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感想 分岐駅まほろし  清水 晴木 人生の分岐点を再度やり直させてくれる駅。しかし、現実には何も変わらないのです。



誰だって、あの時に戻れたら、違う選択をしていたらという
IF は存在する
もしも、それが叶うなら
というのが本書のモチーフだ。

「あなたの、人生の分岐点はいつですか?」
と駅員は問う

松任谷由実の歌じゃないけれど、あの日にかえりたい
そんな気持ちはみんなある。

それを叶えてくれるのだけど、現実世界に戻るとなかったことにされるという短編集です

それでも戻りたい?
どうなんだろう。
それに思っているほど、IFの人生は素晴らしいものではないような気がします。

病気の母の延命を願う娘
あの時に検査をしていたら・・・
でも、その場合の人生が思う通りになるとは限らない

初恋の相手に告白し結婚した人生
美人妻との生活は、今のきつきつの生活と比較して
それは本当に幸せなの?

第一志望の大学に合格していたら・・・
この話しは、自分が見てなかった景色に気づかせてくれる
そんなのは本当は大切でないという事実

死んだ妻と会うために、彼女が死ぬ前に戻る



確かに、それらは分岐点である
しかし、IFの希望が叶っていたとして
それは幸せなのかどうかは疑問です

そんなことよりも、今を全力で生きるのが大切で
そこにしか幸せになる方法はないと思います

駅員の言葉が心に残った。

・・・どうか、今日が葛城さんにとっての分岐点になってほしいです



つまり、このIF もしもの世界を体験したことが
彼らの分岐点になればと言っているのです

彼らの絶望的な人生の分岐点として
この体験があるということです

それは、気づきです
体験することで気づくことです

過去の分岐点に行くことなんか意味なくて
その体験から何を感じたのかが大切

おばさんになった妻、煩い子供たち
いい加減にしろと思う彼は
美人の同級生を妻にし、幸せになったのか?
子供のいない人生 お金を使いまくる妻 不倫している妻
それは幸せではない

幸せはすでにあった
その気づきが大切なのかもしれない。




2022 12 13




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