Day021.「2度と歌われない歌」
90年代後半、ライブハウスは燃えたぎっていた。
メジャーとは違ったサウンド、スタイルがひしめき合い、少ない情報の中で日本各地はまるで地下組織のように繋がっていった。
80年代の華々しいバンドブームとは違った「オレたち」の文化。
敢えて言うならば、聴いてくれていたみんなが知っている90'sじゃなくて、本当に「オレたち」の90's。
その後陽の当たる場所に出ても出なくても、それはひとつの文化から始まったよ。
それに気付いたみんながなだれ込んで来て嵐のような狂騒になり、やがて潮が引くようにいなくなって、それでもまだ残っている「オレたち」の文化。
バンドブームが終わったのはバンドのせいじゃないよ。
みんなが終わらせたんだよ。
むしろ始まってすらいなかったのかもね。
だって「オレたち」の世代、まだまだやってるよ。世間的に知られてても知られていなくても。
同世代のみんながオレは誇らしいよ。
クズだったりムカついたりめんどくさかったり、いっぱい色々あるけど、同じ時代に同じ景色を見ていた人たちが愛おしい。
2度と歌われない歌や叶わない再会がある。
仕方がないよ。時間は有限だもの。
世間の人たちには決してわかってもらえないだろうし、わかって欲しいとも思わない尊さを共有出来る仲間と、また必ず乾杯したい。
オレは、そんな時代。
それぞれの人が、それぞれのそんな時代があるんだと思う。
もっと大きな目で考えたら、同じ時代を共に過ごしている皆さんの前途が幸多い事を祈らん。
どうか元気で、納得行くまで生きて下さい。
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