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Shrink 〜1人でよく頑張ったね。

こちらは比較的新しい漫画。精神科医のところに訪れる様々な患者のケースが描かれている。かなりリアルにそれぞれの病気の症状が描かれているのでそれだけでもかなり参考になる。

最新巻の4巻が先日出た。東北の震災からPTSDを患った方の話。この病気の症状や患者の方のなんともいえない感情などもとても繊細に描かれている。頭が理解しても心がついていかない、そんな状況がどれだけ辛くしんどいか。

ただ今回書いておきたいのは、それではなく、「今まであなたはよく頑張ってきたよね。本当にすごい」という一言について。

私は企業で研修を実施していると、企業人事の方や現場の上司などから「できない人」について相談を受けることがある。「・・・・・という部下がいて」「・・・・というどうも部下をマネジメントできない社員がいて」など。そしてその評価の低い人と実際に話をさせてもらうと、かなり自己肯定感が下がっていることが多い。「どうせ私は・・・・で」「私が悪いので・・・」などという言葉が決まり文句のように出てくる。

という私も会社員時代、部署をうまくマネジメントできず、周囲から責められ、評価も部下や後輩からの評価も最悪だろうなと感じた時があった。そんな時例に漏れず、「どうせ私には無理だと思っているんでしょ」「どうせ私が悪いのだから」などと言っていた。でも心のどこかでは誰もわかってくれない、私は私なりに頑張っているし、やっているつもりという気持ちも実はあった。

そんな時誰かが「一人でよく頑張ってきたね、一人で苦しみ抜いてなんとかしようとしたんだね、すごいよ」と言ってくれていたらどうだっただろう。私はこの言葉をかけてもらえていたらと想像するだけで、グッとくるものがあるくらい、救われる思いを抱く。

組織の中では誰だって頑張っている。あの人仕事しないよね、仕事をしないなりの理由がある。そして実はこういう人の方が溺れそうになる程もがいていたり、もしくはもがいたけれどもどうにもならなくて諦めてしまっていたりするのではないだろうか。

誰かを悪者にするのは簡単。だけどその人のそんな状況に気づいてあげられる人がどれだけいるのだろう。「できない人」を「できるようにする」ためにも、実はまずその人が人一倍苦しんできたことをきちんと認めることから始まると思っている。

今回のこの漫画では震災後のPTSDを患ってしまった方に対してかけられた言葉だけれど、実は身近な人の中にもかけてあげるべき人はいるのではないだろうか。

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