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№122【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『地図上では』

大昔、ワタクシが高校生の頃、親戚と夏休みに旅行したときの話。
ワタクシの住む場所から3県以上離れているある観光地の駐車場で、全国津々浦々のナンバープレートが大集合しているのを眺めていた。
「みたことないナンバープレートがいっぱいある~!」
そこにはワタクシと同じ県のナンバープレートも。するとその車から降りてきた人と目が合った。
「え? え? まいまい?」
それはワタクシが引っ越して以来会えなくなった小学校時代の友人、数年ぶりの再会だった。
「うそーん。ここ遠く遠く離れた観光地だよ? そんなところでバッタリってことある? 世間って狭いね」
宝くじとこの再会、どちらの確率が高いのかな。

それからウン十年。その旅行のことをほとんど忘れているのに、友人の奇跡の再会だけは忘れられなかった。


ところがワタクシの家の裏の通りに住んでいる、ワタクシの叔母とワタクシ。同じ町内会なのに、いやもっと言うと、お互いベランダに居たら
「おーい! おーい!」
の呼び声が聞こえるくらいの距離。地図上では一番近い親戚なのに、近所でバッタリなんてぜーんぜんない。
「前回近所で叔母に会ったのはもしかして3年くらい前? いやもっと前? まさか避けているわけではないよね?」

もしかしたら、ワタクシの家と叔母の家、世界の端と端、世界で一番遠い場所ではないかと思えてきた。
となると、ワタクシ、毎年毎年、世界一遠い場所にも年賀状を送っていることになる。
悪くない。


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