もっと白いもの 【小説 #15】

※最後まで読んでいただけます。
 実質360字ほどです。

※制作中、何か似たようなトラウマ?をお持ちの方がいらっしゃるかも知れないと気づきました。ご気分を害された方には申し訳なく思います。


それは、足音をたてるのではない。

そっと忍び寄る。
姿を現す間際に、すぐ近くを這う感触が現実になる。

子が怯え、若い母親はすぐに抱きかかえた。

私は、何発か投げてやった。

  「嫌なやつ、あっちへ行け。シッ!シッ!」

  「もう行ったからね」
  「心配しなくていいよ」
  「大丈夫だからね」

母親は会釈をする。

  (少し無理な笑みがあった・・・)

また、すぐに子を見つめる。
一心に慰めている。
子は、まだ何だか不安そうだ。
母親と、じっと見つめあう。

私は、その場を離れた。
私もまた、きっと笑顔を残して。

散歩道。
夕刻。
少し重たい感情があった。

何かに気づいた。
そうだ。どこかにいる。きっと見つめている。

心が小石を投げる。
何度も。
けれども嘲笑は消えなかった。

赤い舌が見える。
蛇の吐息がとどく。

  「白いうさぎほど、毒はよく回るのさ」

私は、手を結んだ。
じっと、瞼を閉じていた。

-終-

今回も読んでくださったことに感謝いたします。


#名案の小説11から15まで  
#名案の全作  

< https://note.mu/hashtag/名案の小説06から10まで

  https://note.mu/hashtag/名案の小説16から20まで >


あとがき 

何か、だんだん定期日報を書くみたいになって来た感じもします。

テキスト系の創作をする → こうして駄文を付け加える → 自分で限度と決めた日まで無駄な(ことが多い?)推敲を続ける → ついでに出来た詩をいくつか足しておく → UPする。

そういうルーティングワークと化してきました。

そのプロセスの記録。
それが、私のノートという感じになってきちゃいまして・・・。

う~ん。突破口を見つけたいところかな。

まあ・・・ 今回は、あまり語ることはせず。
こんなところで。

何か、悲しい作ですしね。
ちょっと季節感もズレてるし。(今は冬眠中では?)



巻末付録


自分の声【詩篇】


白い 手のひらの中にある
何が見える

赤い 火の中にある
ゆれるのは それはなぜ

風も とどくことはないのに

その手を 胸にあててごらん
眼を閉じて


私を見て【詩篇】


たとえば 死するとき

初めて 見つめること
初めて 人が 花となること

あなたが 
今 それを知ることは

決して 早くはありません


とまどい【詩篇】


忘れたもの
きっと 生まれかわる

消え去るのではなく
泣くのではなく

けれども 
あなたよ それはなぜ

言葉は 違うけれど
いつか見た

また あの笑みをして


小説の目次はこちらです 
https://note.mu/myoan/n/ncd375627c168 

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