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#613 努力することに意味はあるのか

2024.7.25.
なんだか壮大な題名になってしまった…
のだが、何の話かと言えば読書記録である。いつものように題名に「読書記録」と付けてもよかったのだが、本を読んでポーンと頭に浮かんだフレーズがこれだったので、こっちにしてみた。

読んだ本は「金の角持つ子供たち」だ。

あらすじ
「サッカーをやめて、塾に通いたい」小6になる俊介は、突然、両親にそう打ち明ける。日本最難関と言われる中学を受験したいのだ、と。難聴の妹・美音の小学校入学を控え、家計も厳しい中、息子の夢を応援することを両親は決意。俊介の塾通いが始まる。だが、彼には誰にも言えない"秘密"があって……。人は挑むことで自分を変えることができる。未来を切り開こうと奮闘する人々を描く、感動の長編小説。

集英社公式HPより


これ、個人的にめっちゃ面白かった!

物語は、大きく3つのパートに分かれている。
①主人公俊介の母親視点
②俊介視点
③俊介の通う塾の講師である加地視点

あらすじのところには「俊介には誰にも言えない秘密があって」と書かれているが、実はこの3人全員に、それぞれの抱えている(本人にとっては)闇のようなものがあって。俊介の中学受験をきっかけに、それぞれが自分を変える一歩を踏み出すという展開で、いろんな場面で涙が出てきてしまった。


思ったこと、主に2つ!

◆努力することに意味はあるのか

これが、題名に書いたやつね。

俊介が受験をしたいと言い出すのはちょうど6年生になる頃。これ、受験勉強を始めるタイミングとしてはめちゃくちゃ遅い。しかも受けるのは最難関の東駒(モデルは筑駒?)のみとの約束で両親からの許可を勝ち取った。無謀 of 無謀。
でも、俊介は懸命に努力を積み重ねる。塾に入ることで学ぶことの楽しさも感じ始める。そして、少しずつ周りに追いついていく。

東駒合格も、ただの夢のまた夢ではないというところになってきた受験直前期に、俊介の父親が塾の加地を訪ねてくるシーンがある。志望校を変えさせてくれと言いにきたのだ。俊介の努力し続ける姿に心を打たれ、何とか合格を手にさせたいという気持ちになった父親は、加地から俊介に志望校を変えるよう勧めてほしいと頼みにきたのだった。

そこで加地が伝えたことは…

塾講師がこんなことを言うのは良くないんでしょうが、合格か不合格か、中学受験はそれだけではないと思います。いい受験だったか、そうでなかったか。それが最も重要なことだと私は思っているんです。

不合格になったからといって、なにかを失うわけではない。それが中学受験なのです。

戸田さんはもし俊介くんが東駒に落ちたら、あの子への信用を失くしますか?ダメなやつだと見損ないますか?二月の合格発表後には、ただあの子が積み重ねてきた努力だけが残ります。合格、不合格。そんな判定とは関係なく、あの子がここまで頑張ってきた時間が残るんです。

という言葉だった。

もしかしたらかなりズレてるかもしれないが…私は、仕事のことを考えていた。
なんかいっつも効率悪くて、ギリギリまで悩んで、遅くまで準備するも結局その授業が全然上手くいかなかったり、勝手に首突っ込んで仕事増やしちゃったりもする。スマートに終わらせて帰る人、子供の気持ちを掴むのが上手な人、しっかり学力を上げられる人、そういう同僚たちを見て「マジで私何やってんだろー!」なんて思うこともしばしば。毎日無駄なことばかりしている。

うーん…でもきっとここには、私が積み重ねてきた努力だけが残ってる。試行錯誤した時間が残ってる。

加地先生の言葉を聞いて、そんな風に勇気づけられたのだ。
努力することに、意味はある。


◆勉強は大事

加地先生には、中学校の勉強に躓いて引きこもりになり、ついには自殺を図るまでに至ったお兄さんがいた。そういった人のために、いつか自分で塾を開き、上を目指す勉強をする子だけでなく、勉強に躓く子を救う教室を持ちたいと考えているのだ。

「この子は勉強はかなり苦手でどうしようもないから、何か他の特技やらで生きていく道を見つけた方がいいね。」
なんて、言ってしまいがちな私。まずは元気に生きてるだけでいいじゃん、とか。姪1に対しても結構そんなスタンスだ。

でも!
その勉強への躓きがきっかけで、自己肯定感を著しく下げたり、人との交流をもたなくなったりしたら、それこそ生きていくのがどんどん難しくなる。

学習内容をある程度理解できるようにしてあげること。分かる・できることをきっかけに、その子の自己肯定感を高めること。努力の仕方を教えること。これって本当に大事だし、教員として気を付けておくことだと感じた。
理科のテストでものすごい点数を取ってしまった子達の顔が浮かんでくる…夏休み明けの再テストか補講を、担任の先生に相談してみようか。


つらつら書いていたら、なんと2000字。
読書記録を書くのが苦手な私にとって、こんなに感想が浮かんでくる本は珍しい。

夏の読書に、いかがでしょうか。
良かったら、読んで感想を教えてください。



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#勉強って大事

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