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5年前、31歳、副社長へ宛てた手紙。

はじめに

株式会社ミリアッシュは、2017年2月8日に設立されました。この記事が投稿された2021年9月現在では、4歳半くらいです。

また、2021年9月17日で、私竹谷たけやは36歳になります。

身体的には誕生より36年が経過していますが、精神がしっかりと生まれたのは「会社を作ろう」と思った30歳の時点ですので、つまりようやく6歳となりました。ミリアッシュと較べ、竹谷の方が少し兄となります。

そんな竹谷にはもうちょっと上の兄がいまして、名は杉山剛すぎやまごうと言います。ミリアッシュの副社長です。

彼は竹谷より3ヶ月ほど急いで生を受け、前社でも半年先に入社しており、兄的な存在感をほしいままにしている人間です。

「杉さん、一緒に会社やらない?」

5年前となる2016年の去る晩秋、竹谷は杉山にそう言っていました。

そしてそのあと、杉山に文を渡しました。

なぜ杉山が必要なのか、といったラブレターではなく、単純に、竹谷が当時抱いていた想いを書いただけのものです。

「これまで同僚として、同じ部長という肩書で働いてきたけれど、竹谷は今こうして退職の意思を固め、新たに会社を作ろうと考えているんだ」

知ってほしい、共感してほしい。省みるに、そんなことを期待していたのでしょう。

杉山から快諾のサムズアップをもらい、寺井友志てらいともゆきというマーベル並みのヒーローも参戦して株式会社ミリアッシュが作られてから、竹谷は今日で5回目の誕生日を迎えます。

鮮度を失っていく記憶や、風化していく一念に対抗するため、その時の文を今一度記載しようと思った次第です。個人的な備忘録に近しいものとはなりますが、会社を設立しようという人間がその時考えていたことを晒すことで、何かに挑もうとしている誰かの第一歩にわずかでも貢献できれば、これに勝る喜びはありません。

※以降の文は、下記の通り匿名性のみを高め、そのまま掲載しています。

Aさん:前社の代表
B社 :前社

そのほか表現に拙さと厳しさが見えますが、どうかご理解ください。

手紙本文

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27のときに Aさん に拾ってもらい、以来設立間もないベンチャー企業でほぼ四年間、年齢で言えば31歳になるまで働いて、多くのことを学べた。物事を改善していく楽しさや、結果を出し昇格する面白さ。同時に、小規模だからこその、ひとりひとりの努力と能力に対して会社に起こる変化と、本人の与り知らないところで生まれていく肩書の重みも知ることができた。

入社前にニートをやっていた身としては、目まぐるしい刺激を五感に受け続けた四年間だったと思う。掛け値なしに、二十代後半を貴重な経験に捧げられたと、同世代の人々に胸を張って言える。

当然、いまも十二分に好きなことをやらせてもらっていると自覚している。世の会社がどれだけつまらなくて、そこに身を寄せる人々の大半がどれだけ受動的であり利己的であり他責的かというのも、理解している。

しかしその中で、自分でもやってみたい、という思いが脳裡を掠めるようになってきた。

おそらく、31という年齢が一定以上に関係しているのだろう。「三十にして立つ」と論語にあるが、比べるに私はまだ立てていない。そのうち社長になれればいいなと、温風が頭に吹くことさえある。このまま A さんのもとで安穏と暮らし、遣われる代わりに守ってもらうのも、一角の人生だとも考える。正社員、管理職、次期代表。これらの言葉が魅力的でないわけがない。

それでも、独立不羈を自らに課し、踏ん張って生きていきたいという欲が出てきてしまう。

言いつけは守り、ルールは破らず、期待には応える。思えば私はそういう人生を歩んできたのだと気づいた。ありがたいことに、そうそうできることではないと褒められることもあり、それはそれで嬉しいときもあるのだが、これらはすべて自分から発せられたものではないのだ。すべてが誰かの言いつけであり、誰かのルール、そして誰かの期待でしかない。いま私は経営者という山を登れと言われたから、登ろうと奮闘している。用意された杖を持ち、敷いてもらった山道を「大変、大変」と歩きながら。

そこが、心に落ちなくなった。納得できないというよりは、妙な悔しさのようなもの、歯痒さじみた感覚を抱いている。

そしてこの不鮮明な感情は、B社 に居ては晴れない。自ら選び、自ら荷を背負わねば、毫も消えてはくれない。自分で道具を集めて、山頂まで登りきれる道を、自分で見つける。上手にやれる予感はない。失敗して、誰にも見つからない場所で朽ち果てることもあるかもしれないし、それに対して恐怖もある。

しかしきっと後悔はしないのだろう。理想のために、苦闘していく未来を生きたい。

だから、B社 を辞めると決めた。

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おわりに

この時の心情をもとにした記事もあります。宣伝です。

また、この記事のプレビューを取締役寺井に見せ、

「実は、当時こんなものを杉山に書いていたのだよ、ふふふ」

と得意顔で伝えたところ、

「それどっかで読んだことあるヤツ~~」

と返され若干うろたえました。

不惑の四十まであと4年。竹谷の見せたがりは直るのでしょうか。

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せんもじ雑記とは:
書くといつも長文になってしまうのをなんとかするべく、1000文字を目処にエッセイのようなものを書こうとする試みです。「せんべろ」から感触をお借りしました。

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▽株式会社ミリアッシュはイラスト・ゲームイラスト制作会社です▽

▼最近eスポーツ会社DEPORTARを立ち上げました▼


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