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№21【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『推しがあるので』

わが家には1~2年に1回、牛乳屋さんの勧誘がやってくる。
どうやら、玄関先に置いている他のメーカーの牛乳箱を見てきているらしい。


「お試しの商品をたくさん入れていますから、ぜひ飲んでみてください!」

と、小瓶に入った珍しい商品を置いていき、後日、気に入ったものがあれば契約してくださいというアルアル。

いかにも新人さんという人に、
「実は、これノルマで配らないといけないんです・・・」

と言われない限り、最近、試飲も断るようになった。

勧誘の人は全然悪くないけど、やっぱり、ちょっぴりメンドクサイ。



先日、久々に牛乳屋さんの勧誘がやって来た。
みると、勧誘に来る率ナンバーワンの牛乳屋さんだった。
しかもなかなかのベテラン、さわやかお兄さんとみた。


いつも通りのセールストークが始まったので、こちらもいつも通りのお断りのセリフがナチュラルに出た。

「うちは推しの牛乳があるので変えません。そちらのメーカーさんには、しょっちゅう来てもらって悪いんですけど」

と、少々トゲのある労いの言葉も足して。



すると、この人ちょ~っと違った。

「牛乳ではない別の商品を取ってくれないか」
と食い下がってきた。

うそーん。
玄関先に牛乳屋さんの箱を2つ置くの?
そんなことをしたら、第3の牛乳屋さんが来て、ややこしくなるのは目に見えているじゃーん。

モチロン断った。


すると、向こうは作戦を変えてきた。


「うちは明け方にこの辺りにお配りしているのですが、もしかしたら、その音でお目覚めになってませんか? うるさくしてすみません。そのお詫びもかねて、この試飲のセットだけでも置いて帰りたいのですが」


ひょ~!
激レアのセリフ来た~!

「うるさくして、すみません」
これは聞いたことないな~。

おもしろい。
この人、おもしろい。

もっといろいろ聞いてみたいけれど、今日は時間がない。


お別れの時間がやってきたので、こう伝えた。


「何時ごろですか? 配ってもらっているのに気がつきもせず、グーグー寝てるだなんて、こちらこそスミマセン」


あれだけメンドクサイと思っていた牛乳の勧誘。
この人のお陰でちょっぴり楽しみになった。

試飲の商品は要らないけど、また「激レアのセリフ」を持って来てね~。









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