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物を所有することで失った事

今日は好きな本について書いてみます。

20年以上前に教えて頂いたのですがパパラギという本。
有名なのでご存知の方も多いと思います。

パパラギはサモアの言葉で「空の穴から来た人」と言う意味で、白い帆の船を遠くから見たサモア人が空の穴だと思ったそうなんです。その船に乗っていたのはヨーロッパの宣教師で、ヨーロッパを旅して帰ったサモア人が白人の欲深さを綴った内容になっています。
パパラギは白人のことを意味しますが、いまや先進国の人達をパパラギだとも言えます。自然の中で生活してるサモア人から見ると白人達は、やたら物をつくり、なんにもならない知識やガラクタばかりをもっていて私達先進国の人間は大切なことを失ってしまっているのではと考えさせられる内容となっています。

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1,南太平洋の小さな島の旅

昔私はダイビングをしていたことがあって
この本の存在は南太平洋の小さな島を旅したときに日本人のガイドの方に教えて頂きました。島にはテレビは1台しかなくテレビを観るときは島の人が集会所みたいなところに集まって
お祭り感覚でテレビを観ます。だから毎日じゃないんです。
月に数回程度です。

子供達の遊びは海で魚を獲ったり、波打ち際で砂と海水でじゃれ合ったり、椰子の木に登ってみたり、遊んでいるときの表情はとても愛らしいです。

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男性の仕事は主に漁業です。
仕事がない日は船の手入れをしたりギターを弾いて歌をうたいます。
女性は主婦業の傍ら観光客に売るための衣類に刺繍をあしらったり、ランチョンマットを編んだりしています。
刺繍しながら恋の話をする女性達の存在は印象的でした。

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娯楽がない島の夜は大地に寝転んで星空や月を眺めます。
創造だけでまだ見ぬ世界の話をするのがとても楽しかったのを覚えています。


2,所有したい物

島の人達の日々の暮らしはその日の気候と家族の状況で変ってきます。
天候に左右される島の生活は裕福とは言えませんが島の人達はこう言っていたそうです。
「日本人はたくさんお金があってリッチな人達だけど、私達にはリッチなハートがあります」

確かに島の人達にはリッチなハートがありました。
なにも欲求せず観光客の私にも気軽に声をかけ満面の笑顔で出迎えてくれました。そして自然の変化を楽しみ当たり前のように創意工夫し助け合っていました。

久し振りに本を紹介して下さった日本人のガイドの方のブログを読んでいました。3年前の更新が最後で島の人達がリッチなハートを失ってしまった話が書いてありました。

以前だったなら、お袋をはじめ誰もが真っ先に、せっかく購入した品物を失った乗客の心境やその時の恐怖に寄り添っていた。乗客だけじゃなく、装備品を失いロープを切ってアンカーを捨ててまでして窮地を脱しなければならなかった船長の心情を思い「カーワ」(かわいそうに)と、口々にしていたはずだ。
 しかし、興味は物だけに向けられ「カーワ」という発言は一度も聞けなかった。
 もどってきたお袋は、まるで自分がそれらの物を見つけたかのように、落ちていた様子や回収する様を、訪れた女たちに話している。
 人々の心が物に侵されてしまったのが、目に見えるようだった。

私も正直ショックでした。

物を得ることがリッチな証ではないと教えてくれた島の人達が変ってしまった。観光客の存在が島の人達の心を変えてしまったのかもしれません。
そう思うととても複雑な気持ちになりました。


3,終わりに

この数年で日常ががらりと変ってしまった人達も多いのではないでしょうか。仕事を失った人、人間関係が変った人、逆に夢が叶った人それぞれあると思いますが、いつも側に居る人達の存在に感謝し、心を通わせ助け合いながら生活をしていくことが本当のリッチなのではないかと思います。

是非読んでみて下さいね。


追記・・・・・

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この島で私も空の穴を見つけたんです。この朝焼けを見て私は色んな創造をしました。

皆さんも心奪われた風景ありますよね。その先に何があるか創造すると本当に楽しいです。

                            おしまい

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