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自ジャンル(推しジャンル)を盛り上げる工夫を

どんなコンテンツにも「人気」なジャンルと、そうでないジャンルがあります。

人気なジャンルには人が集まりますが、不人気なジャンルには人の流入自体がありません

どんなにクオリティーの高い作品であろうと、どんなに「おもしろい」作品であろうと、そこに人が集まって来なければ、見出されることはありません

例えるなら、人通りの多い駅前で路上ライブするのと、人のほとんど通らない裏通りで路上ライブするくらいのが、そこにはあります。

どんなに歌の上手い人間だろうと、「人の通らない道」ではその才能に気づかれようがないのです。

昨今の小説投稿サイトで一部のジャンルに作品が偏りがちなのも、妙に似通った作品が多いのも「ソレ」が原因かと思われます。

人の全く来ない寂しい裏通りで、どうにか誰かに届かないかと一生懸命声を張り上げて歌い続け、それでも報われない――そんな状況は精神がすり減ります。

なので「本来自分が好きなジャンル」を棄ててでも「現在人気があるジャンル」に行くというのは、分からないでもないのですが…

それで本当に良いのでしょうか?それで本当に幸せになれるのでしょうか?

「今人気のあるジャンル」が、自分にとって「得意」なものだとは限りません

時代のニーズを汲むのは、ある程度は必要なことでしょうが…自分の「好き」や「得意」を棄てさせられ、全く違うもので戦わされるのは「不利」で「」なことなのではないでしょうか?

問題なのは「今、自分がいるジャンル(本来自分が好きなジャンル)」に「人が来ない」ということ。

ならば、そこに人が集まって来るようにすれば問題は解決するのではないでしょうか?

■自ジャンルを盛り上げる先人の知恵

「人気のないジャンルに人を呼ぶ」――それは何も今に始まったことではなく、昔から行われ続けていることです。

コミケの二次創作ジャンルでも、アイドルの追っかけでも…

それはすなわち「布教」――そのジャンルの魅力を他の人に広く伝え、共感を得ることです。

もちろん、そう簡単なことではありません。

人は興味を持たないものを、とことんスルーする生き物。

どんなに熱く訴えかけても、響かない人には響きません。

ただ、1つ有効だと言われているのは「布教している本人が、そのジャンルに何よりも夢中なこと」です。

そのジャンルの長所をどんなに賢くプレゼンするより、布教者本人がテンションMAXではしゃいでいる方が、見る人の興味を惹くのです。

「そこまで夢中になれるなんて、そんなに面白いジャンルなのかな?」…という風に。

■自ジャンルの他作品を応援する

これは個人的に行っていることなのですが…

「これは自分の好きなジャンルだ!」「これは自分と関係あるジャンルだ!」というジャンルで良さげな作品を見つけたら、こっそり(※)ブクマお気に入り)登録しています。

(※作者様に認知されるのが苦手なため、非公開や登録者の名前が分からないサイトでしかやっていません…。)

たとえば「設定や世界観にオリジナリティーのある小説」ですとか、「自分が学生時代に書いていた小説に、何となく似ている作品」ですとか…。

書き続けて欲しい」「いなくならないで欲しい」と思う方がいると、ささやかな応援のつもりでブクマ(お気に)しています。

ジャンルを盛り上げるためには、そのジャンルにたずさわる人間が「一定数以上」いなければ話になりません。

」は読者に「人気」を感じさせる大事な要素です。

コミケでも、2~3しかサークルがないジャンルより、サークルが20も30もあるジャンルの方が「人気」に見えますよね?

タピオカもマリトッツォもカヌレもタルトも、売っているのが1店舗だけなら「ふーん」という感じですが、「どこの店にいってもソレがある」となれば「今、これが人気なんだな」と感じますよね?

どんなに才能のある物書きだとしても、まだ人気のないジャンルを1人だけで盛り上げていくのは、まず不可能です。

そこにはある程度の「仲間」がいてくれた方が有難いのです。

「同じジャンルの『ライバル』を応援したら、自分が不利になるのではないか?」と思う方もいらっしゃるかも知れませんが…

ビジネス的な見方をすれば、逆に「ライバルがお客を連れて来てくれる」ことの方が多いのが現実です。

読者は貪欲なもの。

1つのジャンルが気に入ったなら「同じジャンルの他の作品は?」と手を伸ばしてみるのが消費者心理ですよね?

そんな「自分の所に流れて来てくれる読者」を増やすためにも「そのジャンルへの入口の数(=作品数)」は多い方が良いのです。

■読者の「読まず嫌い」を打破する努力を

小説の「おもしろさ」はジャンルだけで決まるわけではありません。

人気のジャンルでもおもしろいとは限りませんし、不人気のジャンルでもおもしろい作品は当然あります。

しかし、まずそのジャンルで「読む・読まない」を決める読者はいることと思われます。

そもそも小説投稿サイトのランキングは上位が人気ジャンルで固まっていることが多く、「人気でないジャンル」はそうそうランキングに食い込めず、ポイントも上がりません。

しかしそんなランキング順位やポイントで「読まず嫌い」をする読者もいることと思われます。

(いわゆる「ランキング神話」や「数値信仰」で、単純に順位や数値が高い作品を「おもしろい作品」だと思っている人は、意外と多いのではないかと…。)

どんなに面白い作品が書けても、読まれないことにはその面白さに気づいてもらえません

自ジャンルを人気にしていくためには、そんな読者の意識を変え「読まず嫌い」されないことも必要なのです。

読者の意識を変えるには「意識を変えるための情報」を、とにかく地道に発信していくしかありません。

作品を書くだけでいっぱいいっぱいという物書きさんもいらっしゃるかも知れませんが…

せっかく書き上げたその作品、ただジャンルが人気でないという「不運」だけで読まれないとしたら、あんまりだと思いませんか?

残念ながら、読者の意識は魔法のように勝手に変わってくれたりはしません

そこには必ず何らかの「きっかけ」が必要なのです。

いつ来るかも分からないその「きっかけ」を漫然と待つより、自ら「きっかけ」を作ってしまう方が「早い」とは思いませんか?

■「今は人気ジャンルだから」と油断しない

中には自ジャンルがちょうど「今人気のジャンル」で、盛り上げる必要性を感じていない方もいらっしゃると思います。

しかし、盛者必衰――ジャンルの人気は移り変わるものです。

小説を書き始めた頃には人気だったジャンルも、大長編を1本書き終わる頃には廃れているかも知れません。

それに、小説がヒットし、書籍化し、コミカライズし、アニメ化し…とトントン拍子に進んだとして…

そこには大概、数年のタイムラグが発生します(アニメ化の報を聞き「今頃!?」と思う作品って、実際結構ありますよね?それにアニメ化が発表されてから実際にアニメが始まるまでにも、1年以上のタイムラグが発生する例が少なくないのです)。

そのタイムラグの間に人気が衰えてしまったら「損」ですよね?

「今は」どんなに人気のジャンルも、時が流れれば、やがて飽きられ廃れていくものです。

ジャンルを盛り上げる努力は、どんなジャンルであっても必要なものなのです。



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