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何でもない日

大阪出身で、上京してきた身である僕はあんまりこっちに友達がいない。バイトがない日は1人で過ごすのがほとんどだ。家にずっといるのが嫌で午後くらいから何も予定を立てずに家を出る。若手芸人なんて休みがほとんどなんだからとにかくネタを書けとバイきんぐの小峠さんがテレビで言っていた。全くもっておっしゃる通りである。ネタを書こうとカフェに行く。家で書けばいいじゃないかと思うだろうが、ネタを書くならカフェだろうという固定概念と、家にいるとすぐに自慰行為をしてしまうからだ。いつでも、好きな時に自慰行為が出来てしまうのが一人暮らしのメリットでもありデメリットである。男には賢者タイムと呼ばれるものが近頃はこれがひどい。何をやっているかすごく冷静になってしまうのだ。さっきまでは画面上の女性に興奮していたくせに真逆の顔で画面を消して真っ暗のテレビ画面に真顔の僕が現れる。

違う違う、別に今日は男の生態について話したいわけじゃない。ネタを書こうとカフェに入るが僕は天才でも何でもないのでスラスラかける訳ではなく集中力がきれ、YouTubeを見たり、ゲームを初めてしまう。そんなこんなで、座っているのが嫌になり、カフェを出る。電車に行くのも嫌なので、最寄駅の商店街をブラブラする。

僕は歩くのが早いので、どんどん人を追い越していく。目の前のカップルが急に立ち止まりぶつかりそうになる。体制を崩した僕を見て怪訝そうな表情を浮かべる、しかも手を繋いだまま。もう一度言う。手を繋いだままだ。くそー。おれが羨ましがるとでも思うのか?羨ましいよ。1人で暮らし始めてから人が恋しくなった。だからこのカップルにそんなつもりがなくても、こちらは立派な被害者だ。そのまま隣の銀だこでも入ってたこ焼きをアーンしあえ!

こんな事を思っていると日が暮れてくる。スーパーによって何を食べようかと悩むが結局、焼くくらいしか思いつかないので肉を買って帰ろうとする。ふと見ると、さっきのカップルが買い物をしている。銀だこに行けって言ったよな!!と思うが言ってはなかった。2人の愛の巣で、仲良く食事をしてくれ。

家に帰り、ご飯を食べるとまた外に出たくなる。裏にちょうどいい公園があるのでランニングをしに行く。好きな音楽をかけ、自分がPVに出ているイメージで走ると気分がいい。コツはドラムの音の時に地面を蹴る事。広場でJKが花火をしている。混ぜてもらいたいが、声を掛けてしまうとニュースになりかけないのでやめておく。

帰って風呂に入る。またネタ書けなかったなあともやもや考えてしまうので、早めに寝る。自分1人との会話。声を発さない会話。何でもない日である。

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