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動けぬならば思考を旅へ。

今の仕事は通しシフトの日の勤務が12時間にも及ぶ。休憩時間も入れると14時間拘束になるコールセンターの業務なのだが、大変暇な日もあり、酷い時だと一度も電話が鳴らず椅子に座り続けるだけでその日を終える事もある。「この椅子が国際線の座席ならば、ニューヨークくらいなら余裕で着いてしまっているな。」なんて考えてしまう。

丁度10年前の秋、アメリカを旅行した事があった。3週間にも及ぶ旅行の最終日に、かなり安いコースではあったが、ハドソン川を周遊するディナークルーズを予約し、自由の女神の眼下となっているニューヨークの夜景を楽しんだ。その24時間後には地元の家電量販店のスタッフに旅先で壊れたスマホの機種変更を相談していた。空港と地元を結ぶバスを降りて10分もしないうちに日常に戻ってしまっている状況への違和感はとなんだか笑えた。

半日あればニューヨークにも行ける。
それを思う度に時間の使い方に気持ちが引き締まる。業務時間は行動が制限されている。誠に理解し難いのだが、暇な時間にネットサーフィンや読書も禁じられている。スケジュール帳やメモ用紙に書き物をする事は今の所咎められていないため、この駄文もこの時間を利用して書いたものだ。椅子に体が縛られているのならば、思考を遠くへ飛ばすしかない。今日はどこへ行こうか。退勤時間まであと9時間も残っている。

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