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感想  禍  小田 雅久仁 これはヤバい、読んではいけない小説みたいに思える。



2023年、最も「ヤバい」作品、降臨。
孤高の物語作家が放つ、神をも畏れぬ悪魔的絶品集。


確かに、その通りです。
これは禁書にすべき本です。

本書、この短編集を漢字一文字で表すと 汚 になります。

汚れです。
心を汚す本です。

だが、僕は大好きなのであります。
今年、読んだ本の中でも1か2くらいの面白い本。

前作『残月記』を完全に超越しております。

簡単に紹介すると、『食書』は、本を食べると、その世界がリアルに夢のように眼前に現れ、そして、それは麻薬のようにその人を蝕み侵食していくという内容。

神ではなく髪を祭る新興宗教の集会に赴いた先で起こる悪夢のような『髪禍』は、トラウマ級の気持ち悪さ。

『耳もぐり』は、耳に手を突っ込むと、その人に入れる。コントロールできる。そういう動物いましたよね。のっとりです。

バスで淫乱なデブ女と遭遇する『柔らかなところに帰る』。急に性癖がデブ専になるのだが、ラストでその謎が解明する。ちょっとHな話し、変態寄りです。

『農場』で働くことになる。そこには耳があり、その耳をまく、収穫するのは人間。不可思議な世界。

「喪色記」は幻想小説、色彩が奪われる灰色になる世界を描いた壮大なファンタジー小説。

『裸婦と裸夫』は、突然、男が満員電車で全裸になり、抱きつかれた眼鏡女子も全裸になり、ドミノ倒しみたいに伝染していき、みんなが全裸になる世界。

この作者、かなり性癖が歪んでいると思う。
でないと、こんな世界は書けないと思う。
でも、癖になる。




2023 8 22



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