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書評 エラー 山下紘加 圧倒的な力量、文章の隙間隙間から漂う悪臭。見事!。

フードファイトをモチーフにした話し。
主人公は早食いのチャンプ
若くて才能があり元グラドルで美貌の女の子。

だが、水島という主婦に王座を奪われてしまう。
早食いの世界の描写が細やか
とてもリアル
battleシーンの描写は、文章の隙間隙間から豚骨ラーメンの背脂が滲み出しているみたいに
悪臭とねたねたする感覚が滲み出していた
力作です。

大食いは味覚を重視して食べるのではなくて
視覚を重視する
ようするに量なのである。
それは味わって食べるという食の本来の楽しみとは矛盾する行為である。

彼女にとって、フードbattleでの食とは何だろう。

食べる行為が自分を満たす為の行為であり、食に対して貪欲であることは
あたかも性に対してあけっぴろげであるような仄暗い卑しさを内包している。

つまり、彼女にとって食とは自己実現のためのツールだったのだ。

そして、そんな彼女が食に対して求めているものは・・・

私は、私の底が知りたかった。おそらく、ずっとそう思ってきたのだ。隙間なく食べ物を詰め込んできた先に、恵まれた身体の奥行の先に、コントロールしえない領域まで達した時の自分の最奥部を感じたかった。

これは自分の限界を知りたい。ようするに自分探しなのだ。

そんな世界にアイドルの友達が参戦し彼女に予選で負けた。
彼女に提供された食べ物は他の選手たちとは違うもの
つまり、出来レースなのだ。

それでもトレーニングを続ける
大会に出場する。
優勝し気絶する。
そんな彼女の様が何故か愛おしい。

その試みは、夢に向かって努力する
たくさんの人たちのそれと重なるからだ。


2021 2/ 7





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