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背臥位からの運動発達〜寝返りの獲得には?〜

こんにちは!
このnoteをご覧頂きありがとうございます。

このnoteでは

新生児期の赤ちゃんがどのようにして、寝返り動作までを学んでいくか、
寝返り動作を行うまでにどのようなことを学習しているのか、
を記載した内容となります。

興味のある方は、ぜひ最後まで読まれてみてください!

では目次です!

新生児の初めての姿勢〜背臥位〜


新生児は、生まれてから徐々に色々な運動発達を学んでいきます。
その一番最初に行われて、獲得できる姿勢が、背臥位(仰向け)と言われる姿勢になります。


このnoteで期待できることは、
1. 背臥位姿勢や寝返り動作がうまくいかない子供の特徴を捉えられる
2. 背臥位姿勢が身体に及ぼす影響を知ることができる
3. 座位や立位レベルで行えない運動や上手くできない場合、背臥位姿勢の概念を考え直すことができる(発達初期の動きが座位、立位の運動に繋がる)

それでは早速各視点からの考え方を学んでいきましょう!

背臥位における運動学的側面

生後間もない新生児の中心的な姿勢が背臥位になります。この姿勢は物理的に支持基底面が広い状態であり、姿勢の安定性が最も高い姿勢になります。

そのため、背臥位姿勢は、生まれたての赤ちゃんにとって、重力の影響を最も受けにくく、楽な姿勢であると言えます。

また、母親のお腹にいる時の胎児の姿勢は、全身を曲げた状態の姿勢にあるため、伸筋の発達がより必要な腹臥位よりも、背臥位の姿勢は運動のコントロールがしやすく、学習に繋がりやすい姿勢であるといえます。

では、背臥位姿勢で学ぶことができる運動をまとめてみましょう!

対象物に対する目の運動が出現(注視や追視)
目と手の協調性に基づく上肢の到達運動コントロール
体幹の正中位の意識づけ
下肢筋の屈曲・伸展を繰り返すことでの下肢運動コントロール(キッキング)

背臥位姿勢でこれだけ多くのことを赤ちゃんは学習しています。

誕生当時はランダムかつ、空間、時間、力と、全ての側面で、その運動コントロールに秩序が見られない状態ですが、徐々に精度が上がっていき、”ジェネラルムーヴメント”と呼ばれる運動を行っていきます。


では、背臥位姿勢において、赤ちゃんはどのようなことを認識しているのでしょうか?

背臥位における認知神経学的側面

認知学的側面でも、赤ちゃんは非常に多くのことを学びます。
まとめると下記のようになります。

1. 床面に対する身体の接触を通じて触覚の過敏さを減少
2. 知覚の変化(寝返りなどの姿勢変換により)
3. 自分自身の手で足を掴んだり、身体知覚の学習
4. 対象物に対して注視や追視
5. 上肢の到達運動(4に伴う)
6. 右手と左手を合わせる運動(5に伴う)
7. 自己と物体との空間性や身体の正中線を学び、身体図式や空間認知に関わる大脳皮質や小脳の機能の発達を促す。

非常に多くのことを認知していることがわかります。
つまり、これだけのことを赤ちゃんは感覚的に、運動的に学んでいることを意識しながら治療を提供するだけで、その意識づけは大きく変わってきます。

では、実際に背臥位での運動発達はどのようなになっているのでしょうか?

背臥位の運動の経過と変遷

新生児期では、交叉性伸展反射の出現、原始反射が見られ屈筋優位

対象物に対する注視・追視機能の獲得

外界との関係形成。また手掌把握反射によって物をつかめるが、離すことは困難。手関節掌屈にすることで手指屈筋の緊張が緩み、物を離す。(テノデーシスアクションによる)

3ヶ月になると、屈筋逃避反射や交叉性伸展反射は見られなくなり、安定した背臥位を保持することが可能。その際、股関節屈曲・外転・外旋・膝関節屈曲を好む

頸定し顎が引かれると積極的に手を見る。この際、手と手を合わせたりする知覚経験を通じて身体の正中線の定位が起こる。

この時期から積極的に対象物に対して接触し始め、目と手の協調性の発達が促進

5ヶ月になると、頭部の屈曲も起こり目と手と頸の協応へ進む。

6ヶ月には下肢の運動も連動し、体幹の固定性と上下肢の運動性に基づく抗重力活動が促進される。さらに下肢の身体表象の発達も促す。

寝返り動作の獲得には?

4ヶ月には背臥位から他の姿勢に変換することが始まる

しかし、まだ上部体幹と下部体幹がひとまとまりに動くというようにその動きは未熟で、側臥位までとなるが、偶発的に腹臥位まで起こるときがある。

6ヶ月ごろには正中線を超えた寝返りが可能

最終的に頭部伸展までの寝返りが完成

【補足3:背臥位時に見られる認知神経科学的特徴】
新生児に置いて感覚刺激に伴い交叉性伸展反射や屈筋逃避反射がしばしばおき、姿勢自体も屈筋優位になる

高次な大脳皮質の発達を通じてコントロールされ始め、見られなくなる。
また、両手、両足の接触を通じて自己の身体図式を形成し始める。

これは頭頂連合野や高次運動野の発達にとって重要なプロセスで
セルフタッチという。

2〜3ヶ月ごろから起こり始めた視覚性立ち直り反応も5ヶ月ごろにはフィードフォワード制御の発達に伴い完成

この時期には運動の自由度がまし、左右の下肢や上肢が別々の動きを起こすことが可能。

運動に関連した促通系と抑制系の神経系の発達に繋がる。


内側運動制御系と外側運動制御系の機能(背臥位〜寝返りの獲得)

内側を通る運動制御系で、主に網様体脊髄路、前庭脊髄路を通じて両側の運動ニューロンを興奮させる。この際、体幹及び上下肢の近位筋に作用し、主に安定筋を供給する神経系として作動する。

外側を通る運動制御系であり、外側皮質脊髄路と赤核脊髄路を通じて反対側の運動ニューロンを興奮させる。中心的な役割を示すのが外側皮質脊髄路で、上下肢の遠位筋の制御に関わり、主に運動性や巧緻性に関与している。
6野:運動前野(外側)・補足運動野(内側)、4野:一次運動野、3・1・2野:一次体性感覚野

随意運動の神経回路
精緻運動の制御に外側皮質脊髄路が関与。
この経路は補足運動野や運動前野で作られた運動プログラムに基づいて一次運動野が興奮し、脊髄の運動ニューロンに向かう。目的をもった意図的な運動に関わる。

一方、姿勢制御は網様体脊髄路が関与。これは6野から脳幹網様体を経由して脊髄の運動ニューロンに向かうもので、目的を持たない近位筋を安定させる働きを持っている。

以上までが新生児からの寝返り動作となります。
生まれたばかりの新生児でも寝返りを獲得するまでの半年間で非常に多くのことを学んでいます。

臨床的に、寝返り動作の獲得が遅い場合、または座位や立位レベルでの運動が苦手だったり下手な場合は、この背臥位で獲得できる動きを再度確認されてみてください。

案外、この背臥位からのレベルのことができていないことが多い印象です。


では、今回は以上となります。
質の高い情報をもとに臨床での治療や研究への引用、知識の構築などに、ぜひご活用ください!

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