AIC生ブログ|夏から秋の代表的な野菜ナスについて(by内野)

マイファームが運営する社会人向け週末農業学校「アグリイノベーション大学校(AIC)」の現役受講生が綴るブログシリーズ、今回は内野寛之さんの第7回目です!

▼前回の記事はこちら▼

アグリイノベーション大学校(以下、AIC)12期生の内野寛之です。

暑い日々が終わると、とても気持ちのいい気候です。
スポーツの秋・読書の秋・そして食欲の秋ですね!
農作業がしやすくとても過ごしやすいですが、農家では「秋の一日、春の七日」という言葉があります。
意味は秋の一日の作業遅れが春の七日分の遅れに相当するという事です。寒くなるまでに、秋~冬作の準備を速やかに行わなければうまく作物が成長しません。

と言うことで、秋冬作にむけてのAIC大阪農場の様子を見ていきましょう!

実りの秋までもう少し!大阪農場の様子

まず、稲の様子を見ていきましょう。
田植え、3カ月半後の写真です。稲穂の頭が垂れ始めていますね!

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こちらは田全体の写真です。
黄金色に色づいてきていますが、まだまだ青いところがありますね。

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そして3カ月と3週目の様子です。もう一段、稲穂が垂れてきましたね。

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田が全体的に黄金色になってきています。

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電気柵の効果もあってかイノシシの侵入もありません。稲の生育も順調ですが、ただ一つ気になるのがトビイロウンカによる坪枯れです。AIC大阪農場の周りの田もトビイロウンカの被害が出ています。
写真で見れば一目瞭然。稲の一部だけ枯れているのがわかります。

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今年は西日本を中心にトビイロウンカの被害が多くニュースにもなっていましたね。
こればかりは対策のしようがありません。次回実習に刈り取り予定です!収穫まで被害がないように祈るのみです!

続・AICチャレンジ区画(続・秋冬作に向けて)

恒例のチャレンジ区画を見ていきましょう。
まずはサツマイモです。こちらは順調です!
掘ってみないとわかりませんが、収穫量に期待が持てます。「つるぼけ」でないことを祈ります。

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「つるぼけ」とは葉ばかりが成長し、根(サツマイモ)が成長しない現象です。原因は栄養分(特に窒素)や水が多すぎる事があげられます。

サツマイモの産地である鹿児島県の土壌は、砂地(火山灰)で水はけは良いが栄養分があまりない土地です。
そういう土壌をサツマイモは好みます。皆さんもサツマイモを育てる時は、肥料を少なくし水がたまらないように注意して育ててください!

次はキャベツです。

前回、鳥虫害を防ぐため、簡易的に不織布で覆った畝に防虫ネットを設置しました。左に写っている黒マルチの場所にはジャガイモを植え付けています。
キャベツは順調に育っていますが、ジャガイモは植え付けから1週間以上経っても発芽していません。もしかすると残暑が厳しかったので土の中で種イモが腐っているかもしれません。ジャガイモはもう少し様子を見ようと思います。

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そして、大根です。こちらも順調に育ってきています。
これからの成長が楽しみですね。

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最後に白菜です。こちらは育苗してから定植しました。
少し成長にばらつきがありますが、まずまずといったところです。

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ナスは高級品だった!~ナスの歴史~

ナスはナス科ナス属の植物で、ブログ第3回のジャガイモと第6回のトマトの仲間です。
ナスの原産地はトマトとジャガイモのアンデス山脈の高原地帯ではなく、熱帯地域のインドになります。また、ナスはインドなどの熱帯地方では多年草ですが、温帯地方では一年草として栽培されています。

ナスが日本に伝わったのは7~8世紀ごろに中国から伝わり奈良時代から食されていました。その証拠に何とあの東大寺の正倉院の古文書にもナスの記録が残されています。当時の天皇に献上されていたことから当時のナスは高級食材だったのですね!

ちなみに、みなさんはなぜ「なすび」と呼ばれるかご存知でしょうか?
ここで諸説ありますが有力な語源は2つ。

① 実の味から、中が酸っぱい実と書いて中酸実(なかすみ)を略して「なすび」と呼ぶ説。
② 夏に実がなることから「夏実(なつみ)」を略して「なすび」と呼ぶ説。

僕はあまりナスが酸っぱいと感じたことはないですが、かつては現在と品種が違っていたのかもしれません。

なぜ「なすび」と「ナス」の呼び方が二つあるのか。

江戸時代に入るまで、ナスは主に関西地方で栽培されていました。
さすが大阪!天下の台所と呼ばれていただけのことはあります。現在も、大阪南部の地域、いわゆる泉南地域では「水ナス」が有名で、栽培している農家さんは多数あります。「水ナス」の名前は関西圏以外の方も聞いたことがあるのではないでしょうか?

当時、ナスの多くは関西で多く作られていた為、江戸ではなかなか手に入らない高級食材でした。高い野菜を買ってもらうために、『一富士・二鷹・三なすび』と言う言葉がある様にナスの音と「成す」を掛けて縁起の良い野菜として売り出し、ナスの呼び方が広まりました。希少性や験担ぎを利用した上手い商売方法ですね!

この為に呼び方が2つあり、関西では「なすび」関東では「ナス」と呼ばれることが多い理由です(※諸説あり)

ポイント!
ナスの栄養状態はここを目安に見分けよう!

ナスという野菜はとても水と肥料を欲しがる野菜です。
栄養状態が良くないと受粉しにくいですし、実ができてからは水をしっかり与えないと実が大きくならず固くなることもあります。

では栄養状態を見分けるにはどこを見ればいいのでしょうか?
一番わかりやすいのは花です。ここで僕の絵で説明します。
これが栄養状態の良い花です。

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続いて栄養状態の悪い花を二つご覧ください。

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ポイントは雌しべの長さです。
中央に突き出ているのが雌しべで、その周りにあるのが雄しべです。

栄養状態が良いと雄しべから雌しべが突き出ていて、この状態の花を長花柱花(ちょうかちゅうか)と言います。また雌しべと雄しべが同じくらいの長さの花は中花柱花(ちゅうかちゅうか)、雌しべが雄しべより短い状態を短花柱花(たんかちゅうか)と言います。

ナスの花は下向きに咲くのが特徴なので、長花柱花の状態でないと受粉ができず結実不良になる可能性が高くなります。みなさんもナスを育てる際は花に注意して育ててみてください。

長花柱花の写真を載せておきますので参考にしてください。

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今回はナスについて解説しました。

AIC大阪農場では次回の実習でいよいよ稲刈りです。稲刈りは京都農場の実習生も合流するので、とてもにぎやかな作業になりそうです!
次回も引き続き、稲刈り作業、AICチャレンジ区画をご報告していきます。

ではまた。

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書いた人:内野 寛之(ウチノ ヒロユキ)
大阪府在住、働き盛りの38歳、夫婦共働きで2児の子育て奮闘中です。
性格は温厚・マジメ・マイペース(自称)。現在はサラリーマン(営業)として働いていますが、以前は鍼灸院・整骨院で勤務したこともあり、国家資格も取得している変わった経歴の持ち主です。

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