いつもの夏休み①

いつもの夏休み。


「(そろそろ電話しようかなあ…)」


電話するのはなんてことないが、電話をかける行為に移ることに対して面倒くささを感じてしまう性格。

重たい指で数字を押しながら耳に電話機を当てる。


『もしもし?はいはい』


"し(サ行)"がほんのりth発音の馴染みある声。


「今度の夏休み、ばあちゃんちに泊まろうと思うんだけど大丈夫?迎え火する前に行こうかなって」

『うん、大丈夫よ。おまえの予定が入ってないなら○月‪✕‬日の△△で買い物しようと思うんだけど、おまえ来れる?』

「うん、大丈夫だよ。じゃぁ10:40発のバスでばあちゃんち行くのでいい?」

『うん、わかった。でもおまえ、こんな暑い中来るの無理しないでね?気をつけて来なさいね』

「大丈夫だよ。ありがと。ばあちゃんも当日は無理しないでね」

『はいはい。じゃぁね』



毎年夏休みはお盆の少し前にばあちゃんちに行き、じいちゃんのお盆の準備をするのが恒例だった。

それが私の夏休み。

いつも導入部分はこんな感じ。

待ち合わせ場所の△△が変わったり、日にちが多少ズレるだけでほとんど同じ。

そんな私のいつもの夏休み。


2024.7.20.

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