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【取材記事】SDGs配慮製品のアイディアを実現。懐かしいフィルムカメラと最新テクノロジーで「大切な思い出と歴史」をアップデートできるグッズを開発。

往年のフィルムカメラをiPhoneと専用アタッチメントでアーティスティックなデジカメにアップサイクルさせる「デジスワップ」を発表した
ファイヤーワークス株式会社代表の小森さまに、製品開発のきっかけや、製品を通して伝えたい環境配慮への想いなどのお話をお伺いしました。

【お話をお伺った方】

ファイヤーワークス株式会社
代表:小森義浩様

プロフィール アパレルのグラフィックデザイナーを経て、滋賀県の写真屋(サンスタジオ)へ25歳の時に入社 店舗運営、店舗開発を行い29歳の時取締役に就任。
38歳で関連会社のIT会社の代表に就任と同時にサンスタジオを子会社化。
サンスタジオからファイヤーワークス株式会社へ社名変更と同時に代表就任。
47歳IT会社の取締役退任時、ファイヤーワークスを買取り現在に至る。現在52歳。


■始まりは写真屋から

mySDG編集部:ファイヤーワークス株式会社の創業経緯を教えて下さい。

ファイヤーワークス株式会社

小森代表:私が25歳の時に、滋賀県長浜市の写真屋(サンスタジオ)に入社しました。
フィルム写真の現像、焼き付けが主だった同社。当時はフィルム写真が主流の時代でしたが、私が取締役になった頃にデジタルカメラが出てきました。
次第にフィルムを使わなくなり、かろうじてプリント需要はありましたが、現像作業は無くなりました。その後、スマートフォンが主流になってくると、スマートフォンの中で写真を見るので、プリント作業も無くなっていきました。写真屋さんの需要が無くなってしまったんです。

当時の写真屋は駅周辺などの身近にあったものでしたが、今は見つけるのも大変という程、無くなってしまったんですね。
サンスタジオに在籍していた頃、私はデジタルカメラをインターネット販売をしていた手腕を買われ、関連会社のIT企業に迎え入れられ代表を務めました。
後に、サンスタジオはIT会社に買い取られる事になり、当時11店舗あったお店は全て閉め、ネットプリントのみの事業に縮小となりました。
IT会社の代表業務も10年間の任期がありましたので、辞任後、写真事業を私が買い取り、今のファイヤーワークスを立ち上げました。

mySDG編集部:IT企業はどのような分野の企業様だったのでしょうか。

小森代表:システム開発やレンタルサーバーの会社ですね。自分で開発するのではなく、経営者として業務を行っておりましたのでフィルムの世界からIT企業の代表といっても、問題はなかったですね。

■若い世代のカメラへの興味が「デジスワップ」の開発のきっかけ

デジスワップ

mySDG編集部:今回の製品のiPhoneとカメラの融合は、小森さんのご経験から生れたんでしょうか。

小森代表:写真屋の経験で、撮影や現像もしていましたし、カメラの機種や構造なども熟知しておりました。また、iPhoneのアプリの事も扱っておりましたので、そのあたりも長けておりました。

ある日、以前の写真屋の従業員が、フィルムカメラの修理事業の設立を相談してきたのですが、私は難しいと感じました。
フィルムカメラの歴史は長く、数多くの機種があります。カメラのプロではない人が、簡単に修理できるようなハードルの低いものではない。修理なので、パーツも問題もあり、既に販売していないものもある。
極めて技術的な職種になるので、逆に壊してしまうかもしれないとアドバイスしました。
その相談をしてくれた方はとても若い方だったんです。改めて若い方もフィルムカメラに興味があることに気が付き、独自に調査をしてみると、若年層の間でフィルムカメラが一定層に人気があることがわかりました。
しかし、フィルムカメラが主流だった25年位前は24枚撮りのフィルム1本の価格が100円代だったんですが、今はおおよそ1200円位。現像は1本800円とかなり高価になっています。
フィルムを買って、現像して、データをiPhoneに送ってもらうと2800円位が相場です。
1カット100円以上のコストで皆さん楽しんでいることになります。

mySDG編集部:昔と比べると高価になりましたね。

小森代表:そこで、フィルム生産が終了したらどうなるのかという疑問が浮かびました。
フィルムが無くなると、一世紀にわたり作られた大量のカメラが置き去りになります。まだ動いていても、需要がなくなればただの飾り、もしくは不要物になってしまう。
フィルム写真の世界にいた私としては大変寂しい。

 [デジスワップ静止画撮影サンプル] Canon F1 + FD 50mm F1.8

レンズはデジタルカメラに付けられるアダプターなどがあるのですが、カメラ本体の方は利用価値がなくなってしまいます。
これをなんとかしたいと思い、色々調査していたのですが、ある時、昔よく写真館にあったハッセルブラッドというカメラのファインダーにスマートフォンをかざしてみたんです。
そうすると、被写界深度のあるとても雰囲気のよい写真が撮れたのです。
そこから、ヒントを得て、アプリ開発でフィルムカメラを活かせるのではないかと思ったんです。

mySDG編集部:その雰囲気はデジタルでは再現できないものですか?

小森代表:そうですね。デジタルは高画質を追求してきたものだったので、フィルムの雰囲気の再現はできていないと思います。近いのはシネマチックモードなどになりますかね。

フィルムカメラも技術革新もありましたが、今は止まっていて、懐かしさを感じるものですよね。スキャニングしてプリントする技術もありますが、出来上がりはフィルムのプリントと感覚が違うものになっています。

mySDG編集部:デジスワップを開発するにあたり、一番こだわった部分はどこなのでしょうか。

小森代表:アプリをiPhoneに入れて、アプリを起動すると、絞り、シャッタースピード、感度を合わせて、シャッターを切ることができるんです。この一連の流れを残したいと思っていたんです。

 [デジスワップ静止画撮影サンプル] Canon F1 + FD 50mm F1.8

mySDG編集部:開発するにあたって、困難だったことはありますか?

小森代表:難しいことは沢山ありました。特に、通常ですとiPhoneでカメラ機能を使うと、iPhoneのシャッターを押して、写真が撮れますよね。しかし、iPhoneのシャッターを切らずに、フィルムカメラのシャッターを切るようにどう連動させるか、という所ですね。
mySDG編集部:なるほど。iPhoneのカメラ機能は使わない、ということなんですね。

小森代表:そうですね。独自のアプリを開発しました。そのアプリを立ち上げることで、フィルムカメラと連動するようになっています。
アプリは、フィルムが感光する仕組みを採用していて、iPhone側のCCDが光を受けると記録を開始してシャッター膜が閉じると暗くなり、そこでシャッターを切る。正にiPhoneにフィルムの役割をさせているんです。

mySDG編集部:iPhoneがフィルムになる。斬新ですね!デジスワップはどういった方に広めていきたいですか?

小森代表:誰でも綺麗に写真を取れる時代になっていますよね。しかし、どうやったら綺麗に撮れるのかという仕組みは全くわからなくなっています。デジスワップを使うと、シャッタースピードや絞り、感度が、画像にどういう影響を与えるのかが非常に勉強になるものになっています。フィルムを通して行うと、現像、焼き付けの過程を踏まなければ結果が見えなかったので非常に時間がかかっていたのですが、iPhoneゆえに、効果がすぐに分かる。フィルムカメラをこれから始めようと思う方にも、参考になり、とても面白いツールになると思います。
若い方でクラシックカメラを始めたい方全般に、気軽に楽しんで頂けますね。

■デジスワップを通して伝えたいことは環境への関心

小森代表:実はですね、この技術開発にはもう一つ想いがあります。
あらゆるメーカーさんは、技術開発をされて新商品を出されているのですが、型落ち製品や中古になったものが出ますよね。
フィルムに関しては生産・現像過程で環境に良くないということで淘汰されてきた側面もありますが、実は今、ガソリン自動車も同じフェーズにきているのではと感じています。

今回のデジスワップの事例で、古いものと新しいものを組み合わせてアップサイクルさせることで環境に良いことにつながったり、自動車であればCO2を排出を抑えることにつながることになったりすると思います。
本来なら、販売元のメーカーがこのようなアップサイクルの取り組みをする方が効率的だと思うのですが、今のところそのような動きは見られないので、我々がアイディアを出して解決をしていかないといけないと感じています。
デジスワップを体験することが、様々な業界でアップサイクルが一般的になるきっかけになってくれると嬉しいです。

mySDG編集部:なるほど。古いものとテクノロジーをかけ合わせて、環境によいアイディアを与えて頂いたんですね。
こちらのアプリやアダプターはどちらで購入する事ができますか?

小森代表:現在は販売はしておらず、クラウドファンディングで挑戦中という段階です。
目標達成しましたら製品化致しまして、皆様にお届けすることができますので、是非ご支援頂きたいと思います。

クラウドファンディングKICKSTARTER:DIGI SWAP

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【お客様からのお問い合わせ先】

《ファイヤーワークス株式会社》担当:小森

e-mail: komori@1950vintage.com

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