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感想 粘膜人間 (角川ホラー文庫) 飴村行弟殺害を河童に依頼する兄たち。河童が叫ぶ、ぐっちゃね、ぐっちゃね。


第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した衝撃の問題作という宣伝文句に偽りなしでした。
これでも大賞ではなかったというのが、日本ホラー小説大賞のレベルの高さです。
この賞がなくなったのが残念でなりません。

第二章の清美に対する拷問シーンは
この作者が変態ではと疑うほど真に迫っていて
汚 がエグすぎです。

大賞を獲っても不思議でないレベルの面白さでした。

この発想やパワフルな展開は、新人作家の作品とは思えないくらいのパワープレーなのであります。

狂暴な小学生の弟を中学の兄二人が殺害してくれと河童に頼むという導入部から楽しかった。
父に馬乗りになりフルボッコにするガキ
中学の兄貴二人を従わせる弟
圧倒的に強い雷太なのでした。

殺しを依頼する河童がHで下品、残酷です。

口癖が、ぐっちゃね。
清美とぐっちゃねしたい。
この穢れた欲望のため弟たちは死ぬのです。

本書の魅力は、この河童の性格描写が具体的で細かいところにあります。
少しお惚けで人を信じやすい性格が魅力的です。

残酷さと素直さのギャップも楽しい。

脳が半分になっている雷太の子供っぽさも魅力
その反面、平気で残酷なことをします。

時代設定が戦争中ということなので、多少の無理もゴリ押しで解決しています
最後まで書かないところに作者のしたたかさを感じました。
この作品らしいフィニッシュになっています。


2023



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