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2分で読める子育てエッセイ№785『1枚選ぶ』

一月二日は書初めの日。
小6の娘と小3の息子が学校の宿題で書初めをすることに。
5枚書いて1枚を先生に提出するのがルール。

息子は「正月」という文字を書いていた。
「スーッと書いてサササ。月の字はここでピョン」
書道は精神統一して静かに書く、そう思い込んでいたワタクシ。
そのリズミカルな声だけ聴いていると、とても筆で文字を書いているようには思えないノリで楽しそう。息子は何のためらいもなくアッという間に4枚書き上げた。そして新聞の上に順番に並べられたまだ乾いていない作品を見ながら息子がこう言った。
「おおっ! 4枚目が一番いいね!」
自画自賛しながらスマホで写真を撮り、自分の部屋にいるダンナに見せに行くと言って消えていった。しばらくしてとっても納得いったような表情で帰って来てこう言った。
「お父さんも、僕と同じ4枚目がいいって」
気をよくした息子。残る最後の1枚を書き始めたその時、
「そういえば先生が、こんな風に書くといいよって言っていた気がする」
と極意を思い出した。
「え? 思い出したの今?」などと茶々を入れてはならない。黙って見守っていると、最後の1枚が会心の出来だったらしく、これにするとあっさりと一位が入れ替わり、提出するものが決まった。

ところが、息子がこんなことを言い出した。
「順番に並べているから、だんだん上手に書けているって思うのかな。アヤシイ」
思いっきり作品の位置をシャッフルしワタクシにこう言った。
「お母さん、この中で一番いいのはどれだと思う?」
うそ~ん。もしかして、ワタクシの審美眼を疑っとる? 
でもワタクシ、息子の一枚目から順番に名前を付けていたので覚えてるんだ~。一枚目から順番に言うと、止めの所がバサバサ君、月がキックしているように見えるサッカー君、急に太めの字になった、ふとし君、ハネが一番きれいなセクシー君。そして先生の言いつけを守って書いた、足長ただし君。
いや~、無駄だと思っていたネーミングが役に立った~。と静かに5番目の作品を指さすと、息子がいい顔してこう言った。
「当たり~! 僕もそれが一番いいと思う」
無事に母の威厳を保つことができた。ホッ。

あとは名前がキレイに書けるかそれが問題。
作品と名前の総合評価によっては、もしかしたら順位が入れ替わる可能性もあるとかないとか。

うけけ。










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