研究)「潜在看護師の復職支援」 6.看護師のキャリアインタビュー 結果その1

6.看護師のキャリアインタビュー
​6-3.結果
​6-3-1.分析方法

データの分析には、グラウンデッドセオリーを用いた。
手順は、①録音したインタビューの逐語録を起こして発話データを作成、②切片化、
③コーディング④カテゴリー生成、⑤モデル生成という段階を踏んだ。


​6-3-2.潜在看護師に至る経緯と、そおから復職に至るまでの経緯

インタビュー調査の分析により、潜在看護師に至る構造と、そこから復職に至るまでの経緯が明らかになった。 

まず、「最初の職場での経験」により、自分が看護師として「適性が無いと思う」人と、「適性があると思う」人の2つに分かれる。
(図16)の左に示した「適性がないと思う」は、自分の理想としている姿と実際の姿(業務能力など)の乖離にショックを受けるリアリティショックのことを指している。


今回の調査では、実際に最初の職場での経験を最後に辞めた人は居なかったものの、
これまでにリアリティショックで辞めた看護師が居たという声を聞くことができた。


実際には、『もう本当に1年で辞めちゃう人もいる。最初はプレッシャーが大きかったり、日々の業務で手一杯で、
怒られ慣れていない人も多いから、それでだめだってなっちゃう(D)、(B)』 という発言があった。
右に示した「適性があると思う」は、最初の職場では仕事を辞めずに仕事を続けている、
今回の対象者全員が当てはまる。
実際には、『最初はもちろん大変ですが、そこを乗り越えたら、自信もついて看護師の仕事も楽しくなり、
向いているとも思える(C)、(D)、(E)』という発言があった。


「適性があると思う」という人たちが、離職をする可能性があることとしてぶつかるものが、結婚・出産・介護・転居などの「ライフイベント」である。
「ライフイベント」が起きると、看護師たちは「家庭に重きを置く」または「家庭と仕事を両立する」人の2つに分かれる。


「家庭に重きを置く」では、『親の介護で一旦離職(F)』、『子育てを優先したくて一旦離職(C)、(E)』、
『夫の転勤で引っ越しのため離職、引っ越し先で復職した(A)、(B)、(D)』という発言があった。
こちらの人々は、ライフイベントが一段落した段階で、看護職に復帰していた。


「家庭と仕事を両立」では、『子どもが生まれても経済的理由で働いている(A)』、
『外に出るためにも仕事もする(A)、(D)』、『子どもがいても働きやすい環境が整っていたので働いている(F)』、
『看護師の仕事が好きなので、両立している(B)』という発言があった。
こちらの方々は、制度を上手く利用したり、家族など周囲のサポートを得たりすることによって、仕事との両立を図っていた。

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(図16:潜在看護師に至る構造と、そこから復職に至るまでの構造)

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