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映画 地獄の黙示録  これぞ戦争映画の極致。コッポラ節が唸る。

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 原作の「闇の奥 」コンラッドを読んでみて、これはコッポラが描いた別の何かだと思った。

 闇の奥は、コンゴの象牙を収集する白人の商人の話しであり、ベトナム戦争とは関係ない。この映画の素晴らしいところは、コンラッドが伝えようとしていた人間の心の闇の部分に、戦争をぶつけたところにある。戦争は、人を殺す。無意味に殺す。普通の人間は、それに矛盾を感じる。何で?。そんなことしていいの?。それで正義と言えるのか?。

 心がしだいに病んでいき、この大佐のようになる。それは小説の世界と同じであり、その心にすくう闇こそが問題なのだ。

 この映画の戦争sceneはチープだ。ワーグナーの音楽を鳴り響かせてベトナムの人たちを、まるでゲームのように殺戮していくシーン。

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 この慰安のシーンは、戦争中とは思えないほどのバカバカしさだ。舟の検閲では、何もないのに皆殺しをしたり、戦争とは傲慢で、やったもの勝ちなのかと思ってしまう。

 このような様を見ていると、まともな神経など失われていき正気ではいられなくなっていく。カンボジアの奥で独立帝国を統治していた大佐の気持ちも理解できる。その大佐を殺すべく命令を受けた大尉が主人公だ。

 最後は、命令通りに大佐を殺す。大佐も彼に殺されたがっていた。結局、すべて混沌の中に存在していて、誰もが主体性を喪失し地面の確かな踏みごたえを失い。まるで宙に浮いているかのようなのである。それが戦争であり戦争とは混沌であり、そこには正義などなく、ただ、人を殺すだけなのだということなのである。

『朝のナパームの匂いは格別だ』

というセリフが有名だ。
ワーグナーを大音量で流しながら、ベトコンの潜むジャングルをナパームで焼き払ったビル・キルゴア中佐のセリフ。この変人は、サーフィンが大好きで、良い波が来る村があると聞いてベトコンの拠点を攻撃しました。まるで、それはゲームのような虐殺。こんなことは、絶対にあってはならないと思いました。

2020 4/19



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