大脳基底核系による運動学習と行動選択
運動学習における2つの重要なこと
参考している論文は下記です!
運動の順序やパターン化された運動学習においては、いくつかの大脳皮質と大脳基底核系のループ回路が関わっています。
例えば、皆さん経験があると思いますが、テレビゲームをするときにコントローラを始めて操作する時に、方向キーやボタンの入力などそれぞれの運動を視覚的に確認しながら行いますが、慣れてくると自動的な動作パターンとして操作ができるようになります。
このときに働いている脳の仕組みは主に2つあります。
運動学習を考える上で、この2つを押さえておいてください。
その2つは順番に
1. 顕在スキル(学習初期)
2. 潜在スキル(学習後期)
になります。
それぞれの機能と働く脳領域を確認していきます!
顕在スキルとは
顕在とは、”はっきり存在していること”という意味です。顕在の対義語にあたるのが、後で出てくる潜在という言葉で、”表に出ていない内に潜んでいること”を指します。
早速、下記の画像をご確認ください。
この流れを解釈すると下記の通りです。
1. 視覚情報の収集と処理
2. 背外側前頭前野-頭頂野から線条体前部(尾状核・被殻前部)や小脳後葉へ情報が伝達(運動学習の初期)
3. 基底核や小脳からの情報を介して前頭前野へと視覚情報が処理される。
引き続きゲームで例えていきますが、
操作コマンドのような外的に与えられた知識は、学習者が意識して課題を反復することで運動スキルの習得を図ることができます!
これはパソコンなどでも同様です。
最初はパソコンのキーボードを見ながら人差し指一本で打つことを始めて、徐々にキーボードの位置を覚えて、そのうちどこに何があるか確認することなく、しかも左右5本ずつの指を使って入力が可能になると思います。
これらのスキルは、反復練習や試行錯誤、規則性を検出することによって習得が可能となります。
この時のことを、”顕在スキル”と言います!
潜在スキルとは
一方で、必要な操作の運動順序の規則性に関する情報がなくても、反復することにより運動スキルが学習することができます!
このことを”潜在スキル”と言います。
潜在スキルの健在スキルとの大きな違いは、言葉の通りその場の情報に影響されません。
つまり、外部からの情報に頼らずとも運動が自動化されています。このことから大脳基底核は内的な運動パターンを反映する、ともよく言われています。
ここまでをまとめますと、
顕在スキルの時期(学習初期)
主な脳の活動部位
・視覚領域(視覚情報)
・大脳皮質(背外側前頭前野-頭頂連合野)
・大脳基底核(尾状核・被殻前部)
・小脳後葉
潜在スキル(学習後、自動化運動)
主な脳の活動部位
・大脳皮質(運動野)
・大脳基底核(被殻後部)
・小脳前葉
このように見ると、脳の活動領域も単純化されてて、多くの領域が活動しないように効率化されていますよね。
また活動する脳の活動領域も興味深いですね。
学習にあたって、基底核は前方から後方へ。小脳は後方から前方へと活動する領域が変化しています。
上記のように覚えると、それぞれの機能と領域は覚えやすいかもしれませんね。
少し話が逸れましたが、ではここからは学習過程を見ていきます。
顕在スキルから潜在スキルに移行する際に脳はどのような部位が働いてどのように学習していくのでしょうか?そして、学習に影響する神経伝達物質が何か?
この辺を知っていると、脳卒中などの病態に対して学習がされやすい方やされにくい方の特徴を捉えて治療介入ができると思います!
学習の過程
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