スーパー助産師との出会い
わたしを新人の頃から指導してくれた先輩は、
たった一人で何人分もの仕事をこなせてしまう
スーパー助産師でした。
どんなに出産が立て込む忙しい日でも、
どんなに同時多発テロ的な事件が起きようとも、
その人がいれば、なんとでもなる。
機嫌の悪い威圧的なドクターとも関係を築き
堂々と立ち向かっていける。
そんな先輩でした。
でもその先輩はちょっと、
働きすぎるところがありました。
残業をして出産に立ち会って後片付けをしたり、
後輩の指導をしたり、その後カルテ記録をしたり・・・
さらに、その徹底した仕事のし方を
後輩にも望み、指導するところがありました。
出産や赤ちゃんを愛していて、
勉強熱心で、何でも知っていて、
助産師になるために産まれてきたような人でした。
だけどそのやり方についていけず、
退職する助産師もいました。
その先輩は、だんだん、
勤務時間に遅れるようになっていきました。
そして、欠勤するようになっていきました。
そのうち、病院に来れなくなってしまいました。
どうやら心を病んで、
体にも影響が出ていたようでした。
悲しくてたまりませんでした。
あんなに出産を愛し赤ちゃんを愛し
仕事を愛するスーパー助産師さんが、
心と体を病んで働けなくなってしまうなんて。
どうして。
前回の記事でも語った通り、わたしは
かなりポンコツな新人だったのですが
その助産師さんから言われたことがありました。
「優秀な助産師なんていらんねん」
スーパー優秀な助産師さんに言われたので
頭の中は「???」だらけでした。
きっとその先輩は見抜いていたのでしょう。
わたしが学歴ヒエラルキーから転落し、
不本意で助産師になったこと・・・
そして劣等感まみれだったこと・・・
だけど、思ったんです。
その助産師さんも、本当は
「優秀」であり続けることに
疲弊していたのではないか・・・
助産師が自らの本当の喜びを満たして、
助産師としての役割を果たしていく道って
一体どこにあるのだろう。
そう思ったことが、
今の活動の原点になりました。
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