頭を使わなくても楽しめて、頭を使うともっと楽しめる小説が書きたい
頭を使い過ぎて疲れ果てた時、「もう頭使いたくないー。頭使わずに面白いものが味わいたいー」と思うことがあります。
ナンセンスなお笑いだったり、ひたすら面白カワイイ猫動画だったり…。
そういうことって、誰にでもあるのではないでしょうか?
ストーリー性も何もない、ただ瞬間的に笑える動画や、可愛いアニマルが戯れているだけの動画がバズるのには、そんな理由もあるのではないでしょうか?
なので、小説というコンテンツにも「そういうのがあっても良いのでは?」と思いました。
マンガには「ギャグ漫画」というジャンルがあります。
しかし、小説というコンテンツにおいては、そういう「ギャグやコメディに特化したもの」が確立していない気がします。
(そういう小説自体が無いわけではありませんが、「ジャンルとして」は、まだ成立していないのかな…と。タグを見ても「コメディ小説」「ギャグ小説」などワードが分かれていて「ジャンル名自体が定まっていない」感じですし…。↓)
(↑アルファポリスさんの「お笑い」系小説のタグまとめ。はてブ利用。)
ただ…ひとつ難しいのが「小説という媒体自体が、ギャグや笑いだけのスタイルに向いていない」ということです。
ショートショート形式なら、笑いだけでも耐えられるのでしょうが…
ある程度の長さを持つ小説になってくると、何らかの「ストーリー性」が無いと成り立ちません。
よって、自然と「ギャグやコメディに特化した小説」は、「何らかの『ストーリーの中』に笑いを散りばめたもの」というスタイルになっていくのではないでしょうか。
問題は、いかにしてそのストーリーが笑いを邪魔しないようにするか、です。
あるいは、いかに「笑いに向いたストーリー&設定を作れるか」です。
笑いを絡めるために作った「ストーリー」や「設定」が、変に小難しくなってしまって、読者に頭を使わせるようになってしまったら、目的迷子で本末転倒です。
それに、個人的意見ですが…
たとえばナンセンスなギャグ漫画では、綺麗に凝った絵柄より、ゆるい絵柄の方が、より「笑える気がする」ように…
(シュールギャグなら綺麗で凝った絵もアリですが…。)
「ギャグやコメディに特化した小説」も、設定やストーリーや文章に、ある程度の「ゆるさ」があった方が、より笑えると思うのです。
ヘンに「完璧に詰まった設定」を作ってしまうと、いざ笑いのシーンに来た時に「違和感」が出てしまって楽しめないのではないでしょうか?
(ファンタジー系小説の感想あるあるな「この時代にこんな事が起こるはずがない!」「時代考証がおかしい!」みたいな感じで…。)
なので、自分が「ギャグやコメディに特化した小説」を書く際には、だいだい初っ端から「ゆるさ全開」で行くのですが…
そうすると、1つ困ったことが起きます。
それは「書き方が『ゆるい』と、なぜか小説のクオリティーが低いと思われて舐められがち」なことです。
小説に限らずマンガでも、ギャグ漫画はシリアスに比べて一段低く見られがちな気がしますし…
芸能界でも、お笑い芸人さんが一般人に軽く扱われたと、ネタで話していらっしゃるのを聞いたことがあります。
…神のように崇め奉られても、それはそれで笑ってもらいにくくなりますので、ある程度「親しみを持ってもらえる」のは良いことなのですが…
「笑える」というだけで「真面目でシリアスなものより格下」のような見られ方をするのは、如何なものかと…。
ギャグも漫才も、頭が良くなければ人を笑わせることはできませんし、実際かなり高学歴のお笑い芸人さんは沢山いらっしゃいますよね?
どうも世の中「笑いのために、あえて『ゆるく』している」というのを理解してもらえないことが多いのかな…と。
(まぁ、笑ってもらうためには、あえてソレ(=本当はメチャクチャ頭を使って考えている)を「見せないようにする」ことも大事なのかな…とも思うのですが…。)
「文章がゆる過ぎる→小説が下手に違いない→おもしろくないに決まっている」で、途中で読むのを止められてはたまりません。
なので、何とかもっと「ギャグやコメディに特化した小説」が増えて、「ギャグ・コメディなんだから、ゆるいのは当たり前じゃん!」という意識の読者が増えないかなーと思っているのですが…
ただ待っているだけでは、いつ実現するのか分からないので、今できる対策として「ギャグやコメディでも舐められない」ために、だいたいどの小説にも伏線回収とサプライズを仕込む、ということを行っています。
「え?ギャグやコメディなのに…?」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが…ギャグやコメディでも、ちゃんとそういうことはできます。
漫才やコントでも、序盤に細かな前フリや伏線が散りばめられていて、それが終盤で一気に回収されて大爆笑につながる…というタイプのものがありますよね?
(落語で言えば、綺麗にオチがつく…みたいな…)
個人的に、ああいうのが大好きなんです。
それに、そういった伏線回収やサプライズを仕込めば、頭を使いたくない人だけでなく、頭を使いたい人にも面白く読んでもらえるのではないかと…。
自分は元々「小説を多層的に楽しんでもらいたい」と考えています。
知識の無い人も楽しめるけれど、知識のある人はもっと楽しめるような…
深読みしなくても楽しめるけれど、深読みすればもっと楽しめるような…
そして頭を使いたくない人にも楽しめるけれど、頭を使うともっと楽しめる小説が書きたいのです。
なので「囚われの姫は嫌なので、ちょっと暴走させてもらいます!~自作RPG転生~」では、全体的に「ゆるい」笑いを散りばめつつ、クライマックスにはどんでん返しのサプライズを持って来るようにしています(だいたいギャグなサプライズですが)。
…まぁ「言うは易し、行うは難し(言うのは簡単、実際にやるのは難しい)」ですし、サプライズの成否は作者本人には分からないので、その辺り、自分では判断できないのですが…。
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