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「日本のゲームクリエイターをTシャツにし、jbstyle.氏とともに全世界へ販売していく」と決めるに到った経緯。

記事に興味を持っていただきありがとうございます。
株式会社ミリアッシュの竹谷彰人と申します。

弊社はイラスト・ゲームイラスト制作を事業としています。2017年の設立時から、3名で続けている小さな会社です。

本日、こちらのプレスリリースを出しました。

この度、ゲームクリエイターのTシャツを製造し、世界中へ売っていきます。

なぜ、このような企画を立案し、実行するに到ったのか。プレスリリース内では書き切れなかった意図や思想を、こちらに記していければと考えています。

なぜ企画したか:ゲーム業界の後押し

スポーツはスター選手に、映画は監督や演者に。
若い世代はそういったアイコンに憧れ学び成長し、次世代を担っていくものだと思います。

1983年7月15日にファミリーコンピュータが発売されてから、30年以上経ちました。ようやく、ゲーム業界の歴史やゲームを制作した人物像等、文化的な物事に光が当たる時代になってきたように感じています。

最近では、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが、世界初となるSUPER NINTENDO WORLDを準備しています。世界中の人々が海を越え、マリオの帽子を被りに、コインを取りに、ブロックをジャンプして叩きに来ます。この記事を書いている時点では、行ける状況でないのが本当に残念でなりません。

ゲームで競うeスポーツも、ここ数年で隆盛を見せています。ゲームが上手ということが、単なる趣味を越え、新たなエンタメへ昇華しました。ちなみに竹谷はRTA(リアルタイムアタック)という、ゲームの最速クリアを目指すジャンルが好きです。マラソンや駅伝を楽しむ気持ちと近いように思います。

そんなゲームは、なにかと目の敵にされてきました。

竹谷は今年で35歳、つまり日本で一番売れているファミコンのゲーム『スーパーマリオブラザーズ』と同い年で、現在に至るまでゲームをどっぷり楽しんできた人間なのですが、「ゲームをしている」ことには、常にマイナスなイメージがある世代でした。

ゲームは子どもがやるもの。ゲームをしているとバカになる。

今でこそなんの臆面もなく「ゲームって本当に良いものですね」とあちらこちらで言っていますが、10代から20代にかけて、「ゲームが好き」と豪語することに竹谷はどこか抵抗を覚えていました。恥ずかしさ、と換言してもいいかもしれません。

世の中の感覚とずれている。ほかの同世代のみんなと好みが異なっている。「世の中」や「みんな」といった漠然とした言葉に不安を覚え、少数派であることを憂えてました。

今、ゲームに対する世間の目は、どうでしょうか。

逆風を感じる時は完全にないとは言えずとも、ゲームへ向けられる銃口や剣先は、だいぶ少なくなったように感じています。むしろ、先ほど述べたUSJやeスポーツのように、追い風さえ肌に感じます。

その風を、もう少し強くできるのではないか。そう思いました。

ゲームの語源は「ga(集まる)mann(ひと)」。転じて「喜び、楽しみ」、そして「ゲーム」となりました。

ひとが集まるから、楽しい。同じゲームをやったことがあるひとと語り合うのも、面白い。どれもが、本当に良い空間であり、娯楽の本質であると考えています。

だからこそ、ゲームを作る人々をフォーカスしたい。そしてその結果、ゲーム業界に生きる人々、ゲームを愛するプレイヤーたち、ゲームクリエイターを目指す次世代が、もっと憧憬や情熱を持って生きてゆける世の中にしたい。

その思いのもと、ミリアッシュはこの企画を立案するに到りました。

なぜ実現すると決めたか:ミリアッシュ・エクスクルーシブ

思いついた企画を、実現まで完遂する、と決断した理由は単純でした。

「他社がやらない」
「面白い」

上記の2点です。
サントリーさんの「やってみなはれ精神」の下位互換のようなものだったのですが、顧みるとこの2点こそ、ミリアッシュをミリアッシュたらしむる要素だったのではないかと思います。

まず、「他社がやらない」という点ですが、色々と理由はありますが、一番の要因は規模だと考えています。

ミリアッシュがやろうとしているのは、Tシャツの販売です。普遍的に人間が着る衣服の最たるものではありますが、大作ゲームのように数百万点売れる見込みはできませんし、「潜在的な需要があり、今後大いに伸びる」といった、ベンチャー企業が熱を注げる根拠にもなりません。そして、そういう市場のところに、大手が資金を投入して参入してくることもありません。

ミリアッシュが3名という規模だからこそ、実現できた話だと思っています。

次に、「面白い」についてですが、これは完全にミリアッシュとしての主観です。ゲームの趣味において、副社長杉山は格闘ゲーム、取締役寺井は戦場ドンパチもの、竹谷はRPGとホラーが好きですが、客観的な理由はたくさん挙げられたとしても、とどのつまり感性の問題となります。面白いから好きになるし、好きだから面白いと感じる素晴らしき上昇螺旋階段です。

今回の企画に際しても、最初は確か「2020年のオリンピックに向け、日本らしさを海外へ伝える和風なTシャツ」といった、作りたてのオムレツみたいにふんわりした内容でした。

そして企画を考え始めた経緯は、会社設立からそれなりに時間も経ち、メイン事業であるイラストの受託制作以外に軸を作っていかねばならない、という義務感を含んだ心境からでした。

「売れるかなあ」

当然、関心は損益の高低であり、算盤を弾いて数値をいじくり回しては、表を睨んで首を傾げていました。入るお金を予測してから、出すお金を決めるは商売人として当然の振る舞いです。

そんな折です。会議中、副社長杉山がお告げのように声を上げました。

「おお、竹谷よ、松山さんをTシャツにした方が面白いのではないかな」

彼の頭上に、ゲーム『サガ』シリーズでお馴染みの電球がぴこんと浮かんでいるのが、はっきり見えました。念のためですが、松山さんとは、今回デザインさせていただいたサイバーコネクトツー代表取締役の松山さんのことです。

「そっちの方が面白い、絶対」

そこからは、諸葛亮を得た劉備のように、迷いはなくなりました。ゲームクリエイターをブランド化していく。第1弾は八十の権謀術数をめぐらし松山さんにご許可をいただくとして、第2弾はだれにお願いしよう。そもそも海外へは、どのようにして売ればいいのか。ゲーム『ぷよぷよ』のように課題が積みあがってきましたが、解決すべき課題ができれば、あとはどうにかするだけです。

その後、まずはイラストを手掛けるイラストレーターjbstyle.さんに、企画を持ちこみました。場所は、新宿にある、焼き立てナンが食べ放題のインドカレービュッフェのお店です。食後にノートPCを使うにもかかわらず、指の汚れる食事を選ぶあたりが、なんとも食欲の権化竹谷らしい。

「面白いですね。やりましょう」

ありがたいことに、二つ返事でご快諾いただけました。一風変わった内容であることは先刻承知のゆえ、断られる可能性も低くはないだろうと見ていたため、深く胸を撫でおろしました。ナンの油が付いた手で。

そして、サイバーコネクトツーさんに商談へ行きました。

「いいよ。やろう」

こちらも忍者のように素早く、松山さんからご許可をいただけました。遊びやお食事をご一緒させていだたく機会は多くとも、お仕事の話をするのは初めてでしたので、もはやそこは腹だと言わんばかりに胸を長めに撫でおろしました。

描いてもらうひとと、描かせてもらうひと。枠組みが完成しました。

算盤をきちんと弾き、損益分岐表というかたちを彫刻したのはだいぶ最近になってからです。商売人から離れた行動に反省はしていますが、悔いは一寸もありません。面白いとミリアッシュが思うものを、信じて提案していく。それほどまでに、ミリアッシュの主観からなる「面白さ」至上主義で動いていました。

後日、企画書をToo Kyo Gamesの小高和剛さんへお見せした時も、

「想像のはるか上でした。面白いです」

と仰っていただけました。三度目となる、胸の撫でおろしポイントでした。

今だからこそ言えますが、「断られたらどうしよう」という不安は常在し、強弓の弦のように気を張り詰めていました。ミリアッシュは受託制作をメイン事業として始まった会社で、このような企画は初めてだったからです。

しかし、初めてだろうと不安だろうと、前進しない理由にはなりません。というより、「面白いからやる」という気持ちが、竹谷に、ミリアッシュ全体に満ちていました。

繰り返しますが、弊社はできてから3年程度しか立っていない、3名しかいない会社です。その会社の企画に、名のある先人たちが「面白い」と評してくれている。

この興奮たるや。

最初に「他社がやらない」と「面白い」の2点を企画実行の論拠として掲げましたが、結局のところ後者の「みんな、これ面白いよね!」と世に伝えたい気持ちが大いに強かったのでしょう。そして、その面白さに駆られてあたふたと動くあたりが、ミリアッシュらしさ、もう少し誇大広告にするなら、ミリアッシュ限定の意思なのだと思います。

なぜこの方々で枠組みを形成したか:「Rage」

この企画の肝は、当然ながら「だれに描いてもらうか」と「だれを描かせてもらうか」という2点に尽きます。

jbstyle.さんに、第1弾としてサイバーコネクトツー松山さんを、第2弾としてToo Kyo Games小高さんを描いてもらう。お三方とも、実際に会って話をお伺いし、威容を五感で受け、ぜひお願いしたいと強く思いました。

そう竹谷の感じた理由は、なんだったのか。

言語化もせずに、お三方に共通した「なにか」が竹谷の五臓六腑に染み渡って行くさまを漠然と観取していたのですが、プレスリリースまたnoteを書いていくにつれ、自ずと「なにか」の輪郭が、解像度を上げて目に映ってきました。

傑作映画『インターステラー』で引用される、詩があります。

Do not go gentle into that good night,
Old age should burn and rave at close of day;
Rage, rage against the dying of the light.

穏やかな夜に身を任せるな。
老いても怒りを燃やせ、終わりゆく日に。
怒れ、怒れ、消えゆく光に。
(※翻訳は映画の日本語字幕より)

ウェールズの作家詩人ディラン・トマスによるもので、死に瀕した老齢の父に向かって「怒れ」と、生きるのを諦めるなと伝えている詩だそうです。『インターステラー』の中では、宇宙へ挑む者たちへ、この詩は投げかけられます。

竹谷はこの詩の「Rage(憤怒)」という表現が好きです。緩慢に生きず、挑戦し、立ち向かおうとする。そのために必要な感情が「Rage」だと。

ゲームクリエイターである松山さんや小高さん、そしてイラストレーターのjbstyle.さんには、「Rage」があると、竹谷は感じています。それは世の中の理不尽な部分に対してであったり、悪意や悪行に向けたものであったり、自己へ抱くものであったり、簡単には流されまいとする反骨心であったり。

『ONE PIECE』のルフィも『進撃の巨人』のエレンも、『鬼滅の刃』の竈門炭治郎も、仲間を傷つける相手や、残酷な世界や、倒すべき敵に対して、尋常でない憤怒を保持しています。『ドラゴンボール』の孫悟空が超サイヤ人になるのも、怒りからです。根源的な原動力だからこそ、まっすぐで強く、ダイヤモンドのように砕けない。

クリエイティブに携わる人々は、どこか「Rage」を抱えている。それは「電車の遅延」や「上司同僚との人間関係」といった社会の麓に広がる沼に対してでなく、そもそもの社会を構成する大きな虚構に対して。ともすれば見知らぬ通行人から、「意識高い系」または「理想」と冷笑されてしまうような「Rage」を。

ご本人に直接確認を取ったわけではなく、あくまでも個人的な観点からでしかないのですが、竹谷は、彼らから発せられている「Rage」に魅せられています。

そんな方々だからこそ、単純な加算の和でなく、膨れあがる乗算の積になるに違いない。そう確信しました。そして、どうでもいい知識を披露しますが、積は英語でプロダクトです。

最高級に面白いプロダクト、つまり商品を、サイバーコネクトツー松山さん、Too Kyo Games小高さん、そしてjbstyle.さんとの掛け算で世に出す。今日、その思いが結実しました。

最後に

果敢に「面白さ」を追求するゲームクリエイターたちが、「面白い」と言ってくれている。こんなに嬉しいことはありません。

あとは、結果を出すのみです。面白くとも、売れなければ、続けることはできません。ミリアッシュが感じ、世界へ流布すると決めた「面白さ」は、きっと反応がある。

この企画を、ミリアッシュらしさを続けていくために、そしてご乗船いただいた松山さん、小高さん、jbstyle.さんへの感謝を伝えるために、売ります。

ぜひ皆様、お買い求めください。そしてシェア、リツイート等、拡散のご協力なにとぞよろしくお願い致します。

ここまで長文をお読みくださり、ありがとうございました。

■ECストア

■サイバーコネクトツー松山洋さんTwitter
■トゥーキョーゲームス小高和剛さんTwitter
■jbstyle.さんTwitter

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