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2022年9月の読書日記 おすすめ本をPICK UP

読んだ本の数:22
読んだページ数:7772


今月は連休もあり、たくさん本を読めました。
収穫は 三体シリーズを読破できたことです。
もうひとつ、同じ著者の短編集に作品も秀逸でした。
SF好きにはたまらない作品群でした。

個人的には、老神介護という短編集が好きです。
劉 慈欣の世界は圧倒的でした。

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これ以外ですと、伊坂幸太郎さんの



もニーチェの思想が絡んでて面白かった。


ミステリーですと推理小説アカデミーの最優秀ミステリ賞、翌年スカンジナヴィア推理作家協会の「ガラスの鍵」賞をダブル受賞した


この作品はかなり面白かった。


その他の感想は以下に。

横浜駅SF (カドカワBOOKS)の感想
横浜駅が人工知能というのか何かになり増殖を繰り返し全国が横浜化しようとしている世界。雰囲気としては植物の増殖のようなものか。新人さんだと思うのですが、話しの波があまりなくて説明も下手で何かごちゃごちゃしていて読みにくい。世界観や発想はとても素晴らしいが、それを十分に生かしきれていないように思える。小説よりも漫画や映画にしたほうが楽しめるのではないかと思える。主人公が18切符ですか、5日だけ入場できる切符で構内に入り、その横浜駅を崩壊させようとする物語です。
読了日:09月03日 著者:柞刈湯葉


全国版 (カドカワBOOKS)の感想
前作の前の話し。短編集です。ユキエの正体は最後までよくわからなかった。続編があるのかもしれない。それにしても、この面白い設定を生かせてないと思ってしまう。熊本編なんか、殺人事件。ミステリーですよ。それもかなりお粗末な内容。人間のやることなんて、こんなものさって話しなのかな。面白かったのは群馬編。これはかなり面白かった。青目先生の存在が面白い。キトという子供を途中、見捨てていく。しかし、火山が噴火し街が潰れる。本とか、家とかめちゃぐちゃに。それが修復されるのだが、キトという女の子までいる。死体が別の場所で。
読了日:09月04日 著者:柞刈湯葉


ペッパーズ・ゴーストの感想
猫虐待犯人を私的に裁く二人組の活躍をえがいた生徒の書いた小説と、壇先生という飛沫感染すると相手の未来予知ができる先行上映という能力のある男の物語が同時並行に進行し、その現実と虚構が交わる。ここからの展開が愉快だ。犯人たちとの闘い、能力を用いて対抗するが予知が外れたりと面白い。ペッパーズゴースト。表題の意味は、別の場所に存在していたにもかかわらず目の前にいるように見えるということだ。つまり、小説の中の人物たちが現実に現れる。犯人たちの思考にニーチェがるのも面白い。少し理屈っぽいがテンポ良くて楽しかった。
読了日:09月06日 著者:伊坂幸太郎


狼と香辛料 (電撃文庫)の感想
面白い。タイトルに香辛料がある意味がわかり良かった。収穫の神である賢い狼のホロ。彼女を連れて旅する行商人ローレンス。この最初の出会いと、エピソードが描かれている。友人からすすめられた本だが面白かった。少し経済学的な視点にファンタジーが融合した内容は僕の好みだ。ある銀貨が値上がりするというネタを仕入れ、しかし、それは嘘っぽい。その背景を調べ、その買い占めが儲かるという理屈の解説が面白い。そして、利に群がる悪徳商人と彼らの味方の商人。なかなかいい。続きも読みたい。
読了日:09月09日 著者:支倉 凍砂
狼と香辛料II (電撃文庫)の感想
天秤のトリックを見抜いたところは面白かった。そこで優位に立ち信用取引で武具を安値で売らせるが、次の街で武具は暴落、商店に一杯食わされて、そこから破産の危機。金の密輸という展開。狼との戦いに備えて羊飼いに金を運ばせたりなかなかいい感じ。そして、裏切った商人に対してラストの取引。これもなかなかいい感じでした。冒険ファンタジーというよりも、かなり経済小説寄りかも。でも、ホロは今回も正体をあらわにするしかないのです。
読了日:09月10日 著者:支倉 凍砂
狼と香辛料 (3) (電撃文庫)の感想
三角関係勃発。しかし、他人の女を取ろうとする魚商人の小童。図々しい。ホロの借金銀貨1000枚を肩代わりし彼女と結婚したいという妄想。そして、ローレンスとの戦い。恋の戦い。これは経済小説なので、勝負は経済です。小童の金儲けの方法はある鉱石を買い占めること。それが値上がり中。このまま値上がりしたら1000枚の銀貨を・・・。そこでローレンス。信用売りを小童にしかけた。ようするに鉱物の値が下がるほうにベット。ここからの取引の話しが面白い。株式相場の昔の立ち会いみたいにスリリングな展開。面白かった。
読了日:09月10日 著者:支倉 凍砂
新! 店長がバカすぎての感想
前作が良すぎて読む前からハードル設定が高くなっていて、それでも良しと思えたのだから、やはり、あの店長の曲者ぶりというのかキャラでしょう。極悪でも完全な無能でもなくて、ちょっと感覚がずれているんだけど、ちゃんと店全体というか店員のみんなにまで目を配らせている、時にはストーカーみたいになることもあるのだけれども、それはそれで良しというところでしょうか。後半は少しぐだぐだ感があつたものの、何とかまとまったという感じなのかと思いました。前作読んでない人は読んでからだと思います。
読了日:09月11日 著者:早見 和真
カエルの小指 a murder of crows (講談社文庫)の感想
カラスの親指の続編、15年後という設定です。前作は、道尾作品の中でもダントツの面白さでしたが、今回の作品は少しトーンダウン。でも、最後に前半に散りばめた伏線を回収しなかなかでした。登場人物のキャラが前はエッジが聞いてたのですが、今回は少し薄れてしまい。新キャラのきょうという女子中学生と、やひろの子のてつという天才小学生が目立っていた。2つのライン、きょうの母親が詐欺にあい自殺した復讐。母親を捨てた父に対する復讐。武沢たちを利用しなしとげる。そして、最後に爆弾。というかサプライズ。
読了日:09月13日 著者:道尾 秀介
忘れたとは言わせないの感想
北欧の閉塞感が伝わってくる文体のミステリー小説だった。2年くらい前の少女殺人事件と、その犯人の父親が殺された現在の事件の2つを追うという謎解き。犯人は誰か、動機は何か・・・。最後の結末は少し切なかった。推理小説アカデミーの最優秀ミステリ賞、翌年スカンジナヴィア推理作家協会の「ガラスの鍵」賞をダブル受賞しています。主人公の刑事が魅力的、ボケている母。少しやんちゃな兄。恋人のいる刑事と寝ていて、女子には信頼されている。その行動力と推理力。なかなか読み応えある名作。
読了日:09月15日 著者:トーヴェ・アルステルダール
狼と香辛料IV (電撃文庫)の感想
経済小説的なところは少なくて、異端の神と教会の関係とか。不平等契約の是正みたいなことでした。死んだフランツという司祭が神の存在を証たくて地方の神の話しを収取していた書物をホロたちは見に来たという話し。それでわかったのはクマの神がヨイツのまちを滅ぼしたこと。逃げずに悪い司教たちと戦ったのはいいが、どうも勝ち方がご都合主義。少し納得できない感じでした。司祭のエルサのキャラ設定はなかなか良かったと思う。話しとしては、まぁまぁかな。
読了日:09月17日 著者:支倉 凍砂
狼と香辛料V (電撃文庫 は 8-5)の感想
そろそろホロの故郷が近くに・・・。しかし、もう、こうなると経済小説ではないですね。たしかに、教会を出し抜いて、毛皮を買い占めて売るという方法はいいが、味方に裏切られては話しにならないし、この裏切り者が憎めないというのか今いち悪者という感じがしないし、話しも単純で恋愛モードのホロと彼。まぁ、明らかにトーンダウンですが、ここまでくると続きが気になるところです。
読了日:09月17日 著者:支倉 凍砂
狼と香辛料VI (電撃文庫)の感想
前回の話しの後日談、そして、川を船で下り裏切り者を追う過程でコルという少年に出会い、そこでホロの故郷の近くの伝説の狼の骨の話しを聞く。ここから次の物語へとステージを変える予感のツナギみたいな感じだった。明らかにテンションダウン。盛り上がらない。
読了日:09月18日 著者:支倉 凍砂
狼と香辛料VIISide Colors (電撃文庫)の感想
短編が3つ。スピンオフという位置づけなのか。最初のロレンスと出会う前の話しは少し興味深かった。2つ目のホロの服を安く買うための逸話と、ホロが病気になった時の話し。これはホロ視線で珍しい。しかし、どうでもいい話しのような気がしてならない。このレベルの話しが続くのなら、もうシリーズここで辞めたいくらいだ。
読了日:09月18日 著者:支倉 凍砂
狼と香辛料VIII対立の町(上) (電撃文庫)の感想
上巻 下巻に乾感想あり
読了日:09月19日 著者:支倉 凍砂
狼と香辛料IX対立の町(下) (電撃文庫)の感想
8、9巻。この「対立の町」の感想。前回、殺されかけた裏切り者と何もないように近づいたり離れたりと商人とは何なのだろうと思ってしまった。南と北で対立する町。そこに一角獣が舞い込む、それの独占を目論む暗躍が描かれていた。しかし、長いだけで展開も退屈だし、このシリーズの前半で見せたような躍動感は見られない。コルという新たな仲間が入った分、少し深みは出たが、悪徳商人のキャラも、上手く儲けようとしている銅の取引でアレしている商人のキャラもありがち。トーンダウンしている感じがする。
読了日:09月19日 著者:支倉 凍砂

三体の感想
「お前たちは虫けらだ!」。こんなこと言われて怒らない人間はいない。この三体人、知能は高いのかもしれないが情緒的には脆さを感じる。この複雑で難解なパズルのような話し、もっとわかりやすくなんないのかと思ってしまうが、実に面白い。ゲームの三体のあの物理の議論、「三体問題」、宇宙人とのコンタクト。ここは未知との遭遇のようだ。作者は文化大革命を嫌悪しているのがわかる。その悪行と、三対人の支配がどうしても僕には重なって見える。物理の否定。三対人は地球の技術革新を邪魔するために物理の基礎理論を潰そうとした。続きが楽しみ
読了日:09月20日 著者:劉 慈欣

三体Ⅱ 黒暗森林 上の感想
感想は下巻に
読了日:09月22日 著者:劉 慈欣

三体II 黒暗森林 下の感想
上下巻の感想です。400年後に三対人の艦隊がやってくる。その前に何とかしなければならない。4人の面壁人が選ばれて地球を救う道を模索することになる。主人公以外の3人の方法は変な感じがした。こんなことしかできないのかというほど愚かな方法。主人公のルオ・ジーだけが成功する?。水滴という敵の探査船がやってきたところから、かなり面白くなる。暗黒森林論という話しはとても面白かった。猜疑連鎖というのはありうる思想だ。故に、他の星は狩猟者となる位置を知らせた星は、そのターゲットにされるという絶望的な考え。
読了日:09月22日 著者:劉 慈欣

三体III 死神永生 上の感想
感想は下巻に
読了日:09月24日 著者:劉 慈欣

三体III 死神永生 下の感想
とにかくスケールがでかい。圧倒的な想像力にびっくりした。にしても、地球を侵略しようとしていた三体すらも滅亡し、地球も滅亡してしまう。太陽系の果てまで逃げて、さらに時空を漂い1800万年後ですか、ひぇーーーって言う展開でした。さらに、ドアをくぐると小宇宙があり、そこで大宇宙が崩壊した後に、新宇宙が誕生したらアダムとイブとなるとかいう発想はすごいね。しかし、同じ発想の人たちがいっぱいいて・・・。彼らは小宇宙から飛び出す。ついてけんほどぶっ飛んだ展開だった。
読了日:09月24日 著者:劉 慈欣

老神介護の感想
小松左京さんのSFを読んだような驚きと楽しさがあった。三体の作者の短編集。三体よりわかりやすいから、これはこれで楽しい。表題作もよいが、恐竜と蟻の世界の抑止力には呆れた。そして、最後の科学者が人工冬眠する話し、ここには新技術の革新のリスクが示されている。しかし、進歩はリスクばかり恐れていては何もはじまらない。万里の長城だってピラミッドだって失敗したプロジェクトなんだけど、今となっては誰も気にしてない。それを作った人の情熱だけが残っている。そんな作者の考えに共感する。
読了日:09月25日 著者:劉 慈欣

流浪地球の感想
三体の作者のSF短編集。発想が面白い。表題作の「流浪地球」は、地球を動かして宇宙船にして流浪するという計画。ミクロの紀元も地球環境の悪化がモチーフだが、人類がミクロな存在となり生き延びるというアイデアだった。呑食者という短編が一番よく出来ていて、地球まるごと食べてしまうという宇宙人、人は彼らの餌になる。そのルーツが恐竜で、それは他の話しと繋がっていたりする。蟻と恐竜の文明のアレです。これは最後までハラハラドキドキの展開で面白かった。中国太陽は、2つ目の太陽を作り、それを掃除する鏡面清掃者の男の話し。
読了日:09月27日 著者:劉 慈欣


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