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感想 いつかみんなGを殺す 成田名璃子イベントの当日に大量のゴキブリが放たれる。これはゴキブリとの闘いの物語だ。



この小説、かなり楽しい。
期待値を超えた面白さだった。
読み終えたら、たぶん、誰かに感想を語りたくなるのだが
冷静になると、何を語ればいいのかわかんなくなる
ただ、面白い。でも、何もない作品なのだ。



Gとは、ゴキブリのことだ。
本書は、ある老舗ホテルのゴキブリとの闘いを描いた物語だ。

鹿野森優花は、東京の老舗超高級ホテル、グランド・シーズンズの総支配人。
彼女の地位を従兄が狙っている。その部下が副支配人の穀句ローチ氏。
イベントのある大切な日。
穀句ローチたちは、ホテルに造反する。
このホテルに、絶対に存在してはいけないG=ゴキブリを大量に解き放ったのだ。
これは一種のテロである。
支配人、シェフ、秘書、VIP客の歌舞伎役者、ピアニスト、そしてGハンター、副支配人に雇われた演劇の学生、歌舞伎役者の付き人、それぞれの立場と思惑が錯綜し、ドタバタドタバタと右往左往のコント的展開。

似ている作品は、三谷幸喜さんの

THE 有頂天ホテルです。


ジョーン・クロフォード主演の「グランドホテル」で確立された「グランド・ホテル形式」を本作も有頂天ホテルみたいに採用しています。

具体的に見てみると。

ゴキブリを流布し、イベント失敗を企む穀句ローチ副支配人が、自ら雇ったバイトにsmプレーもどきをされて、いたぶられる場面や。それを会長に見られる・・・ところ笑えます。

歌舞伎役者の大御所がゴキブリを使った儀式の途中で、付き人の恋人が誤解し儀式用のゴキブリを殺す、付き人はゴキブリに女の名をつけているのである。その変態ぶりが最高。

ピアノにゴキブリが挟まって失敗した過去のあるピアニストが、元恋人たちの前で会話の邪魔をしようとして本気で運命を演奏するところとか、その必死なところもいい。

ラストシーン、イベントつぶしに失敗した副支配人たち悪の軍団三人が、食べたラーメンの特性出汁の正体とか気になる。それはゴキブリを暗示させるのだが・・・。


大笑いしました。中身はほとんどないです。



2023 6 4



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