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小女神の元ネタは、ネパールの少女神クマリ

児童文学風ファンタジー小説「夢の降る島」には、神の代理人として崇められる「小女神(レグナース)」という特殊な存在があります。

(ヒロインも「小女神」のひとり。)

この小女神という設定――実は、アジアのとある国で実際に信仰されている、とある存在をモデルにしています。

(とは言え、あくまで「アイディアの元」ですので、参考にしているのは制度の一部だけで、ほぼ原型を留めないほどにアレンジしてしまっているのですが…。)

そのモデルとは、ネパール生き神クマリ」。

カトマンズ(ヒマラヤ山脈の裾野に広がる盆地)で古くから信仰されてきた「少女神」のことです。

特徴は何と言っても「生き神」ということで、生きて存在する少女が信仰の対象となっていることです。

クマリは純粋無垢な少女の肉体に宿る女神とされ、その器たる少女は、3~5才の頃にブッダの直系子孫「サキヤ」の中から選ばれます。

その選定はブッダが生き仏になった際の外見的特徴になぞらえた32の条件をもとに行われ、さらに占星術師が国家と相性の良い星回りを持つかどうかを見極め、最終的に、幼子にとっては過酷な試練(人のうめき声が響く真っ暗な部屋の中、血まみれの水牛の首を目の前にしても悲鳴を上げず、恐怖してはならないというもの)をクリアした者だけがその座に就くことができるのです。

そうして神として選ばれた少女は、神の座を降りるその日まで、祭の日以外は館を出ることも許されず、生き神として崇められ続けます。

小説の中で「小女神」は、その座を降りる条件が「初潮を迎えること」となっていますが、クマリが「神」の座に在り続けるための条件は物語中のレグナースよりも厳しく、初潮だけでなく「ケガによる出血」でもその座を降りなければならないそうです。

この「クマリ」についての知識、自分はドキュメンタリー番組で知り、あまりにもツボだったので記憶に留めていたのですが…

あまり他の小説で使われているのを読んだことがありません。

(自分が知っている唯一の例は須賀しのぶさんの「流血女神伝」シリーズです。←そのまま使われているわけではなく、クマリをモデルにしたと思しき女神や信仰が登場するという形ですが。)

北欧神話やギリシャ神話、日本神話etc…は結構頻繁に使われているのに…

(ちなみに文献などもなかなか無いので、自分のクマリについての知識も、番組で知ったものが全てです。この記事を書くにあたっては、一応、動画を見返しましたが…知識に誤りなどあったらすみません。)


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