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もしも一度だけ

高校時代の自分が出会った曲「Rewind」(40mP, GUMI)。
 (本家動画は見つかりませんでした…)

「もしも一度だけ時間を戻せるなら
あなたはいつの日の自分に戻りますか?」
「もしも一度だけ未来へ行けるのなら
あなたはいつの日の自分に会いますか?」

1番と2番のそれぞれの歌い出しだ。

自分の解釈ではこの曲は愛情を歌っているわけだ。生まれ変わっても、大切な日々を共に過ごしたあなたのことを忘れない、と。

高校生ながら、自分もこんな風に思える人と一緒になりたいなと願った記憶がある。

最近、もし戻れるなら、未来へいけるなら、という空想をよくする。あまり自分らしくない気もするが、気づくとそんなことを考えているので不思議だ。

今回は、この曲の歌い出しの問いかけを自分の身として考えてみたい。

いつの日の自分に戻りますか。

過去の自分に会いに行くのではなく、戻る。
その時の自分を傍観するのではない。

傍観できるのであれば高校時代の自分に会って、隣からそっと「大丈夫だよ、全部糧になっているよ」と言ってあげたいのだが。

自分は、もしも過去の自分に戻るのなら、大学1年生の時に戻りたい。
大学1年生の時に戻って、もっと世界を広げたい。教習所とバイト漬けの夏休みはそのままでもいいから、もっと早く自分の興味を探ることをしたい。

そしてやがて2年生になって、もう一度、学祭の運営委員であったあの頃に戻って、彼の隣であの景色を見たい。何回この話するんだって自分でも驚くけれど、それだけ今の自分の根底がここにあるという証拠だ。
欲を隠さず言うなら、本当は2年生のこの時期に戻るだけでもいい。
あの時の純粋な気持ちで、もう一度だけあの景色を見たい。
そしてできることなら、あの時あまりの感傷に言葉にできなかった思いの丈を、泣きながらでもいいから伝えたい。

伝えたいことは、伝えたい時に伝えないとね。
それをあとで知った自分は、今猛烈にその時に戻りたい。
後悔の気持ちがあるわけでもないけれど。

いつの日の自分に会いますか。

これは結構難しい。自分の知らない、ただぼんやり思い描いているだけの道のどこに降り立つかという話だ。

いくら考えても素直にこれだと思えるタイミングがないので時間を決めて無理やり選んだ。
その私の答えは「仕事を辞めた後」だ。転職もするかもしれないが、これからはゆっくり余生を過ごす、という状況を考えてみる(現実と照らし合わせると、まず就職できるのかというそもそも論に抗えないので、今回はその点は無視しておくこととする)。

これを選んだ理由は主に2つある。
1つは、物事をやり遂げたタイミングであるということだ。
自分は物事の終わり、節目を大切にしている。
その瞬間にどう思ったかということに価値を見出している。

どれだけ頑張って充実していても、終わってみて感じたのが「充実」でなかったのなら、「充実」として記録することが難しいのだ。

その逆も然りだ。
どれだけ辛くても、終わってみて楽しければ、「楽しかった」で括れる。


勉強から仕事へ。
まだ仕事をしたことがないからこそ、それが終わってからもつ感情が気になる。
別に、楽しくなかった、でもいい。充実していた、に越したことはないのは言うまでもないが。

さて、それならば大学卒業の日でも、なんなら自分の人生が終わる瞬間でも同じようなことが言えるわけだが。
「仕事を辞めた後」を選んだもう一つの理由は、そこから始まるプライベートへのモチベーションが気になるからだ。

家庭をもっているのかどうかも分からないが、もしも素敵な人と一緒になれる幸福に巡り合ったとして、可愛い子どももいたとして(結婚して子どもをもって仕事をするというのが今の自分の理想だ)、仕事を終えてからどんな生活を送るのか。
当然その頃には子どもは独立している可能性が高い。でも、幾つになっても自分は子どもの母親であり、自分のプライベートを形成する要素になっているはずだ。
そして素敵な人と、出会った頃と同じように、ゆっくり時を過ごしたい。自分を犠牲にするのでもなく、磨くのでもなく、ゆっくりと向き合う時間がほしい。ありのままの自分をひろく受け止める時間がほしい。

そして家庭を持たず独り身だったとしたら(個人的にはちょっと悲しい)、自分にかける時間がほとんどになる。悲しくても、寂しくても、それはそれで価値を見出せるような気がする。
自分がやりたいと思ったことをやりたいようにできる。
今意識している以上に丁寧な毎日を生きていけるように思う。

お金の問題やら介護の問題やら、色々あるのも分かっている。それでも私は、仕事を辞めた後の自分に会いに行きたい。
そして「今の心境はどうですか」と聞きたい。

いい答えを得るために今できるのは、やはり、自分を見つめながら、その瞬間その瞬間を大切に生きるということだ。そしてこうして着地点を何度も観察してあれこれ考えていくことだ。



皆さんは、もしも一度だけ叶うのならば、いつの過去の自分に戻り、いつの未来の自分に会いたいですか。