見出し画像

感想 10の奇妙な話  ミック・ジャクソン タモリさんの世にも奇妙な物語に似ている世界観。「境界線」を超えた瞬間の物語の加速度が楽しい。

世にの奇妙な物語に似ている世界観の10の不思議な物語
モチーフは「境界線」だ。
日常と非日常。正気と狂気。
その境界線を超えた瞬間、物語は加速度的な展開になる。
そこが面白い。

例えば、ピアース姉妹。
海岸に住む醜い容姿の人たち
海難救助をする善人だった。
しかし、その助けた人間に理不尽に罵倒され
そこで 日常が回転する
正気が狂気に変わり
連続殺人鬼となっていく
そのダイナミズムな展開の様が楽しい

「隠者求む」は金持ちの夫婦がたまたま見つけた洞窟に住ませる隠者を雇う
しかし、子供ができたりして忘れてしまい
そこで隠者が野人になり人々に襲いかかる
赤ちゃんを拉致する。
もともと、夫婦が悪い。災いの種を作ったのだから、自業自得の自己責任ではあるが
それにしても、この豹変ぶりは・・・

「川を渡る」の葬儀屋の老人はこの世とあの世のボーダーラインを彷徨った話し。
これも「境界線」だ。

「もはや跡形もなく」の家出少年は、不思議な森に彷徨い込み
犬と暮らすうちに、記憶がなくなっていく話し
これは生と死の「境界線」だろうし

「ボタン泥棒」の色んな物を食い、それをコレクションしている老馬の話しは
おとぎ話と現実の「境界線」
この話しは暖かい感じがあり心地よい

「蝶の修理屋」は、蝶を修理するという道具を手に入れた人が
ひょう本の蝶を生き返らせるという
これもファンタジーとリアルの「境界線」

とても面白かった。
短編なので切れ味もあります。

2022 3 6
* * * * *



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?