な企業とコラボレーションしていますが、御社のどのような部分に魅力があるからだとお考えですか?

Jim Huangさん:スタートアップ企業ということで、注目度も高かったのではないでしょうか。また、各企業の課題である、環境に配慮した商品を作ることが、PEEL Lab のレザーを取り入れるだけで可能になる点も魅力なのでしょう。しかし、一番の要因はやはり価格にあると思います。今まで動物レザーを使うことが当たり前でしたから、その当たり前を変えるには価格が安い、というのが一番影響力があり、早く取り組めるポイントだと思います。

mySDG編集部:今後の展望、目標などをお聞かせください。

Jim Huangさん:今は、地球環境への配慮を大切にし、日本でのビジネス展開だけでなく東南アジアでの農業廃棄物の課題や、廃棄ココナッツを活用して新しい素材の研究開発にも取り組んでいます。
次の目標は新しいプロダクトに取り組むこと。
動物愛護の精神から生み出されたPEEL Labの植物由来レザーはPeTA(全米最大の動物愛護団体)によって公式認定されています。2030年までに日本のレザー市場の5%を、この植物由来素材にしていきたいです。

PeTA認定ロゴ

Jim Huangさん:それから、いつもmySDGを読んでいる方に商品を試してもらったり、コラボレートしたいとも思っています。SDGsのコミュニティを拡大するためですね。私にとって大きなひとつのゴールだと思っています。

食の分野でも新しいプロジェクトを開始したばかりです。PEEL Lab : NEXT FOODS(ネクストフード)です。スーパーフードとして注目を浴びるスピルリナを主原料としたパスタとパウダーを販売しています。こちらも力を入れていきたいですね。

Jim Huangさん:それから、いつもmySDGを読んでいる方に商品を試してもらったり、コラボレートしたいとも思っています。SDGsのコミュニティを拡大するためですね。私にとって大きなひとつのゴールだと思っています。

食の分野でも新しいプロジェクトを開始したばかりです。PEEL Lab : NEXT FOODS(ネクストフード)です。スーパーフードとして注目を浴びるスピルリナを主原料としたパスタとパウダーを販売しています。こちらも力を入れていきたいですね。

それと、初めにもお伝えしました、SDGs目標5にもある男女平等をより一層実践していくために、次のCEOを女性にすることです。女性の方でSDGsを大切に感じていて、CEOに関心がある方は是非ご連絡ください。一緒に働きましょう!

mySDG編集部:最後に、なぜJimさんはそんなにも女性活躍に関心をお持ちなのですか?

Jim Huangさん:女性は男性と違う視点があります。違う意見が沢山あると、会社としても成長するので、女性を高いポジションにしたいと考えています。

mySDG編集部:女性にとって勇気になるメッセージと素晴らしいお話をありがとうございました!


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