見出し画像

更年期とエクオールーエクオールとは

更年期症状でお悩みの方の相談を受けた時、医師ではないのでホルモン補充療法の説明、メリット・デメリットのお話はできても処方はできません。

他に少しでも症状の改善ができる方法がないかと思っていた時に知ったのがエクオールの存在です。

更年期の様々な症状を軽減できることのエビデンスもあり、医療者として責任を持ってお勧めできるのがエクオールのサプリメントです。

ホルモン補充療法をするほどではない、ホルモン補充療法をするには抵抗がある、またホルモン補充療法が禁忌で使えない場合にエクオールサプリメントを紹介することが、看護職にもできることになります。

そこでエクオールについて何度か分けて解説したいと思います。




エクオールとは

エクオールは1932年に発見された女性ホルモンのひとつエストロゲンと似た働きをする成分です。

大豆由来の成分でホルモンではありません。

ネットで調べてみると、KO-NENNKI.Labというサイトにはエクオールについて下記のように書かれています。


エクオールはエストロゲンとよく似た働きをする成分です

現在、エクオールには女性ホルモンに似た働きをする「エストロゲン様作用」
エストロゲンが過剰な時にその作用を抑える「抗エストロゲン作用」
男性ホルモン アンドロゲンの働きを抑える「抗アンドロゲン作用」
体をさびさせない「抗酸化作用」


などが認められています。
特にエストロゲン様作用は大豆イソフラボンより強く、細胞のエストロゲン受容体(レセプター)に入り込むことでエストロゲンに似た働きをすることがわかっています。

https://ko-nenkilab.jp/equol/about01.html

なぜ、エストロゲンと似た働きをすることができるのでしょう?

下図のように、グレーのエストラジオール(エストロゲン)の分子構造式とピンクのエクオールの構造式が類似しているためにエストロゲンの受容体に結合することができエストロゲン様の働きができると言われています。


さらに、閉経前は、自分のエストロゲンと競合してエストロゲン受容体に結合するために本来のエストロゲン作用を抑えるというエストロゲン作用を示します。

閉経後は、自分のエストロゲンは減少していますが、代わりにエクオールが受容体に結合してエストロゲン様作用をしまします。  

受容体に関しては、更年期を理解するためにーエストロゲンの正体参照

このことにより、女性ホルモンのバランスを調整したり、エストロゲン様作用をすることで、更年期障害の症状緩和や骨密度の維持に役立つ可能性があります。


エクオールは、大豆イソフラボンの一種であり、大豆製品を食べることで体内で特定の腸内細菌(主にラクトバチルス属)によって生成されますが、腸内細菌を持っていない人もいるため、エクオールを補うサプリメントも開発されています。

今、女性の健康維持のためにも注目されている成分です。

エクオール菌の発見が女性を救う


エクオールの発見は1932年で、Marrianらによって妊娠した馬の尿から新規のホルモン物質として単離され[equol]命名されています。

1982年に、ヒトでもエクオールが発見されたことが報告されています。

さらにマウス,ラット, 鶏,羊,牛,ヤギなどの動物は,全てエクオール産生能を持っていますが、ヒトは持っている人と持っていない人がいることがわかりました。

それまで新規のホルモン物質と考えられているエクオールが大豆イソフラボンの代謝産物であることがSetchellらが初めて報告され女性ホルモンあるいは男性ホルモン依存性の疾患に対する有効性が期待されました。

(S)-エクオールは、エストロゲンまたはアンドロゲンに起因する疾患または障害の治療に効果があることが1984年に最初に報告されました。

2002年にはSetchellらによるはじめてのエクオールに関する総説がまとめられ大豆あるいは大豆イソフラボンの臨床効果の鍵がエクオールではないかと仮説、いわゆる「エクオール仮説」が提示されています。

その後多くの臨床研究がされますが、エクオールそのものを直接摂取させる臨床試験のためのエクオール製品が全く存在しなかったことが大きな障壁となっていました。


しかし、大塚製薬の内田らにより,食品として利用可能なラクトコッカス 20-92 株40)を発見されて,これを用いて 大豆胚芽を直接発酵(乳酸菌発酵)させ,S 体エクオール を含有する大豆胚芽乳酸菌発酵食品(食品名:SE5-OH,大 塚製薬(株))が開発されました。

参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB#:~:text=%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%20%EF%BC%88Equol%E3%80%814'%2C,%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89%E6%80%A7%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82

これまでエクオールそのものをヒトに摂取させた臨床試験はほとんどなかったそうですが、この食品の開発によりエクオールの効果を摂取した人と摂取しなかった人と比較して評価できるようになり、現在様々なことがわかってきています。

また、エクオールにはSエクオールとRエクオールがあります。

下記はウィキペディアの引用です。

エクオールはキラル中心を1つ持っているため、エナンチオマーである (S)-エクオールおよび (R)-エクオールの2つの鏡像形態で存在することができる化合物である。しかしながら、ダイズイソフラボンの摂取後にエクオールを産生する能力があるヒトおよび動物においては、(S)-エクオールのみが産生される。(S)-エクオールは植物起源ではない。ダイズイソフラボンであるダイゼインの代謝産物である。(S)-エクオールはイソフラバンとして特徴付けられる[4]。 対照的に、(R)-エクオールはヒトでは産生されないが、実験室などで化学的に合成することができる[8]。(S)-エクオールの分子および物理的構造は、エストラジオールホルモンに類似している[9]

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB#:~:text=%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%20%EF%BC%88Equol%E3%80%814'%2C,%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89%E6%80%A7%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82


実際にはエクオールにはSエクオールとRエクオールがあることはあまり知られていませんが、サプリメントの成分として分かれます。

Sエクオールは天然の成分、Rエクオールは合成されたもので、受容体への親和性はSエクオールの方が高いとされています。

SエクオールとRエクオールの知的財産権をめぐって裁判が起きました。

このことに関しては、こちらで説明しています。


エクオールが1932年に発見されてから、まだ100年は経っていないのですが、先人の方のおかげで数多くのことがわかってきました。

現在様々な研究がされ、女性の健康のために、多角的に貢献してくれることが証明されつつあります。

今、フェムティックに注目が集まっていますが、私はエクオールは究極のフェムティックだなぁと思っています。

HRTも究極のフェムティックです。

そう考えると、これ以上のエビデンスに裏付けされたフェムテックはないだろうと考えています。

エクオールに関しての理解を深めて、患者さんに説明できるように学んでいただきたいと思います。

*フェムティックとは
Female(女性)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語です。思春期や月経、妊娠・不妊・産後ケア・更年期といった女性の各ライフステージにおける悩み・健康課題に対して、アプリやAI(人工知能)といった先進的なテクノロジーを使って解決する商品やサービス全般を指します。


↓ クリック或いはタップ

目次 



この記事は私が書きました。


佐藤みはるのプロフィール


助産院ハイジア  公式サイト

更年期に関する資格認定講座 ウィメンズヘルスアドバイザー

更年期の最新情報をお届けするメルマガ[更年期情報最前線」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?