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さいはての彼女 を読んでみた

本屋でいくつかの本に惹かれた。その内で原田氏の作品がいくつかあった。とても恐縮だけど、原田氏の作品を読んだことがなく、初めて読むのにはどれがいいかなという気持ちで絞っていった。
今回は、原田ハマ氏の「さいはての彼女」を紹介します。

・なぜ読んだのか

映像化された作品にも興味はあったが、なんとなく、耳にしたことがない作品から入りたい。
「さいはての彼女」ちょい闇のある女性の話っぽくて今読みたいニュアンス。
デザインすてき。

ということで、本屋から帰宅しkindleで購入した。

・簡単すぎるあらすじ

仕事で成功したあとに躓きもがく女性3人、
失った影と失いたくない宝物に向き合ったり目をそらしたりする女性、
計4名の女性目線で展開される再生をテーマにした短編集。
さて、人はどう立ち上がる?

・各章の感想

1章目

とにかく怖い女。
唐突に投げ出された異世界で、偶然の出会いと非日常体験によって、変わっていく。
でも節々で現れる傲慢で高飛車な言動。
人の本質はそう簡単には変わらない。
そんな一幕がやけにリアルで、変化がより濃く感じる。
何を変えて、何を変えないのか。
自然の偉大さ。都会での地位。生きる上で必要な力って・・・

2章目

また、バリキャリのバケーションの話かと思ったら少し違った。
短い旅で特別な出会いはないかもしれない。
ただ、近くの人と過去の自分たちと会話をして自分と向き合っている。
その点、1章よりも汎用的な旅の在り方のように思う。
立ち止まっているようで止まっていない。結局は強い人。
一人だけど、ひとりじゃない。
最後までその意味を考えさせられた。

3章目

怖い女第2弾。
今回はより身近にいそうな人。
企業で働いているとその人にしかできないことってあるはず。
企業目線だと属人化といったネガティブな意味合いでもあり、
当人にとっては存在意義といった心の支えであることもある。
歯車なのかネジなのか。
信じて疑わないことも。客観的な捉え方も。
様々な要素のバランスが大切であることを改めて実感した。

4章目

凪はThe主人公。自分を生きている。
生き方って、周りにいる人や場所などの環境によって形成されていく。はず。
勝手に育つかもれないけどそれもまた環境による影響。
いつどこでだれになにを・・・いろいろとあるけれど。
父が偉大だ。
線を越えられるもの。たしかにハーレーはぴったりだと、読み終わって思う。
意味を受け取って貫く。好きだから夢中になれる。強くなろうと無理をしていなくて、強い。
凪に対してそんな印象を持ちました。

・関心ポイント

主人公の女性がだいぶ強め

ぞっとする。とにかく女が狂暴すぎて怖い。
本作の主力はバリキャリ達なわけですが、
稼いでそう、成功してそう、仕事できそう、と見える女性って、”強そう”なんだろう。
いわゆるできる人の類にも、穏やかゆるふわ守りたい系女子もいるはずなのに。
仕事で成功した社長とかバリキャリの管理職とかをイメージするときって、身長高くてすらっとスタイルがよくてツヤツヤお肌とロングヘアーで高いヒールが似合う人が浮かぶ。(偏見謝罪)。
自己管理ができるだろうから太ってはいないかもしれない。
美容院で髪の毛をきちんとケアしているかもしれない。
頑張って高いヒールを履いているのかもしれない。

でもさ、

身長はどうしようもならないし、
肌が荒れることだってあるだろうし、
ショートヘアがしっくりくるかもしれないし、
歩きやすい靴を好むかもしれないじゃん?

これらが成功の条件ではないはずなのに、どうしてこういうイメージなんだろう。
成功している人でそういう人が多いの?もしかして、こうあろうと寄せているのかな。
いや、やろうと思ってできないこともあるんだってば。
そういう人物像だと世の中の人がイメージしやすいからピックアップされるの?
あ、アパホテルの社長はそんなに長身じゃなさそう。やっぱり私の勝手なイメージなのかな・・・

でも、見た目って影響大きい。自分自身にも周りにも。
例えば、腰が低いとか見下しているとか。
めちゃ身長高くて彫りの深い人が物理的に上から真っ当なことを言ったら「生意気」。
身長低くて丸っとしている平面顔の人が物理的に下から真っ当なことを言ったら「芯がある」。
みたいに、見た目の印象でイメージ膨らませて違ったら意外って、勝手だよな。

表情とか話し方って性格とか環境とかで変わりそうだけど、骨格は変わらないから。
自分の外見を客観的に評価して、どう受け取られるかを考えたり感じ取ったりする。
そうやって外見により受ける影響から、性格や立ち振る舞いが形成されると考えると、
「こういう見た目の人ってこういう性格」という一般的イメージに近づいてくるのかもしれない。
だからなんだ?なんだけど、なんだか難しいなって思うのです。

旅のありかたについて

旅をするときはきっと目的をもってする。
ひとり旅でいうと一人だからこそできること・・・
とにかく休息したり、自分の好きなことに没頭したり、人との出会いだったり。
最初の2つは自分次第だけど、人との出会いって難しい。
普段とは違う環境に身を投じるから、その環境で生きる人や居合わせた人がどんな人なのか、いつも通りの生活では出会うことのなかった価値観に出会ってみたいと私は思う。
でも、これって自分次第ではなく、タイミングとか場所、運によってくるものでもあるから。
”持っている人””引き寄せる人”という要素も大きいだろう。
本作の登場人物は”持っている人”が多くて、その人たちを”引き寄せる人”の力が強い。
どちらにも、憧れる。
わりと人見知りだし冒険とか得意ではないけど、こういう出会いがあるならやってみたい。
でもでも、これは誰でも必ずな現象ではないから・・・

二度ほど一人旅をした。
一度目はやってみた感覚。普段とは違う何かを求めて。
・・・人間簡単には変わらない。店員さんくらいにしか話せないし、奮発してお高いごはん屋さんに入ることもできない。
現実離れせず、身の丈に合ったお出かけをしただけになってしまった。
二度目は気持ちの整理のため。いわば現実逃避。
つらいつらいから逃れるために、人におすすめされた自然を感じられる場所へ。
・・・とてもさびしくなった。
なんだか「ひとりぼっち」と感じてしまった。一人旅、向いていないのかもしれない(笑)

「女ひとり旅するには、それなりの覚悟と理由があるわけやん?」という言葉があった。
強そうな女からそんなことを考えるんだと意外で、少し親近感が沸いた。
続いて「それを遂行してるねんから、女のひとはもっと堂々としたらええねん。」と。
かっこいい。すてきな考え方だなと背中を押された気がした。

私にはきっと、前向きな気持ちで具体的な目的(これが食べたいとかこのお店いきたいとか)をもって、他は補足的に楽しむぞくらいな気持ちで行く旅があっているんだ!きっとそうだ!!
それを知ることができたから、次はきっといい旅にする。

友達と定期的に旅行というのもよき。
旅行に限らず、これのために頑張るみたいなご褒美があるのがいい。
私も自分のお金と時間の支出をきちんと把握して、年にどのくらいご褒美をあげるか考えてみよう。

・おすすめポイント

仕事を頑張る女性。ひとり旅に興味がある人。自分を見つめ直したい人。
そんな人たちにあっているのではないかと。
リアルの中に少々非リアルが混じっていて、物語に自分自身を入り込ませられる作品だと感じた。ぜひ読んでみてほしい。

今回は長くなってしまった。
それだけ真剣に読んで考えたからかもしれない。
もし最後まで読んでくれた方がいたなら・・・
お付き合いいただきありがとうございました。


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