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感想 三体Ⅲ死神永生 劉 慈欣  歴史の早送りみたいな感じに思えた。とにかくスケールがでかい。読むべき本ではあると思う。しかし、感情移入はできなかった。

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あまりにも長くて疲れてしまった。
それでも一気読みだった。
外人が主人公なので、人物がごちゃごちゃになる。

ネタバレでいきます。

今回の主役は程心という女性です。彼女は最初のほうでウエイドという上司にこんなことを言われます。
「お前は母親を売春宿に売り飛ばすことができるのか?」

この話し、ある計画に続いていて、程心のことを片思いしている男性がいる。彼は病気で死ぬ運命です。雲天明という名前なんですが、彼は安楽死を望んでいる。そんな彼にある計画にのるように彼女は勧誘する。
この作戦は階梯計画(ラダー・プロジェクト)と言います。


三体の本隊に向かって探査船を送るというのです。それに乗れということです。それも脳だけで。場合によっちゃ捕獲されて拷問されて、そういう可能性もあるのに、それを彼に頼むのです。

この巻で感じたのは、残酷さでした。いろんな残酷なシーンが出てくる。僕はそれに辟易した。正直に言うと途中で投げ出しそうになった。この作者、少しサディスト気味です。

人類と三体は暗黒森林理論。ボタンを押すと、核爆発が起きて太陽系に爆発が起きて位置が知られる。すると太陽系を支配する意味はなくなる。だから、表面的に双方は和解していたのです。

このボタンは、羅輯(ルオ・ジー)が持っていた。でも、老人です。執剣者(ソードホルダー)が程心する。交代したとたんに三体艦隊は重力波送信器を破壊。三体人による地球侵略が始まります。この時を待っていたのでした。

地球人は占拠され、オーストラリアに集められる。
僕がびっくりしたのは、食料が足りませんと訴える人類に対して
三体から送られてきた智子。女性型ロボットですが、こんなことを言う。


生きているだけで幸運だ。そのうちお前たちはたくさん死ぬ。食料の心配はなくなる。


つまり、人間の死体が食料ということですよ。えぐすぎます。


もうひとつ、ソードホルダーの交代の後、これまで人類を守り続けていたルオ・ジーを裁判にかけて処罰するということに決まっていたのです。何か人間不信になるようなことがたくさん出てきます。
この作者、何なんでしょうね。

もうおしまい。このまま人類は滅亡と思いきや、ここで太陽系の外に逃げていた逃亡軍みたいな船がいて、三体の位置を全宇宙に知らせてしまう。それであっさり、三体は他の星に攻撃されて滅亡。
このご都合主義には辟易しました。

しかし、同時に全宇宙に太陽系のことも知られた。いずれは人類も三体と同じ運命に、そこで人類は考える。

全宇宙に、地球は安全な星だと知らせるというのです。
そこで脳だけでロケットに乗った彼が、物語にかこつけて人類が生き残る方法を知らせてくれる。
これは三体が滅亡する前の話しなのですが、いきなり、その話しに入りますが、これが面白い。

ある人を描くと、その人が死ぬという能力のある絵描きが出てくる話し。
これは、座標を知られると敵に攻められる滅亡するという暗黒森林理論に似ています。

そこから得た教訓は、空間何とかドライブで高速で地球から脱出する。
もしくは、ブラックドメイン。太陽系をブラックホールみたいにする。

いきなり話しは飛んで。数百年後、木星で目覚めますが、攻撃を受けて地球が滅亡します。
ここからが面白い。
そのうち、ここも消えてなくなる。その前に高速船で逃げる。
1800万年後、目覚めるがそこには誰もいない。
ドアがあり、小宇宙に繋がっていて、これは次元が違うところにある。
これは脳になった友人が彼らにプレゼントしてくれたのでした。

宇宙は滅亡に向かっている。
あたらしい宇宙ができるまで、別次元にある小宇宙で隠れてて、できたら宇宙のアダムとイブになれというのですが、同じような発想の人がものすごい数いて、小宇宙の質量は減っていく・・・。大宇宙に戻らなくては・・・・。

この別の次元という発想も面白いと感じました。
正直に言うと、二部で終わっても良かったと思う。
発想は面白いのですが、物語が飛び飛びで感情移入もしにくくて大変でした。


2022 9 24
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