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フランスワイナリー探訪(Strasbourg Hospices)


かなりのタイムタグがありますが、今日から5日間は過去の旅で触れたお酒についての話です。



以前紹介したドイツの3ワイナリーに続き、今度はかつて訪れたフランスのワイナリーを紹介していきたいと思います。

依然のスイスワインの記事で出てきた、ホスピス・ド・ボーヌの話が出たのでそれも踏まえて初回はホスピス・ストラスブールです。

これから2日はストラスブール近郊、アルザス地方のワイナリー
1.Hospices Strasbourg
2.Achillee
の2つを紹介します。

その前にアルザス地方について少し触れておきたいと思います。

アルザス地方はドイツとフランスの国境に位置し、ライン川を挟んで対岸はドイツ、また西にはヴォージュ山脈を擁する土地です。
そのため戦時にはドイツに占領されたこともある歴史の交錯点で、ドイツの文化も根強く残っている地域です。

ワインの産地としてはフランスにしてかなり冷涼な地域なので白ワインの栽培が国策として推し進められ、今も主要品種はリースリング、ピノグリ、ゲヴュルツトラミネール、ピノノワールなどが挙げられます。

これらはほとんどドイツと同じですが、フランスという国の一産地という側面からもドイツよりも白ワイン比率が多くなっています。
特にフランスでは他の産地での赤の比率が高いので、白ワインを自国で作るとしたらアルザスが適地だろうといった感覚みたいです。

そんなアルザス地方で作られるワインはドイツとテイストが近いものがありますが、ワインの区分はよりフランス的だと言えると思います。(51のグランクリュがある。)


ということで今回は1つ目のHospices Strasbourgから見ていきましょう。
このワイナリーはストラスブール、アルザス地方の都市部にあるワイナリーで、観光名所の旧市街からも歩いて訪れることができます。

生産量は13万本、450リットルから26000リットルのタンクまで大小さまざまな樽があるワイナリーです。

また名前からも察する通り病院(ホスピス)の中にあるというのも面白い点です。

上の写真は病院の敷地内で、地下に入っていく階段が入り口になります。

そしてなぜ病院にワイナリーがあるのかというと、昔は医療費を払うことが難しく、ブドウや農地でその費用を納める人がいたからだということだそうです。

さらにこのワイナリーは一般的なワイナリーとは違い、醸造をするところではなく、熟成をするところだというのも大きな特徴として挙げられます。

そのため一般的なステンレスのタンクやプレス機などはなく、樽が置いてあるだけです。

これらの樽の管理はこの施設の責任者及び、樽に入っているワインの製造者が請け負います。

樽に入れるワインは100人もの人がテイスティングを行い毎年決められており、その品質は折り紙付きです。

またそのワインが同一ラベルというブランドを持って出荷されるので、相乗効果もあるでしょう。

このワイナリーでは様々な造り手のワインが集まってきているという背景もあり、醸造について詳しいことは聞けませんが、施設全体が観光地化もされておりオーディオガイドは日本語のものも用意されていたので十二分に楽しむことができました。

特にここの見どころは1472年から脈絡と受け継がれてきた歴史と、現存するワインで世界で最古とも言われるものが入っている樽があることです。

そのワインが入っている樽自体は2015年に昔のものと同様の製法で作られたものなのですが、前後で円の形が違うという点も踏襲しているので、見る価値はあります。

下の写真は元責任者の方がいらっしゃったので、鍵を開けてもらいその樽とともに撮った写真です。前方は卵のような形をしていますが、後方は一般的な円形になっています。

またこちらの方は樽から出した1472年産のワインでかなりの琥珀色をしているのがわかるかと思います。


このワイナリー内ではテイスティングができないですが、ストラスブール内のワインショップにはよく置かれており、レストランでも飲むことができるということを伺いました。
しかし自分は一人旅なので、一本買って帰るだけとなりましたが、最後にそのレビューもしておきます。

Hospices Strasbourg Pinot Grigio (すみません、造り手メモ忘れです)

このワインは少し残糖感があり、off-dryといった印象でした。
色合いは淡めの黄色で香りは少し落ち着いた桃や白い花のようなニュアンス。
全体的に甘い香りと味わいで、特に複雑さといった点はなく、ある意味フラットだとも言えますが、飲みやすく飲み飽きない素朴さを感じさせます。
樽熟をかけていますが、さすがは超古樽、樽感は全くなく、酸化熟成をうまく促したのだろうなと感じさせてくれます。
値段は1000円程度だったので、及第点かと思いますが、ここは観光としての価値もあるので、ワインもぜひトライしてみてください。


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