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慢性期脳卒中者の遊脚期における足クリアランスの生体力学的歩行の特徴

どうも!
理学療法士のyukiです。

慢性期において、”転倒”は生活場面において最も問題となります。

その多くに、歩行中の遊脚期における足クリアランスは問題となりやすいと言われています。


今回は、この足クリアランスが低下している生体力学的特徴についてまとめた論文を引用してまとめた内容になります。



本日引用した論文はこちら↓



このnoteについて

掲載雑誌:Clinical Biomechanics
Impact Factor:1.624
文字数:6107文字(参考文献のURL含)

参考文献数:25本


引用した論文のまとめ


はじめに

転倒および転倒関連による障害は、脳卒中後の一般的な合併症である(Forster et al. 1995)。

転倒の有害な結果として、骨折、軟部組織の損傷、入院、可動性の低下、恐怖や不安の増大など、否定的な心理面の結果が含まれる(Weerdesteyn et al. 2008)。

慢性期脳卒中患者では、転倒は、歩行やある場所から別の場所への移動などで最も頻繁に発生する(Harris et al. 2005、Jorgensen et al. 2013)

歩行能力向上は、脳卒中リハビリテーションの主要な目標の1つである。
しかしながら、歩行の逸脱により、歩行速度の低下、足クリアランスの低下、立脚時間の非対称性などが脳卒中後持続し、転倒リスクに寄与されています(Weerdesteyn et al. 2008)。

脳卒中後の片麻痺性歩行障害は患者個人によって異なるが、麻痺性関節の運動学的パターンとして、スイング中の股関節部、膝、足首の屈曲減少が含まれることが多い(De Quervain et al. 1996、Mulroy et al. 2003、Olney et al. 1996)。

股関節、膝関節、足関節のモーメント減少
立脚期後期およびスイング前の力の運動変化
(Chen et al. 2008、Kerrigan et al. 2001)


上記が研究で明らかとされており、遊脚期のダイナミクスに関連している(Goldberg et al. 2003)。

歩行中のスイングフェーズの足クリアランスの定価は、脳卒中後の転倒や怪我の原因となるため、重要な点である。

本研究の目的

脳卒中後の足クリアランスの低下に関して、麻痺側下肢の時空間的、運動学的、および運動学的特性を決定することにある。


対象と方法

参加者:26人の慢性期脳卒中患者(発症から6ヶ月以上経過)

データ収集:
・トレッドミル歩行(20min, 心拍数最大の70%、Borgで14程度)
・全ての歩行者でハーネスを使用
・歩行中の3次元動作分析を実施
・四肢のセグメント:骨盤、脚、および足部
・骨盤と下肢のセグメントの3次元モーションをモデル化した。

データ管理
・LabVIEWソフトウェアで、時空間変数、運動変数を計算。
・歩行サイクルの立脚後期、toe-off、スイングフェーズを特に観察。
・立脚期の運動学的観察:立脚後期での股関節伸展角度ピーク値、toe-offでの膝角度、足首角度
・スイングフェーズの運動学的観察:膝と足部のピーク屈曲角度と回旋
・運動学的足底:推進力、股関節屈曲ピーク、膝伸展、立脚後期の足首底屈モーメント

データ解析
・SPSSver16を使用
・対応のあるt検定


結果

足部のクリアランスが低下している時とクリアランスが良好であるときの比較
・両脚支持期では大幅な変化なし
・足部底屈が1度大きかった(クリアランス不良時)
・toe off時の膝屈曲角度が減少していた。
・立脚後期の膝伸展モーメントピーク値は有意に大きい(クリアランス良好時)

・立脚後期に推進力、股関節屈曲ピーク値、足首底屈モーメントは有意差なし。


考察

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4,565字

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