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後部座席の優しい宇宙
確か6歳だか7歳の頃の日曜日、父と母と3つ下の妹と、揃って車で大型ショッピングモールへ買い物に出かけた。ファミレスでは、父がどれでも好きな物を頼んでいいと言うものだから、少し照れる気持ちもありながらステーキを注文し、口いっぱいに頬張った。腹いっぱいになって、はしゃぎ疲れて帰る家路。
車の後部座席で妹と並んで横になり、エンジンの振動に揺られ、まどろみながら聴くカーステレオ。そこから流れるスピッツの「ロビンソン」が好きだった。
"誰も触われない 二人だけの国 君の手を離さぬように
大きな力で 空に浮かべたら ルララ 宇宙の風に乗る"
歌詞とシンクロして心身が浮遊感に包まれる。
父が運転する車に安心し、カーステレオから流れる優しい歌声と、規則的なエンジン音、その中でまったりと優しいトーンで会話する両親の声を聴きながらまどろむ感覚を思い出すと、あの頃の私は、確かに父と母に愛されていたのだと感じられる。
父と母の愛情に包まれているイメージは宇宙の風に乗った自分であり、私の中で宇宙の風に乗る感覚は、今もあの父の車の後部座席だ。
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