2分で読める子育てエッセイ№625『どうしよう』
小2の息子が、100円のクレーンゲームを見つけてしまった。
3本の爪で引っ掛けるタイプ。
ワタクシ、絶対に取れないと思っているので、させたくない。
「今日は100円玉持ってないよ」
と先に伝えると、ちょっと考えた息子。
「お父さん、100円玉頂戴~」
といい顏しておねだり開始。
おうっ。
4枚もゲットしとる。
ダンナ、チョロいな。
すると、すぐに息子は嬉しそうにゲームを始めた。
「もったいなーい」
モヤモヤするワタクシの心。
吸い込まれるようになくなっていく100円玉。
ついに最後の1枚の時、事件は起こった。
「どれを狙おうか・・・」
と作戦を立てていたら1㎜も動かないまま、ゲームはそのまま終了した。
え? 何事?
すると息子がごちゃごちゃと書き込まれた張り紙を指さした。
「お母さん、あそこ見て。お金入れて30秒操作しないと終了します、だって」
うそーん。
そんなんあり?
だーれもいないよ? 時間かけてもよくない?
100円が満足とは真逆の感情に変わってしまった。
「あんな張り紙、誰も読まないよね」
息子はちょっとグチって、クレーンゲームを後にした。
きゅーん。
親バカごころ発動。
えらい!
もう1回ってさわがないの?
よく我慢した。
そもそもあのごちゃごちゃ書かれた説明文をきちんと読んで、母に説明って凄くなーい? ワタクシその張り紙の存在すら気がつかなかったんですけど。
ないはずの100円玉が、どこからともなく出てきた。
息子の再挑戦がはじまる。
するとなんということでしょう~。
その2回目に奇跡は起こった。
「やった! 取れた取れたよ!!」
息子の喜ぶ声に、絶対にとれんと他のガチャを見ていた家族全員が驚いた。
取り出し口から、ゲットした景品を誇らしそうに見せる息子。
え~!
そのクレーンゲームで、それ取れる?
ウソでしょう?
ワタクシ、初めての光景に感動すら覚えた。
為せば成る!ってこういうことね~。
散々騒いだ後、ワタクシふとに気がつき、再びモヤモヤすることに。
今後この手のクレーンゲームを見かけたときに、
「絶対に取れないからやめておいた方がいい」
っていいにくくない?
「他の人は知らんけど、僕は出来る」
という実績を作った息子にいい言葉が思いつかない。
どうしよう。
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