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多国籍チーム物語 〜ボーダーレスな嫌われ者〜

私はアメリカのカリフォルニア州に20年以上住んでいたのですが、仕事はドイツに本社があるグローバル企業に勤めていました。アメリカは移民の国。その中でも人種が雑多に混じって生活しているカリフォルニア州でのグローバル企業です。それはそれは多国籍な職場環境でした。

でもそんな国連並みにいろんな国から来た人達で構成された多国籍チームでも、人の価値観というか倫理観ってそんなに変わらないのかもしれないって思いました。何故ならば、全員一致で「嫌な奴」認定をされた人がいたからです。
(注意:ここではストーリーの具体性を出すために、あえて特定の国名を出していますが、「この国の出身だからこういう人」ということでは決してありません。くれぐれも個人の特性のお話です。念の為。)

因みに当時私が働いていたチーム編成はこんな感じ。

上司
インド系オーストラリア人女性。見かけは100%インド人だけど、生まれも育ちもオーストラリアなので、口を開くとオージー訛りの英語を話す。グッダイ、マイト!(Good day, Mate!!)

チームメイト達(思い出すまま順不同)
フィンランド人男性:ブラジルにバケーションに行った時に現地の女性と熱烈な恋に落ち、暫くブラジルとカリフォルニアという超遠距離恋愛の後に無事結婚したエピソードの持ち主
ドイツ人男性:よく喋って、とっても頭のキレるイケメン若手社員
ドイツ人女性;ドイツでは弁護士だったらしい、金髪碧眼のこれまた若手社員
フィリピン系カナダ人女性:穏やかで上品な雰囲気の3児の母。
アメリカ人男性:アメリカのオフィスなのにチーム唯一のアメリカ人男性(白人)
アメリカ人女性:アメリカのオフィスなのにチーム唯一のアメリカ人女性(白人)
ベトナム人女性:口数は少ないけど仕事はできる。ベトナム人あるあるで、現職に就く前はネイリスト
そして日本人女性である私
出身国や性別がそれぞれ違う人達でのバキバキの多様性チーム。

みんな結構気が合って、一緒にランチに行ったり暇な時には世間話したりで仲良く仕事してました。そんな平和なチームにある日中国人女性が新たなチームメイトとしてやって来ました。彼女は中国出身の中国人ですが、英語もドイツ語も話せて暫くドイツのオフィスで働いていたというキラキラな経歴の持ち主。みんな最初は彼女のことを歓迎して新しい環境に馴染めるように協力していました。

しかし、時が経つにつれて私の中で彼女に対する違和感のようなものが沸々と湧き上がってきたのです。私が仕事のやり方を説明した後で彼女が質問をすることがあるんだけど、私が答えた後でまた同じ質問を他の同僚にしに行ったり、顔はニコニコしてるけど、なんか裏では私の言うことを聞いていないというか、軽視しているというか。こういうことって言葉に出さなくても、雰囲気とか振る舞いとかでなんとなく分かるんですよね。そして仕事以外の振る舞いでも違和感満載。例えば、2人で韓国料理のレストランにランチに行くことがあったのですが、特定のパンチャン(無料で出してくれるおかず)が気に入ったらしくて、何度もお代わりをお願いするのです。流石にお店の人も呆れてダメ出しされる始末。なんか細かいことだけど、いろいろな出来事が重なって私の中で彼女に対する違和感が徐々に醸造されていきました。でもきっとそんなことを感じているのは私だけだろうと考えていました。

そんなある日、私はドイツ人男性同僚と野球の試合を見に行くことになりました。ヨーロッパではアメリカ産のスポーツである野球はあまり普及していなくて野球のルールを知らないヨーロッパ人同僚も結構いました。彼も野球の試合に行ったことがないということだったので、じゃあ一度行ってみようよ!ということで地元のマイナーリーグの試合に一緒に行くことになったのです。私の運転で同僚を拾って球場に向かう途中、仕事のことなどをいろいろと話しているうちに、例の中国人女性の同僚の話になって「あいつ超ムカつく!」と言い始め、まあ、出るわ出るわ、彼女の悪口のオンパレード(笑)その時は、あ、良かった。違和感を感じていたのは私だけじゃなかったんだ〜、くらいに思っていました。

そして翌日出社すると、不思議なことに他のメンバー達からも堰を切ったように彼女の不平不満を耳にするようになったのです。それも全員から(笑)比較的穏やかな性格の人が多いチームだったので、これにはびっくりしました。チームメイト達から聞く彼女のエピソードにはそれこそ「OMG!!」(Oh My God!  マジ??)って思わず口から出てしまうものも。例えばお子さんを養子縁組して育てている同僚に対して「あなた達夫婦、どこか(健康上)悪いの?」って面と向かってコメントしたり、会社の駐車場で他の同僚の車を擦っておきながら(しかも相手の車は高級車のレクサス)謝りもせず、逆に「あ〜!私の車に傷がついた!」って自分の車の心配をしたり、信じられないようなエピソードがザクザクと出てくる出てくる。

この出来事から学んだことは「非常識なヤツは国境を越えて嫌われる」。国や性別関係なく、こいつちょっとおかしいんじゃね?って思われるボーダーレス、そしてジェンダーレスなキャラクターってあるんですね。(再度注意:先にも書きましたが、これは彼女の感性がイカれているのであって、中国人の方達がみんなこうっていうことでは全くありません。職場には中国人の同僚がいっぱいいましたけど、みなさん良い人でした。)

結局彼女は上司にも嫌われてしまい、件のオージー上司はなんと中国人女性同僚の労働ビザを更新しないという荒技を使ってチームから追い出してしまいました。まあ、結局はまたコネを使ってドイツのどこかのオフィスに職を見つけたみたいですけど。とりあえず私達のチームからはいなくなって、めでたし、めでたし。

以上、ボーダーレスに嫌われてしまったグローバル人材のお話でした。

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