プログレバンドで最も成功を収めたピンク・フロイドとは
アノニマスDTM編集部でございます。
知っている人はご愛嬌、名前だけ聞いたことある人、もしくは初めて聞いたという人に向けてプログレッシヴ・ロック(以下プログレ)バンド「ピンク・フロイド」について書きたいと思います。
そもそもプログレッシヴロックとは...??
プログレバンドはそれまでのロックにアートやストーリー性を追求し、サウンドや演奏表現において自由度の高いシンセサイザー、メロトロン等を好んで導入しています。
楽曲の特徴としてよく挙げられるのは、変拍子、テクニカル、一曲が長い。楽曲以外では化け物やら空想世界を表現したアートワークが多い。
プログレにも標準プログレ、カンタベリー・ロック、ジャーマン・ロック、イタリアン・ロックなどがあり、更にそこから細分化が進みもはや定義が私物化されている状態です。
ピンク・フロイドは五大プログレバンドと称される代表格の一バンドで、他にイエス、EL&P、キングクリムゾン、ジェネシスがいます。
時系列をざっくり解説
シド・バレットのワンマン時代だった初期。実験的でサイケデリックなサウンドを基調としたアングラポップ。(60年代)
デイビッド・ギルモアをフロントマンとし、今までの抽象的でサイケデリックなカラーから一新、洗練されたアーティスティックなコンセプトに叙情的でエモい楽曲が目立つようになった中期。(70年代)
後期はロジャー・ウォーターズのワンマンバンド化し、タイトルも彼の色が強く反映されてます。メンバー間の亀裂もあり、FinalCutを皮切りにウォーターズが脱退。以降のピンク・フロイドはデイビッド・ギルモア、ニック・メイスン、リチャード・ライトの3人で活動していきます。(80年代〜)
メンバーの入れ替わりが激しいのはプログレバンドあるあるですが、キングクリムゾンやイエスに比べたらピンク・フロイドはまともです。
ピンク・フロイドはプログレではない?
彼らの音楽は果たしてプログレか、そこに異を唱える人もいます。
EL&P(エマーソン・レイク・アンド・パーマー) - Tarkus
イエス - Close To The Edge
EL&Pやイエスのような技巧的で変拍子満載の楽曲はピンク・フロイドにはほとんどありません。実際のところ、彼らは演奏技術において難しいことはやっていないのです。
Echoesをカバーした四人囃子の森園勝敏氏もインタビューでピンク・フロイドがプログレバンドであることを否定しています。
レコード・コレクターズ1のピンク・フロイドの特集を読んでみると、評論家の小野島大氏はピンク・フロイドの音楽は雰囲気イケメンであると回答しています(←ちょっと違う)
プログレをテクニカルなジャンルと認知している人は、ピンク・フロイドのような雰囲気系バンドをプログレではないと否定的な目を向けているようです。
そもそもピンク・フロイドがプログレバンドとして名前を広めるようになったのは、EMIの音楽ディレクターだった石坂敬一氏が70年代初頭、原子心母のキャッチコピーに「ピンク・フロイドの道はプログレッシヴ・ロックの道なり!」と付けてしまったのがきっかけとされています。
私は当時の人間ではないのでリアルタイムの反響は知りませんが、昔の音楽記事や文献を読んでいて思ったのは、70年代はロック黎明期もあって「〜ロック」と言いたい放題な雰囲気というか、一種の風潮があったのかもしれません。
詰まるところ、メディアが勝手に一人歩きしてしまった結果、「なんかおれたちプログレらしいよ。まあ別にいいか」と、ピンク・フロイドやその他のアーティストたちが気に留めることなく今に至っている感じがします。
ピンク・フロイドは何故売れた?
五大プログレバンドの中で商業的に最も成功を収めたと言われるピンク・フロイドですが、そもそも彼らは世界的に有名なバンドになる以前からイギリス国内では売れてました。
ファーストシングルの「Arnold Layne」は全英チャート最高20位、セカンドシングルの「SeeEmilyPlay」は同チャート最高6位まで上り詰めた実績があり、バレット時代から既に頭角を現していたのです。
70年に発表された原子心母は英国オフィシャルチャートにて1位、日本ではなんとオリコンチャート15位wwww
名作の狂気は英国と日本共にチャート2位、米国に関しては1位です。このアルバムは歴代タイトルの中でも他に類を見ない「人間の内面に潜む狂気」というシリアスなコンセプトに、曲同士の繋がりとアート性が非常に奥深い内容となってます。
時期によって音楽性が異なっても、彼らは他のアーティストよりも常に先を行く試みと、時代のニーズに合うコンセプトやサウンドを発信していたパイオニアと言えます。
ロック黎明期の日本にそんなやばい音楽が流れたら、「お、なんだこいつら。なんかすげぇ!!」ってなりますよね。
人気の理由はアートワークにもあった!
ピンク・フロイドは音楽だけでなく、アートワークにも定評があります。
原子心母、狂気は既に紹介済みですが、この内アニマルズ以外は全て「ヒプノシス」というアートグループによって制作されたアートワークです。
原子心母は牛・・・。神秘の抽象的なアートワークと比較しても、ピンク・フロイドらしからぬシュールさで、つい眼を奪われてしまいそうになる一枚。初見であればジャケ買い待ったなしですね。
狂気のアートワークはバンドTシャツを着てる人も街中で時々見かけますが、パロディも非常に多く出回ってます。このアートワークからピンク・フロイドを知ったという人も多いのではないでしょうか。
神秘は中央左下付近に小さくメンバーが映っており、全体像は宇宙にも見えるし海底の植物のようにも見えます。なんとも不思議なアートワークですが、タイトルとしてはこれが一番イメージに合ってる気がします。
ヒプノシスはピンク・フロイドを筆頭にレッド・ツェッペリン、ジェネシス、ブラックサバスなど、数多くのロックバンドのアートワークを手がけた実績があります。
余談:筆者のおすすめは「神秘」
私は全タイトル中、神秘が一番好きです。制作途中でバレットはドラッグの過剰摂取による脱退を余儀なくされましたが、実質歴代メンバー全員が参加してるアルバムです。ある意味ピンク・フロイドの原点とも言えるタイトルではないでしょうか。
今後の音楽性を追求する第二の出発点でもありますが、逆にバレットがメンバーとして続けられていたら...なんてことも考えると妄想が膨らんでしまいますwwww
知れば知るほど、もっと知りたくなる。ピンク・フロイドは不思議な魅力を持ったバンドです。
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