№21【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『推しがあるので』
わが家には1~2年に1回、牛乳屋さんの勧誘がやってくる。
どうやら、玄関先に置いている他のメーカーの牛乳箱を見てきているらしい。
「お試しの商品をたくさん入れていますから、ぜひ飲んでみてください!」
と、小瓶に入った珍しい商品を置いていき、後日、気に入ったものがあれば契約してくださいというアルアル。
いかにも新人さんという人に、
「実は、これノルマで配らないといけないんです・・・」
と言われない限り、最近、試飲も断るようになった。
勧誘の人は全然悪くないけど、やっぱり、ちょっぴりメンドクサイ。
※
先日、久々に牛乳屋さんの勧誘がやって来た。
みると、勧誘に来る率ナンバーワンの牛乳屋さんだった。
しかもなかなかのベテラン、さわやかお兄さんとみた。
いつも通りのセールストークが始まったので、こちらもいつも通りのお断りのセリフがナチュラルに出た。
「うちは推しの牛乳があるので変えません。そちらのメーカーさんには、しょっちゅう来てもらって悪いんですけど」
と、少々トゲのある労いの言葉も足して。
すると、この人ちょ~っと違った。
「牛乳ではない別の商品を取ってくれないか」
と食い下がってきた。
うそーん。
玄関先に牛乳屋さんの箱を2つ置くの?
そんなことをしたら、第3の牛乳屋さんが来て、ややこしくなるのは目に見えているじゃーん。
モチロン断った。
すると、向こうは作戦を変えてきた。
ひょ~!
激レアのセリフ来た~!
「うるさくして、すみません」
これは聞いたことないな~。
おもしろい。
この人、おもしろい。
もっといろいろ聞いてみたいけれど、今日は時間がない。
お別れの時間がやってきたので、こう伝えた。
「何時ごろですか? 配ってもらっているのに気がつきもせず、グーグー寝てるだなんて、こちらこそスミマセン」
※
あれだけメンドクサイと思っていた牛乳の勧誘。
この人のお陰でちょっぴり楽しみになった。
試飲の商品は要らないけど、また「激レアのセリフ」を持って来てね~。
サポートありがとうございます! 迷わずお菓子を大人買いしますよ?怒りません? ありがとうございま~~~す ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ